三十二頁目

風の強い真夜中

遠くに流れる思い出話

くすくす笑って

さらさら泣いて

手に触れられない

この風と同じね



 ⌘



ひと欠片の夏が

なんでもない日常に

ふと思い出され


嗚呼あなたの

白い帽子が

ゆれて



 ⌘



手をうしろにやって

かくしてみた

ばれちゃうのわかってても

みられたくなかった

どうせばれちゃうのなら

かくしていたかった

このせなかに

このちっぽけな手に



 ⌘



またそれなのかい

だなんて言わないで

わたしはこの繰り返しに

生かされているのよ



 ⌘



抱きしめ返さなくていいよ

触れられなくたっていいよ

そばに居られたらそれだけでいい

それが赦されるのならば

何もいらない

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