第49話 お疲れ様です、先日お世話になった件なのですが……。
「あ、お疲れ様です」
「何だよその気持ちの悪い話し方、って言うか電話何回も無視してんじゃねぇーよ」
「すまんすまん、こっちは色々と大変だったんだ。マジで」
「なぁ、聞きいんだけど、昨日会ったのはお前だよな?」
「さあな、ドッペルゲンガーかもしれない」
「やめろよそういうの、幽霊とか宇宙人とか一ミリも信じてないけど止めろよ、なんかその止めろよ!」
そういえばこいつホラー苦手だったな、悪いなとは思いつつも訂正はしない。
「まあ、昨日会ったのは実は俺なんだ」
「いや、まあ分かってたけど、実はとかじゃないだろ。やけに様子が変だったから確認はしたかったけど」
どうやら心配を掛けていたみたいだ、無視をしまくっていて申し訳ない。
「ああ、すまんすまん、昨日のアレはどうやら現実なんだよ、俺はどうすればいいと思う?」
「知らねーよ、って言うかちゃんと説明してくれよ」
「すまん、説明しなきゃいけない事が多すぎてどれを説明すればいいか分からん」
「じゃあ昨日一緒に居たお前の彼女みたいな女の子の事をまず教えてくれよ、あれは人類か?」
失礼な事言うなこいつ、いやまあ確かに男一人抱えて全力で走ってたり普通の女子高生には見えないよな。っていうか彼女って何? 照れるから冗談でもやめて欲しいんだが。
「一応人類だよ、あの子についてはあんまり良く分かってないけど、とりあえず友達のお嬢様だ」
「そうなのか? 俺にはお前の彼女にしか見えなかったが、って言うかお嬢様をさも普通の言葉かのように使うな。馴染みないぞその言葉」
「残念ながら彼女じゃないんだ、美人だけどミステリアスすぎる、俺が彼女を認知したのはお前と一緒で昨日だ」
「なあお前、やばい女に騙されてないか?」
「うーん、多分大丈夫だと思う」
こいつと話していると、自分の常識や感性が真っ当であることを自覚できる。男と話して精神的に回復するなんて一昨日までは微塵も思わなかったな。
「それはそうと、どうして電話してきたんだ?」
「そうそう、そのお嬢様について相談があって」
「まあ、そうだろうな」
ある程度想像がついていたかのような口ぶりで朝人は話す、どうやら長い事友達をやっているとある程度の事はばれてしまうらしい。
「彼女に一般常識を教えたいと思うんだ」
「まて、俺はお前が何を言っているのか分からないんだが」
「彼女の一般常識は俺らと大きく乖離している、だから悪い奴に騙されないようにしてあげたいんだ」
「俺からしたらお前が騙されているようにしか見えないんだが、後事情をよく話さないのお前の悪い癖だぞ」
「まあそこは友達だから理解したって体で頼む」
「いや、分からんんが、まあいいや、今度しっかり説明しろよ」
やれやれとでも言いたげな声で朝人は僕の相談に乗ってくれることになった。さあ、どうやって彼女の事を上手く誤魔化しながら相談をしようか。
侵略するお嬢様!!! 仙次 @kotee_
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