第10話死亡確認は確実に

「聞け反逆者共!アンボワーズ元王女の身柄は預かった!降伏すれば命は助けよう。だが逆らうのであれば皆殺しにする!!」

コウの参戦により圧倒的不利となった旧王国派は既に戦意を失い敗走している状態だが完全勝利しイフメア王国の滅亡を名実ともに世間にアピールするつもりのようだった。

「人を爆発させることが趣味の人間が反逆者達の命を助けようするなんて寛大ね?」

「上の命令だからなそれに助かった人間達が今回のことを伝えればイフメア王国復興なんて夢を抱くこともクーデターを起こすことも無駄だとわかるはずだ。」

よく言うわね?自分達はクーデターで国を分断して支配している癖に自分達に対する反逆は許さないなんて自分勝手な奴らだ。

「君が処刑されればこんな騒乱は二度起こらないはずだ。さて、死ぬ準備は出来たかな??」

出来ていなくてもするのに何故こんなに仰々しくするのか知らないがさっさと終わらせてほしい。

処刑台まで用意され座らされる。

「これよりイフメア王国王女アンボワーズの処刑を執り行う!!元王女よ。最後に何か言い残すことはありますかな?」

「末代まで呪わないけどとりあえずあんたを達が不幸になることを願ってるわ。」

言い終わると前屈みにさせられ屈強そうな男が戦斧を振り上げて止まる。

「執行!!」

合図とともに戦斧が降りおろされる。

しかし、男は私ではなくコウの従者達に対して斬りかかり始める。

「精神操作の魔法か…あの状態で生きていたのか?」

エ?内蔵とかは飛び散っていないけどあれで生きているのは拷問じゃないの?

そう考える合間に辺り一面が暗くなっていき轟音とともに王国軍に落雷が落ちる。

「晴天だったにも関わらず雷雲ができるとはあの魔法使いの仕業なら魔法の腕は私を越えているかもしれないな。」

「腕では無く次元が違うのだよ。君と俺との間に存在する実力の差はね?」

数多の死体の間を踏みつけながらジョナサンは現れてきた。

一応彼らも元王国兵なのであまりひどいことはしないでほしいようなもっと凄惨にしてほしいと思ってしまう自分に対し複雑な感情を抱いてしまう。

「普通あの状態から復活とか無理だろ…化け物か悪魔じゃないのか?」

流石のコウも目の前の現実を理解できないようで顔がひきつっている

「この星のレベルじゃそう思うだろうな魔法だけの技術なら限界でも俺には頭が吹き飛んだって復活できる技術も知識もあるが君達には理解できんだろうね?」

すいません。

この状況で頭脳明晰なのをアピールしたいんでしょうけどこの死屍累々を見ると何も頭に入りません。

それどころか吐き気が…。

「意味はわからないが私が生き残るのには君を殺すしかないようだな。」

「生き残る?死ぬ以外に道は無いんだよ!」

叫ぶと同時に兵士達の持っていた武器を浮かせコウに向けて飛ばすが防壁でコウは武器を防ぎきるが今度は落雷を何度も落としまくり追撃している。

けどね?

処刑台は落雷の影響で火災が発生して私は危うく火ダルマになるのにジョナサンは助けてくれず完全にコウを殺すことだけに集中しているようだ…ジョージ早く合流してよ…。

2匹の殺戮者が街を壊し更に多くの死体を作りあげていく。



爆発を起こし少しでもコウが距離を取ろうとするが爆発に対して怯えること無くジョナサンは接近していく。

落雷により生まれた火災すらも今はコウを襲い初め徐々に追い詰めはじめていた。

「天候だけでなく自然発生した炎まで操るとなると勝ち目は薄いな…。」

「死ぬしかないんだからさっさと防壁解けよ?楽になれるぜぇ?」

ジョナサンが悪役としか思えない笑顔を浮かべながら止めを刺そうとする。

もちろん、コウもただで死ぬ気は無く既に街半分を巻き込んで自爆する覚悟をしている。

だが思惑とは違いジョナサンが足を止める。

「やめだ。」

「なんだ?殺すのをやめるのか?今さら?」

「安心しろちゃんと殺すさがな!」

ジョナサンの後ろから群衆が接近してくるがその誰もが生きている人間では無く先ほどまでの戦闘により死んでいった者達ばかりであった。

「俺とお前のせいで死んだ奴らだ…きっとお前に復讐したがってると思って用意した。俺からの死亡日プレゼントだ。楽しめよ!」

そう言い終わるとゾンビの集団はコウに襲いかかりコウも残りの魔力で反撃しようとしたが数の多さに自爆する暇も無く食い殺されてしまった。

「死んだのも確認出来たから…とりあえずゾンビは皆殺しにして帰るか。」

両手を叩きそれを合図にするかの如くゾンビが爆散しジョナサンもどこかへと消えていった。

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