鍵
子供の姿は見えない。人の通りが比較的多く、心なしか種族の種類も多様に見えた。
構造は他の階層と同じようである。客室が並び、ところどころに売店が存在している。
セコンドはスマートフォンを取り出し、写真で保存しておいた艦内のマップを見た。二階の表示は比較的少ない。しかし、気になる点がいくつか見られた。
二階には保管庫と呼ばれる倉庫が存在するようであった。客室が密集したフロアから少し離れた場所に、スタッフ専用という表記付きで表示されている。
地図の構造を見るに、保管庫はかなり大きい部屋らしい。何を保管しているのかは知らないが、あのスリの子供が身を隠す場所にはうってつけなのではないか。
セコンドはそう考え、保管庫の方へ足を進めた。
保管庫の扉はかなり大きく作られていた。鉄製の扉で、セコンドの身長よりもはるかに高い。機材などで運び入れることもできそうである。
しかし保管庫の扉には鍵がかかっていた。両扉の取っ手をまとめるように大きな南京錠がかけられ、STAFF ONLY という文字が彫られていた。
(何世紀も前の施錠方を適用しているとは。不可解だ)
彼は保管庫の前を後にし、一階へと再び階段を下りることにした。
ふと、一階の客室から出てきた客人が目に入る。客人は二人であり、二人とも体の一部を改造したサイボーグであるようだ。その二人が客室の扉に手を触れると、ガチャリと鍵のかかる音がした。
(客室の扉は最新技術を使っている。扉の施錠方法に着目してみるか)
セコンドは螺旋階段を降り、管理人室へと足を向ける。その道中も周囲を注視していたが、あの子供らしき影は見ることが出来なかった。
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