第2話 波乱の予兆
『ピーーーーー』
タイマーの音ともに顧問が全員に集合をかける。
私たち新入生は今日から、高校生活の半分くらいが決まると言っても過言ではない、大事な部活動を決める仮入部期間に突入した。
「おぉ今年もよく集まってんなぁ!」
快活な感じな顧問の名前は高橋 博之と言うらしい。そしてその彼の一言で毎年恒例の自己紹介タイムが始まった。
「はじめまして〜!女バスの部長を務めてます。涼香で〜す!これからよろしくね!」
先頭を切ったのは女バスの3年生の涼香先輩だった。明るくて面白そうな先輩で、ショートカットが印象的だった。
そこから自己紹介は男バス女バスごった混ぜになって進み、ついに1年生の番になった。
誰からいく?お前いけよ!みたいな微妙な空気が流れた時、すっと立ち上がったのは楓だった。
「風見楓です。中学までは
そして私の目をちらっと見て、続けた。
「高校でもいいチームになるといいなって思います。よろしくお願いします。」
そうして楓がニコッと笑うとどこからかキャアという悲鳴が上がった。やっぱり最近の楓には納得いかない。昔はそんなんじゃなかったのに、高校に入るくらいになってから急に女の子たちに騒がれるようになって、なんだか少しだけくやしい。
何がバスケの王子だ、ばーか。
ムスッとした顔をしてると、隣から急に脇腹を小突かれた。
「陽菜、お前の番。」
「えっ!」
楓にモヤッとしてる間にどうやら私の番が来てしまったらしい。教えてくれた隼人に片手で軽くお礼をして、急いで立ち上がった。
「水川陽菜です!中学までは
90度でお辞儀をして座ろうとすると、後ろの方から急に野次が飛んできた。
「はーい!しつもーん!彼氏はいますか〜!」
にやにやしながら手を挙げてるのは、さっき自己紹介していた男バスの2年生の先輩だった。
さっきまで黙ってたのに、なんで私の時だけ?
そう思って対応に困りそうになったとき、隼人が突然、流れを一切無視して自分の自己紹介を始めた。
「えぇー、彼氏はいません。彼女もいません。菊池隼人でーす。先輩俺と付き合ってくれますか〜?」
と言ってぶりっ子ポーズする隼人に、お前じゃねーよ!とか、面白いね〜とかいう声が上がり、盛り上がった。
言うことを言って座った隼人に耳打ちした。
「ありがと隼人、マジ助かった!」
「あぁ?お前の為じゃねー。」
「ふふ、はいはい。」
やっぱり隼人は優しくていい友達だ。
そんな陽菜をそれぞれの気持ちを抱えながら見つめてる3人がいたということが露見するのはもう少し先の話である。
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