二十一頁目

のぞきこむだけの角の部屋

あたりも見えない陽射しのなかに

並ぶひらひらワンピース

どこからか甘く香る何か

いまも届かないままそれは

閉じ込められてしまう

見たこともないのに

生まれてしまった

その愛しい記憶へと



 ⌘



キッチンにある

風にゆれるカーテン

誰もいないのに

とてもあたたかい

誰もいなくてよかった

出会えばきっと

永遠に求めていただろうから

夢がさめてもずっと



 ⌘



のって そらとぶ

おおきな スプーン

どこへ ゆこうか

さあ きめよう


だけど だめだよ

くるり おちれば

すぐに すべって

とけて なくなる


のって そらとぶ

おおきな スプーン

きみと くるくる

きらめく スプーン



 ⌘



わたしは微笑むとしましょう

貴方が想う

誰かのために



 ⌘



ゆっくり 抱きあげて

どこまでも とおくへ

わたしが 忘れられる

そんな 場所まで

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