第2話 台湾銀行支店長の話

  10年前の台湾は「醗酵」状態でした。

  しかし、現在進行形の今は、徐々に「腐敗」が進んでいる。

  すべての人が「進歩・発展」と錯覚しているようですが。


  台湾客家の金儲けとは、アメリカのユダヤ人から低金利で金を借り、それを台湾政府や企業に貸し出すことで、利ざやを儲ける。また、政府や企業への金の流れをつかんでいれば、株や社債といった投資を事前に知り、有利に投資を展開することができる。

  そういうシンプルな金儲けです。


  だからこそ、2022年11月の台北市と新北市という、台湾のビッグ・シティの市長選には、台湾客家が勝たねばならない。これら市長の地位を手に入れれば、台湾客家人の政府機関や大企業への雇用も大きく伸びる。次の次の選挙には更に大きな力となる。


  いま大騒ぎしている「ペロシ訪台」「中国軍事演習」とは、台湾客家にとっては選挙運動のひとつでしかないのではないか。

  台湾の総統が直接、中国に抗議するわけでもなし、あまつさえ、台湾の国民党(親中国)の党首が中国へ行くとなると大反対する。せっかくの中国との対話を止めさせようとする。中国と対話しなければ、埒が明かないではないですか。台湾海峡封鎖で物価が上がって困るのは、台湾に住む人全部で、その中には私たち外国人も含まれるのです。

  もともと台湾客家と米国が吹っかけたケンカですが、どう考えても勝てないケンカを自分たちで始めたのは、何らかの目的があったればこそ、のはずです。


  その目的とは「今年11月の統一地方選/台北・新北市長選で、台湾客家が勝利を目指す」ことなのではないか。


  私は、別に政治評論家でもなんでもない。

  ただ、大学日本拳法という真剣勝負の感覚から言えば、中国が本気で怒ってるのは人民網日本語版というネット新聞から十分伝わってきますが、台湾客家はキャーキャー(中国にではなく)世界(ほとんど)日本に向かって騒いでいるだけで、真剣に戦うなんてことは考えていないように見える。

  「台湾国民の心を一つにする」という蔡さんの掛け声とは「国民の票を台湾客家ひとつにする」ということかと思わざるを得ない。それくらい、同じくネット新聞であるフォーカス台湾を読む(見る)限りでは、真剣に中国と戦うという意志は、少しも感じられないのです。記事中の台湾客家人の言葉に重みがない。



  そして、そういう「金貸し」を生業にする人々が支配しリードする」社会や国は、必ず急速に衰退していく。

  (健全な)発展・発酵ではなく、国の屋台骨を腐食させることに金を使おうとするからです。

   ある産業を100年かけて育てるより、戦争で爆弾や弾薬を消耗し、戦車やミサイルという、なんら生産性のない金食い虫に投資する。その金を融資した者(集団)は、金利で確実に儲かるが、それを返済する国民には大きな負担となる。


  今から15年前、40年前に住んでいたシリコンバレーへ行きました。

  サンノゼ、サニーベール、パロアルト、なんていう街で構成されたこの有名な地区は、テレビやネットで聞く繁栄とは裏腹に、ボロボロ・ガタガタになっていました。

  101(ワン・オー・ワン)という幹線道路は、ガタガタ。高速道路というのに、10センチもの段差(コンクリートブロックの継ぎ目)があったりする。急ブレーキもかけられないので、後方を確認しながら急減速しましたが、ガツンというものすごい衝撃。40年前から全く舗装も改修もしていないかのように、すべてがくすんで(錆び付き・古びて)いました。


  サンノゼのジャパンタウンなど、すっかり寂(さび)れてゴーストタウン。

  散々、海外の戦争で金を使い、そのしわ寄せが全米各地の、こうした衰退です。


  40年以上前からある「ごんべい」という日本人経営のレストランだけは健在で、目つきの鋭い東洋人が10人くらいの調理人たちを差配していました。日本人のおばちゃん従業員に聞くと、オーナーはハワイへゴルフ旅行中とのこと。

  コックさんたちは日本人?韓国人?と聞くと、全員中国人と。韓国人は料理方法を盗んで、すぐ自分の店を近くに立てるから駄目。その点、中国人はまじめに長期間働くし、プライドが高いから日本料理店なんかやらないのだそうです。


  三国人(ユダヤ人・台湾客家・韓国人)というのは、あくまで金儲けのために投資するのであって、その会社の企業文化を醸造するとか、地域に公園や公会堂を作ったり、道路を整備したりすることには全く無関心です。

  ですから、アメリカではニューヨークをはじめ何百という中級都市が、どんどんスラム化している。日本でも韓国人設計の奇妙きてれつな建物が全国に建てられていますが、それと反比例するかのように、町はどんどん寂れていく。

  台湾でも、10年前は「こんなゆとりのある公園や施設はできないだろう。」という感じだったのが、いまや、在日韓国人ばかりが儲かる仕組みになった日本と同じで、「金が儲からない」施設はなくなり、ちゃちいイベントばかり。



  サンフランシスコの近くに住んでいた頃、「台湾人」の中華料理屋がありました。バイキング形式で、肉や野菜がずらりと並んでいる。客は皿とボウルに好みの材料を入れて調理場の前へ行くと、おっさんがでかい円錐形の肉厚の鉄板で焼いてくれる、というスタイルです。

  ある年のクリスマスイブの晩、日本からのお客さんを空港へ送った帰り、小腹が空いたので10時半頃寄ってみると、案の定閉まっている。店の裏の調理場の分厚い鉄板の戸を叩くと、例のおっさんが小窓をあける。

  「閉まったのか ?」と、私。 → 当たり前だろ !

