てぃんだろす からの逃亡

息を切らせながら俺は逃げた。


まずい、頭がクラクラする。


近くの自動販売機に駆け寄って、ポケットから小銭入れを取り出して気が付いた。


自動販売機の後ろのフェンス、

その足元のコンクリートブロックのあたりで黒い煙が立ち上がっている。


ヤバイ、あのティンダロス、


黒い煙から、ヤツの出現を待たずに走り出す。




疲れた、途中でコンビニに飛び込んでスポーツドリンクを2本買った。

コンビニの外で、周囲の目を気にせず、その内1本を飲みほした。


コンビニの道を挟んだ向かいのビル、

そこの基礎のあたりにユラユラと黒い煙が見える


どうやら、人の多い所には出てこないようだな。

しかし、どうやってアイツをくか?

なんせ、相手は異次元の生き物だ・・・


もしかして、人が大勢の居る所で動かなければ、

諦めてどこかに行くんじゃないだろうか?


俺はティンダロスを撒く為に

ショッピングモールに逃げ込む事にした。





「ああ涼しい、ここは天国じゃないだろうか」


それに人の多いココでは、出てこれないだろう。


1時間程ショッピングモールをウロウロするうち、

俺はティンダロスの事を失念してしまった。


スポーツドリンク一気飲みがいけなかったのか、

尿意を憶えてトイレに行く、小便器コーナーは人が大勢並んでいる


仕方なく個室ブースに入った途端、壁際で黒い煙が立ち上がった。


「だれだ! 個室ブースでタバコ吸ってるバカは。ここは禁煙だ!!」


隣りのブースの怒鳴り声で、黒い煙がいきなり霧散むさんした。


怖かったらしい・・・・


非常に気まずい思いをしながら、俺はトイレブースから出た。


俺は決心した。


ショッピングモールを出て、全力ダッシュで家に帰ろう。





息を整えて、走る準備をする。


帰り道のコースをイメージOK・・・では。


オン・ユアマーク   レディ・・・・ゴー



順調に走る、暑いが短時間だ我慢する。


住宅街に入った、もうすぐだ・・・次の角を曲がって


曲がった先に、黒い煙を見つける、しまった。


やられた


「フッシャ~~~~!!」 強烈なの威嚇する声


煙の出ている塀の上にいた、大きな三毛猫が毛を逆立てて煙を威嚇している。


またも黒い煙が霧散むさんした。




ティンダロス、お前、ネコに負けたのか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る