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塔は、直径が30m程もある、大きな円形をしていた。
入口の扉は、鉄製の頑丈な物であったが、それは、明らかに後から付けられた物であった。
「元々は、扉が無かったのか。」
それに気付き、ギュダリアは扉を触りながら言った。
塔自体は、何で造られているか、解ら無かった。
指で押してみると、弾力のあるゴムのように、少し窪んで、直ぐ元に戻った。
しかし、ナイフの柄で軽く叩いてみると、金属のような硬さを感じたのだ。
また、ナイフでその表面を削ろうとしたが、傷付ける事ができなかった。
「我々が知らない、未知なる物で造られている、か。」
少し刃先が欠けた、ナイフを見ながら言った。
ギュダリアは近くにある入口のドアを開き、中に入った。
塔の中は意外にも明るかった。
外周の壁は青色であったが、塔の中は真っ白だったのだ。
白い壁に、白い床、そして、入口から少し離れた所に、上へと登る白い階段が見えた。
塔の中央は、直径が10m程の、円い筒状になっており、中は空洞になっていた。
その筒状の壁には、四角い窓が幾つか開いており、その窓から、明るい光が差し込んでいた。
外壁にも幾つかの四角い窓があり、そこからも明るい光が差し込んでいた。
しかし、どの窓にもガラスのような物は無く、ただ穴が開いているだけだった。
塔は、幾つかの階層に別れていた。
1つ上の階層へ昇り降りする為の階段は、外壁に沿って造られていた。
幅が2m程あり勾配も緩いため、登り易い階段であった。
ギュダリアは、その階段をゆっくりと登り始めた。
1つの階層の高さは5mほどであり、それほど苦も無く、直ぐに登り切った。
そして上の階層に着くと、そこで階段は終わっていた。
次の階層へ登るためには、少し離れた場所にある階段まで、歩かなければならなかった。
そうして、ギュダリアは1階層ずつ、ゆっくりと登って行った。
50階層ほど登った所で、窓から顔を出し上を見たが、塔はまだ遥か高くまで、続いていた。
そこから少し登ると、塔の周りは白い雲のような物に包まれた。
それは雲や霧のような物では無いらしく、塔の中には入って来なかった。
あまり疲れ過ぎないように、気を付けながら登ったこともあり、結局その日の夕方まで登っても頂上に到着しなかった。
「今日は、ここで眠るとするか。」
ギュダリアはそう呟くと、階段の近くに腰を下ろし、軽い夕食を食べた。
そして、リュックの中から小さな毛布を取出し床に敷くと、ゴロンと横になった。
(まだまだ先は長そうだし、のんびり登るとするか。)
そう思いながら、塔の天井を眺めていると、いつの間にか眠りに就いていた。
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