第11話廃墟と美女には化け物が相場

現在、まだ生きているけどこのままだとあの化け物どもに襲われて殺されてしまう。

急いでジョージとサラに合流して逃げないとせっかくこんな地獄に変わった場所から生還したんだ!生きてこんなことに関わらないような静かな所で暮らしたい…。

新しくできた夢の為にも早く2人に合流することを目的に街の外へ向かって走り始めた。



至る所にゾンビと食い荒らされた死体もしくは食われないように抵抗する残存兵達の姿が見えるが助ける義理も実力もないのでスルーする。

「ダァズゲデェ~!!」

夢に出てきそうな断末魔を聴きながらゴールである城門へとなんとかたどりついた。

横転した馬車はそのままになって放置されていた。

馬車に近寄り中を確認する。

「サラ!ジョージ!生きてる!?」

幸い2人とも馬車の中で気絶して寝転んでいるだけで身体を揺らすと目を覚ました。

「アン?どうしたノ?サラ寝てタ?」

「アン!?無事だったんだな!…そうだ兄さんはどこだ?」

ジョージの問いかけにジョナサンが兄だと理解したが兄弟とはいえ雰囲気以外は瓜二つであることに疑問を持つが後ろのゾンビ達を思いだし逃げるのを優先することにして彼に対して「知らない」と答えた。

馬車を引いている馬は爆発の際に死んでいるので馬車を引くことはできない。

「馬車は放棄して持てる荷物だけ持って逃げるわよ!」

「なんでそんなに慌ててるノ?そういえば街の連中追ってきてるんだっタ!」

「それなら俺達が気絶している間に拘束すればいいのになんで放っておいたんだろ?」

辺りに転がる死体を見ればジョナサンがジョージに会う際に皆殺しにしたのだろうと推測できる。

この肉片になったのまで化け物になれば私達が逃げるのは難しくなる。

幌から出てきたジョージが馬の死体を見た時に何を思ったのか腕をおそらく魔法を使うと思うがいつもの攻撃系の魔方陣とは違っていることに気がつく。

「よみがえれ!『リボーン』!!」

馬が身体を起き上がらせ生き返ったように思えたが馬の死体から肉が腐り落ちてしまった。

「失敗したノ?」

サラがジョージに質問するが私としては化け物にならなければ失敗しても問題無い。

「失敗かな?本当は蘇生させようと思ったんだけど…魔法がイメージだけで上手く行くわけじゃないとは思ったけどこれだと馬の標本だね?」

問題の骨馬は骨だけでありながら直立不動で立ち続けている。

支え無しで崩れない骨馬を見てもしかしたら動くかもしれないと考えジョージに指示をさせるとトコトコ歩き始めた。

「急いで馬車を起き上がらせてこいつに引かせるわよ!!ジョージは他の馬の死体に同じ魔法をかけて引かせる馬を増やしなさい!」

「り、了解!!」

街の外に出てから結構な時間がたっているがゾンビ達がこちらに向かってくる気配がしない。

街にいる生存者達を襲うのを優先しているからなのかそれとも私達を襲わないようにジョナサンが指示を出してる可能性もあるが前者は全滅すれば今度は私達を襲ってくるので後者を期待しつつサラと共に馬車を起き上がらせ骨馬達にロープを固定し馬車を引かせる準備を開始した。



街から逃げ出すまでにかなりの兵士が死んだ。

「アンボワーズ様、申し訳ございません…私達はここまでのようです。」

最後になった兵士が私にそう告げてくる。

彼らは本当なら偽物である私を守る必要もなく逃げ出して良かったはずなのに私のせいで彼らは逃げられなかった。

「ごめんなさい…。必ず貴方達の味方と合流しますね。」

城門を越えると馬車へと走り荷台へと飛び乗る。

「ひぃ!ゾンビ!!」

頭を殴られたようでそこで意識が途切れてしまった。

目が覚めたとき全裸で縛り上げられて胸を揉まれながら男が喜んでいたのを見て悲鳴よりも理解するのに五秒ほどかかり出た言葉は

「ま、まだおっぱいでないです…。」だった。



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