  「閉まった」と親父。

  貧乏くさい顔をして・腕を組み「うーん」と唸る私。

  親父「腹が減っているのか ?」

  私「イエス」


  すると、扉が開いて中へ入れてくれたのですが、賄い飯なんでしょうが、うまそうな料理が中皿に10数皿並んでいる。「あんた、いつもバーベキューだけしかやってないけど、こんなにいろんな料理もできるのか」と聞くと、奥さん(中国人)が作るんだそうです。


  飯を食いながら聞いた話ですが、おっさんは息子がスタンフォード大学(CG専攻 ?)に入学するので、家族全員でアメリカへ移住してきたのだそうです。

  台湾での前職はなんと、ある大きな町の台湾銀行の支店長。金の計算しかできないので、アメリカではとりあえずバーベキュー屋をやり、糊口をしのいでいるのだ、と。


  「台湾時代、副業でやっていた、ラブホテル業が大当たりした」。

  ロールス・ロイスやジャガーといった高級車(の模造品)を部屋の中において、車の中でできるようにしたのが当たったのですが、それは日本へ行った人から聞いた話を、そのまま真似したのだそうです。

  「イヤー、ずいぶん儲かったよ」なんて、すごく嬉しそうな顔をして言うので、そんなにいい暮らしを捨てていいのか、と聞くと、


  「台湾はしょせん台湾だ。」

  「アメリカみたいに発展しないし(当時のアメリカは、まだ世界で一番豊かで発展している国だった)、日本のような楽しい文化もない。」

  「おれは銀行にいたからわかるが、所詮は、ほんの一部の金持ちたちだけが、もっとリッチになるだけで、90パーセントの台湾人は貧乏なままだ。 → 今、思えばこの金持ちというのが、台湾客家のことなんでしょう。」

  「アメリカなら、努力すれば、それがそのまま成果として現れる → ビッグになれる。」と。(アメリカは規模がでかいですから、ロックフェラーにはなれなくても、億万長者くらいにはなれる、ということ。)


  「台湾人なんていない」とも言ってました。

  おっさんは日本統治時代に台湾で生まれ、日本人・中国人・台湾人を経験したのですが、「おれも家内も中国人だ」「息子はアメリカ人になるかもしれないが、それでもやはり、ルーツは中国人だ」と。


  私はその頃、「台湾独立問題」など、全く知りませんでした。

  しかし、おっさんを見てつくづく思ったのは、やはり中国人というのは逞しい民族だ、という感動でした。

  しょぼいバーベキュー屋で、ランニングシャツに汗をびっしょりかいて、朝から晩まで鉄板の前で肉や野菜を炒め続ける。自分ではなく、息子の夢を叶える為に。

  あれから40年、今はきっと、孫やひ孫に囲まれ、アメリカかもしくはコンピュータ・エンジニアの才能を発揮できるインドかオーストラリアにでも、お住まいかもしれません。


  中国人が偉いと思うのは、彼らは外国に住んだ場合、そこにキリスト教の教会も仏教の廟も、毛沢東の写真もないのに「中国人をやっている」ということです。さすが4,000年の歴史、血の中に中国人がいて、魂そのものも中国人なのでしょう。


  コスタリカの首都から、森林鉄道という鈍行列車で12時間かけて山を越えて行ったしょぼい町にあった中華料理屋。内戦が終わったばかりで、まだ物騒なニカラグアの首都マナグアにあった中華料理屋、毎朝、新聞にバスの運転手などが頭を拳銃で吹き飛ばされた(カラー)写真が掲載されるグアテマラの田舎町にあった中華料理屋。

  何を食っても危なっかしい彼の地で、安心して食えたのは中国人経営の中華料理屋だけでした(ペルーから来た立命館大学の学生旅行者は、飲み屋で睡眠薬入りの料理を食べさせられて昏睡。朝、起きたら素っ裸で海岸に寝ていた。当時、日系人のフジモリ大統領体制だったので、警察・大使館の対応が、南米というのんびり地域にしては、ものすごく早く、翌日にはカードも現金もできて、旅行を続けることができたそうです。)


  一人旅ですから「中華料理」なんて頼まないでラーメンの説明をすると、ちゃんとうまいラーメン(中華そば)が出てくる。台湾の「日式ラーメン」よりずっとおいしい。

  中国人は化学調味料なんか使わない。コスタリカ・ニカラグア・グアテマラ・イタリア(ベニスの近くの小さな町)、各地の在地食材を使った出汁を工夫している。


  大学日本拳法経験者のあなたが、もし海外旅行で2・3日、ある町に滞在するようなことがあれば、中国人経営の中華料理屋と懇意になることです。食い物は安くて(リーズナブル)安全でおいしいし、いざという時には、土日・休日は休みの日本大使館や現地の警察、韓国人経営の偽日本料理屋よりも、よほど頼りになるでしょう。

  拳法なんて、ナイフや拳銃、山刀を振り回す彼らには無力と知るべきです。日頃、ランニングとダッシュをして、逃げ足の速さとスタミナをつけておくべきでしょう。


  不正を行う者には、なお不正を行わせ、

  汚れた者は、なお汚れるままにしておけ。

  正しい者には、なお正しいことを行わせ、

  聖なる者は、なお聖なる者とならせよ。


2022年8月12日

V.2.1

平栗雅人

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不正を行う者には、なお不正を行わせ、 @MasatoHiraguri

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