三十三頁目

こぼれるばかりの記憶たち

いずれさよならするのなら

心に留めておきましょう

心に刻んでゆきましょう

 

 ⌘

 

闇に潜む粘土に深く手をやり

抜けないほどに深く身体を沈めて

掴めるものなどはじめからなくても

見つかることなどはじめからないよう

深く深く落ちては

泥まみれのなか息もせず笑うの

雨が落ちて全て流れるまで

笑ってゆくのよ

  

 ⌘

 

わたしはよわいから

いつだってよわむしだから

あなたにはそれを

かくしていたいの

あなただけには

 

 ⌘

 

女王は言った


貴方の大切なものは

貴方のもの

それを忘れない限り

貴方の手からは消えぬのだ

 

冠を持つ女王は言った

とても悲しい瞳で

黄金の椅子に座って

 

 ⌘

 

憧れが夢へ消えて

苦しいままに眠って

目覚めてもそこは夢で

あなたに会って

さよならして

そんな夢ばかりの夢

いつおはようを

言えるのだろうね

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