第2話

うちの猫


タイトルの本と猫とミルクティーは

どれも私の好きなものだ。

ミルクティーを用意して

気になっていた本の続きを読みふける。

部屋にいるのは自分の他には猫だけ。

なんとも心安らげる時間だ。


そう、うちには猫がいる。全部で5匹。

簡単に紹介すると、まずは母猫ミー。

三毛猫だからミーと命名。今年で9歳。

牛小屋に勝手に住み着いた野良から生まれ、一緒に生まれた子猫たちの中で一匹だけ弱っているところをうちの子たちに発見される。「ママ、見に来て」といつになくしつこくねばる子供たちに連れられて仕方なく牛小屋に向かうと、ミーは地面の上で動く元気もなく息だけしている状態だった。手のひらに乗せてもなんの抵抗もない。でもちゃんと温かかった。

実はうちにはすでに一匹先住猫がいた。だから野良猫を飼うつもりはなかったのだけど、今ここに置いて帰ったらきっとこの子は死んでしまうんだろうな、と思うともう地面には戻せなかった。

そんなわけでミーはうちへとやって来た。とはいえ、モゾモゾとノミが体中を動き回っているし、おしっこもしないし、こんな状態で本当に元気になるだろうか?と初めは半信半疑だった。そんな私たち家族の心配をよそに、ミーは日に日に食べるようになり、動けるようになり、動物病院でもどこも悪くないとお墨付きをもらい、予防接種も済ませて、はれてうちの子になった。ちなみに、ノミ取りの薬はまだ小さすぎて使えず、一匹一匹探しては潰した。


で、ここからである。そのミーがある日うちを脱走した。子供たちがドアを開けた隙にするりと出て行ってしまったのだ。うちは完全室内飼いだから出入り自由にはさせていない。でもミーはもともと野良だ。外の世界が懐かしくてもう家には戻って来ないかもしれないと思った。実際数ヶ月間戻って来なかった。季節はもう冬だ。こんなに寒い中どうしてるだろう?と心配していると、なんとある日ひょっこり帰ってきた。ほんとにひょっこりと庭に姿を現し、ドアを開けてやると自分から入ってきたのである。まるで、「ただいま」とでも言わんばかりに。

おお、ちゃんとうちを覚えててくれたのか、偉いぞよしよしと撫でてやると、なんだかお腹が妙にぽってりしている。それにまだ子供だとばかり思っていたのに、よく見るとミーはいつの間にやら立派な美人猫へと成長していた。そう、ミーは外で恋の季節を満喫して妊娠して帰って来たのだ。


それからひと月ほどして、ミーは子猫を産んだ。うちで出産したので立会人は私だ。子供たちはいるとうるさいしミーの気が立つので、パパに連れ出してもらった。

出産は順調だった。出てきた子猫は全部で4匹。生まれた順に長男は全体に薄茶の毛色だからモカと命名。次男は真っ白だからミルク。次に出てきた白黒の縞模様の長女はハル、一番最後に出てきた小さなサビ模様の次女はハナと名付けた。

今ではみんなすっかり大きくなったが、

同じ母猫から産まれ一緒に育ったのに4匹とも面白いぐらいに個性がバラバラだ。


モカはとにかく鳴き声が大きく男前。狩りが大好きで遊んでやると容赦なく爪を立ててくる。いつも凛とした佇まいで人に触られるのをあまり好まない。抱っこなんてとてもじゃないけどさせてくれない。


ミルクはのほほんとした顔つきで鳴き声もどこかアホっぽい。この子はとにかく人が大好きで猫よりも人のそばに居たがる。抱っこも余裕でOK。遊んでもらうのも大好きで人に対して爪を立てることはまずない。


ハルはほとんど鳴き声を聞いたことがない。人のそばにも猫のそばにも寄らず、一匹だけ離れた場所にいることが多い。撫でさせてくれるがゴロゴロとノドを鳴らすことも無い。発情期もとうとう来なかったので、避妊手術も一番最後に受けさせた。


最後はハナ。ハナは女の子らしい可愛い鳴き声で臆病で甘えん坊。いつも母猫かお兄ちゃんたちのそばにいる。撫でてもらうのが大好きで、すぐにゴロゴロとノドを鳴らす。

少食なので身体は一番小さなままだ。


とまあこんな5匹の猫たちに日々癒されたり、爪を研いで欲しくない所で爪を研がれて頭を悩ませたりしているわけだが、初めにも書いたようにうちにはもともと一匹の先住猫がいた。私が一番長い時を一緒に過ごした大切な猫が。というわけで次回はその子の話をしようと思う。


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本と猫とミルクティー @uminomori

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