第37話 明日? 私の入学記念日なので休日ですわ!!!
「啓さん、明日一緒に出かけませんの?」
お嬢様が恥ずかしそうに自慢の金色の髪を触りながら聞いてくる。
「明日学校じゃない?」
嬉恥ずかしい誘いだが、それは出来ない、いや一日くらいなら学校サボっても大丈夫だったかな。風邪以外で学校なんて休んだことないから分からない。
「明日ならわたくしの入学記念日という事で休みになりましたわよ、一応『学校特別記念日のため休校』というメールで連絡されているはずですわ!」
慌ててスマホを確認する、朝人から数件メッセージが入っている通知が見えたが、無視をして学校に登録しているメールを確認する。
メールボックスの一番上の重要なメールに『明日は休校』という事が難しい文体で長く書かれており、生徒や保護者に一斉送信されているようだった。
「本当に休みになってる」
「少し恥ずかしいんですけど、お父様が私の転校記念だという事で強引に休みを作ったらしいんですの、来年からもこの時期のどこかが休校になりますわ、ついでに言うとわたくしの誕生日も休校らしいですわ!」
一人の生徒が転入してきただけで、休日が二日も増えた。今までの僕だったら学校が休みになることで無条件に喜んでいただろうが、今こうして強く恐ろしすぎる権力の力を目の当たりにしてみるとギリギリ恐怖が勝る。
それにそんな事までするという事は凉坂さんの父親はとんでもない親バカという事になる。それは休日が何らかの理由で増えるというメリットと共に、もし彼女と間違えを犯してしまったなら僕の命が残っている可能性は恐らくない、という事だ。
明日デート一緒に出掛ける事なんて出来るはずがない。
「どうですの? 一緒に出掛けませんか?」
回答を催促される。
「なんか予定が出来るような気が……。」
「学校はありませんので暇ですよね?」
「そうですね」
「私、啓さんと遊びに行きたいですの!」
「遊びに」
「はい、行きたいですの! というか行きますわよ!」
「行きますのですか?」
「行きますわよ!」
もごもごと口を濁して、あまり行きたくないと匂わせる行為も凉坂さんの前では全くの無力だった。行くと決められてしまったものは仕方がない、一緒に遊びでも楽しむしかない。
「分かりました、どこ行きますか?」
「わたくし、ここら辺の事をあまり知りませんの、啓さんがよく遊びに行く場所などを案内して欲しいですわ!」
良く遊びにいく場所か、そういえば足を壊してから遊びという遊びをした記憶がない、前はスポッチャとかボウリングとか行ってたけど今も遊びに行けるような場所なんてとくには無い。
「ごめん、僕結構インドア派であんまり遊びに行くとか」
「そうですの、じゃあ私が良く遊んでいた場所に連れていきますわ! 落ち着いた雰囲気でいい場所ですの!」
彼女は当初の目的の付近の遊び場でなく、凉坂さんのホームグラウンドを提示してきた。凉坂さんが良く遊んでいる落ち着いた場所、この破天荒なお嬢様が落ち着いている場所。凄く興味が湧いた。
「行ってみたいな」
考えている際にボソッと声が出てしまった、彼女はそれを聞き逃していなかったみたいで。嬉しそうに美月に『明日あそこに行きますの、予約を』と話をし始めた。
予約がいるような場所ならもっとよく考えて発言をすればよかった。
彼女たちといると自分の足りてない部分が凄く見えるような気がする。
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