5

「この塔、危険。

ギュダリア、帰る、これ、持って。」

グノスはジッとギュダリアを見ながら言うと、手に持って居る、セティリアスの荷物が入った袋を渡そうとした。

「待ってくれ、何が危険なんだ。

この塔の上には、何があるんだ?」

ギュダリアは、グノスを見ながら聞いた。


「塔の上、天空の地、ある。

そこに住む者、危険、凄く。

人の魂、食べる。」

「人の魂を食べるのか。。。」

グノスの言葉を聞いて、ギュダリアは全身で、とても危険だと感じた。

それと同時に、その天空の地を見てみたいという、強い欲求に駆られた。


「グノス、ありがとう。

だが、わたしはその天空の地を見てみたいんだ。」

「見るだけ、か?」

「ああ、見るだけ。。。」

そう言ったものの、ギュダリアは、実際にその地を見たら、更なる好奇心に誘われるだろうと、感じていた。

「解った、なら、案内する。

案内居ないと、とても危険。」

「ありがとう。」

ギュダリアはグノスの手に捕まると、立ち上がった。

そして、ゆっくりと歩く、グノスの後に続いた。


それから2時間ほど、塔を登り続けて、昼食を取る事にした。

立ち止まった階層からは、周囲は白い雲のような物に覆われ、何も見えなくなっていた。

ギュダリアは、グノスにパンとミルクと果物を渡した。

「ありがとう。」

そう言うと、グノスはそれらを食べ始めた。

ギュダリアも、同じ物を食べながらグノスに聞いた。

「まだ、遠いのかい?」

「そんな事、無い。

あと、2時間、くらい。」

グノスは、ギュダリアを見ながら言った。


昼食を済ませ、さらに1時間ほど登ると、急に周りが暗くなった。

「もう直ぐ、入る、土の中。

暗くなる、気を付けろ。」

「土の中・・・?

天空の地の中、ってことなのか?」

「そうだ。

そこに、俺たちの家、ある。」

グノスは、ギュダリアを見ながら、少し笑顔で言った。


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