客人たち
セコンドは一人、ミライ号の船内を探索していた。
豪華客船の名に恥じない、巨大な船内である。
しかしその内装は統一性がなく、あるところでは和風の、またあるところでは中世ヨーロッパを彷彿させるような風格をしており、そのほかにもアジア、アフリカ、果てには南極までと、様々な文化が用意されている。
一階から六階にまで階層があるようで、中央が吹き抜けの螺旋階段になっていた。
さらに、この船内にはフワフワと空中を漂う箱のようなものが漂っている。
よく見るとその箱には扉が付いており、扉には部屋番号と思しき6桁の数字が割り振られていた。
「この船には、当然ながら完全な人間ではない方もいる。接触する場合は失礼のないようにしろ」
クインが話していたことを思い出す。
セコンドは眉間に寄るシワをほぐしながら、船内の三階で足を止めていた。
彼女が言っていた通り、客人は人間ばかりではないようだ。
無論のことながら人間も一定数存在するが、むしろその数の方が少ない。
自由自在に空を飛ぶ者から、皮膚の色が全く違う者、大きな角を持った者、人の形すら成していない者もいる。
(この大勢の客から01の情報を聞き出すのは難しそうだ)
セコンドは考えながら、ふと、デジタルのメモ帳に記した名前を思い出した。
(確か、名前は……キングス、と言ったか)
そのキングスという者はこのミライ号の管理人をしていたはずである。
管理人ならば、ミライ号に隠されている01の行方が分かるかもしれない。もし分からないにしても、調査をする必要はあるだろう。
セコンドは、ふと、空中を飛び回る板のようなものが目の前を通り過ぎるのを見た。
思わず手に取ってみると、板はセコンドの手に沿ってゆっくりと落ちていき、眼前で停止する。
それは、船内の地図であった。一階から六階まで、フロアから空中部屋(先ほどの箱のような部屋であろう)の案内がこと細かく示されている。
セコンドは写真を取って保存し、地図を手放した。地図は再び、ふよふよとどこかに飛んでいく。
管理人部屋は一階にあるようだ。
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