第8話逃げるが勝ちだが殺戮者から逃げるのは難しい
街に集まった王政復活派こと旧王国派に参加することはなくともあちらにアンの存在を知られれば御旗として担ぎ上げる可能性もある。
そこで先手を取って調べている。
「どうするか…あの組織には意外に可愛い女が大勢いる是非とも物にしたイッタ!」
頭部を殴られてしまった。
ちなみに殴ってきたのはサラでありアンの教育のせいか最近俺に対する扱いが酷くなっているような気がする。
「私達がイルのにモウ次の女?このインラン猿!」
更に追撃のビンタを食らい大ダメージをもらう。
「サラ、今さらでしょ?そこの変態は自分勝手なんだから…数人は引き抜けないかしら?」
アンは当て馬に出来る人間の確保を諦めていないようである。
しかし、旧王国派の連中は街中では行動を起こしていない。だが、行商人や冒険者達の噂によりこの街に集結しているようだ。
「調べるのはいいけど争いに巻き込まれる前に次の街に行きましょ?」
「ハ~イ。」
「あいよ。」
こうして俺達は次の朝には次の街へと移動するはずだった。
早朝、騒ぎ声により起こされた。
「イフメア王国復活の為に国民よ!立ち上がれぇ~!!!」
「「オォー!!!」」
「我々にはイフメア王国の王女であるアンボワーズ様がおられるのだ!」
アンが大慌てで窓の外を見る。
「良かったぁ~ここじゃないのね?てっきり宿屋の前に集まっているのかと…皆!さっさと街から離れるわよ!」
すぐにこの街から退避する事を提案し逃げる準備をし始めた。
「でも、王女がいるて言ってるてことは…アンの偽者がいるってことだろ?放置して良いの?」
「他人の命よりも自分の命が最優先よ!」
とても元王女とは思えない程見ず知らずの人間を見捨てる選択するあたり厳しい世界を生きてきたのだなと思ってしまった。
隣のサラに至っては拍手をしながら「オ~」
と称賛していた。
結局、荷物を纏めて逃げる準備を完了して街を出ようとする頃には旧王国派と現メルド王国軍が鎮圧の為に出動し混乱しているなかで逃げることとなった。
「「もう一度、国を一つに!!」」
「裏切り者どもを殺せぇー!!」
「鎮圧せよぉー!!!」
「「ウォーー!」」
やれやれ、殺し合いをするのは良いが他人の迷惑にならないとこでやってもらいたいものだ。
ドォーン!!
大爆が起こりメルド王国軍が押しはじめているようだった。
「あの爆発…あの男が来ているの?」
アンには心当たりのある人物のようだが今は逃げるのが優先だ!
こんな時の為に買った馬車に乗り込み急いで馬車を走らせる。
街の入り口には検問が既に待ち構えており普通なら突破は難しいがこちらには魔法使いがいるから問題ない。
「ジョージ!」
「いくぞ!『ドラコニックサンダー』!!」
ジョージの魔法による攻撃により防壁も車止めも壊して突破することに成功する。
これで面倒事に巻き込まれる心配はなくなったと思った瞬間地面が突如爆発した。
「何が…起きたの…?」
目が覚めた時には横転した馬車の中にいた。
たしか、街から脱出した瞬間馬車の下から衝撃が来て…まさかあの男がわざわざ私の方を追いかけてきたの?
すると、馬車の幌を破いてその男が現れる。
「お久しぶりですね?姫様申し訳ございません。あの時しっかりと殺してあげられなくて…ですからここでお父様のように殺してあげすよ!」
「いや!!こないで!助けてジョージ!サラ!!」
2人とも気絶しているのか動かなくなっていた。
連れていかれる間彼らの名前を呼び続けたが離れていく度に絶望が増していきついに街へと連れ戻されてしまった。
笑い声がする…誰のだろうか…
「情けないなぁ~弟よ?簡単にお姫様を拐われるなんて……情けない限りだぜ!」
「あんた…誰だ?」
「ジョナサン…だ。お前の兄さんだよ。」
「兄さん?本当に兄さんなのか?」
幌の中から見える人影にそう訪ねるがそれ以上答えることはなくジョージはまた気を失ってしまった。
「コウ卿その女がアンボワーズですか?街の中心部にいる連中の所ではなく街の外へ逃げていたとはこれだからイフメア王国の王族は…。」
「いいや、王族の人達はいい人ばかりだったよ?それどころか国が滅びる時すら国民のことを考えていた。」
「えっ!?」
「冗談だよ!俺もコイツら大嫌いだよ。」
コウが言ったことは本当だった。
本当は父上も母上も国のことを第一に考えていたのにある日、貴族達の反乱により殺された。
直接、手を掛けたのはコイツだ爆発の魔法を使う最強の魔法使いであるコウだった。
彼を殺したくても今の私にはそんな力はない以上諦めるしかない。
「アンお嬢ちゃん助けにきたぜ。」
位置はわからないが上部から声がする。
「貴様、何者だ!」
「俺はジョナサン。弟に変わってお前の部下とお前を殺しに来てやったぞ?喜べ!」
そこに立っていたのはジョージと似た顔の男だったが雰囲気はまったくの別人だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます