12話 訓練の成果。そして冒険者ギルドへ

 アイリに鍛えられることおよそ一週間。

 その成果がこちら。


[プロパティ]

 HP 100 /100

 MP 50 /50

  STR 14

  VIT 12

  AGI 17

  DEX 31(×1.7)

  INT 11

[スキル]

 DEX強化 7

 身体操作 7

 毒物耐性 18

 片手剣 17

 格闘 24

 魔法 6

 挑発 1

 観察 5

 迎撃 6

 回避 3

 採取 12

 鑑定 16


 なお、装備補正は無しの状態。

 格闘スキルの熟練度がやたらと伸びて新たに観察スキルと迎撃スキルを得たのは恐らく、アイリさんの攻撃を篭手で弾きまくっていたからだろう。

 初めは普通に片手剣をした木刀を弾くだったのだがいつの間にか短剣、両手剣、双剣、片手槍、両手槍、片手斧、両手斧、篭手……とバリエーションが増え、最終的には凄いことになっていた。色んな種類の武器をばらまき、アイリさんがそれらを途中で拾って武器を切り替えるとかしてきた。

 切り替えのタイミングで持っていた武器を投擲してくるのが怖かった。なんかこう、絵面的に。

 なお観察スキルにはまだ『攻域観察』と『軌道予測』というアビリティがあるだけなので、HPバーは見えない。『攻域観察』とはなんぞやという話だが、これはダメージを受ける可能性がある範囲が分かるというものだ。熟練度が低いので、構えた拳に力が入っているかが分かる程度だ。ちなみに刃物だと、刃の部分は常に反応がある。熟練度が上がると速度などからダメージ予測なんかも出来るとかなんとか。

 格闘スキルは熟練度が上がっただけで特に変化はなし。前よりかなり弾きやすくなったので補正は掛かってると思われ。

 迎撃スキルは『撃墜の構え』という継続アーツが使えるようになった。これは一定時間、攻撃モーションに対する回避以外の動作に補正が掛るものとアイリさんは言っていたのだが、基本的に訓練での使用は禁止されてしまったためよく分からないが、要は自己バフだ。


 片手剣スキルはアイリさんが次々と投げてくる端材はざいを連続で切るというもので主に鍛えた。なお、足元に引かれた円から出てはいけない。

 あくまでも端材なので的は割と小さく、更に二つ同時に切れとか、三つのうち一つ避けて二つを切れというように難易度が上がっていった。『軌道予測』はこちらで得たのかもしれない。

 ちなみに切れずに叩き落としてしまうと次の的が凄いスピードで飛んでくる。

 他にもアイリさんとの手合わせもやったのだが、打ち合いというよりはカウンターの練習だった。ただし不用意に剣を振ると、さらにカウンターを返される。

 

 回避スキルは……ある意味これが一番大変だった。骨を首からぶら下げて、タロから逃げ回るのだ。もちろん身体能力ステータス的に無理があるのでAGI補正のある靴を借り、逆にタロにはおもりを付けた。ちゃんとAGIにマイナスが付く拘束具で、見た目は動物虐待のようだった。それでもタロは元気に走り回っていたが。

 なおそうして飛びかかってきたタロを避け損ねるとそのまま下敷きにされ、ヨダレまみれになる。回避の訓練だけ、罰ゲームがあるのだ。いや、罰ゲームが設定されてる訳ではないのだが。

 ちなみにタロはめっちゃ重かった。


 そんな過酷な訓練(?)をたおかげで、ステータスはちゃんと成長したわけだ。


 身体操作スキルは正直どの訓練で得たのかはっきりしないが、『姿勢制御』というアビリティがあった。まぁ、体幹が鍛えられたのだと思えばいい。

 あとは毒物耐性だが、これはある日の夕飯に起因きいんする。アイリさんに鍛えてもらっている間、流れで食事はアイリス工房でお世話になっていたのだが、その日のビーフシチューを食べ終わった所で身体が動かなくなったのだ。HPバーを見ると、下に麻痺のアイコンが表示されていた。突然の事で大慌てしたのだが、結論から言えばこれも訓練の一部だった。

 毒物耐性スキルは自力で状態異常から復帰した方が熟練度の上がりが良いのだが、ダメージを受ける毒状態で解毒薬を使わないのはそれなりのリスクがある。そこで最初は麻痺毒を使い、毒物耐性スキルそのものの熟練度を上げると良いのだとか。

 ちなみに知らされていなかったのは、ただの言い忘れだった。

 そしてその日をさかいに色んな場面で麻痺毒が登場し、毒物耐性スキルの熟練度は片手剣のそれを上回ったのだ。ただし全て麻痺毒だったので、解放されたアビリティは『麻痺耐性(経口けいこう)』のみだ。それでも毒物耐性スキル自体の熟練度が高いため他の種類にも効果があるのだとか。この辺はスキル様々である。

 これによって宿の飲み水ではこまめに鑑定する癖がつき、逆に工房での飲食物には鑑定を使わなくなった。毒だと分かっているのに口にするのはなんとなく嫌だった。鑑定しようがしまいが、する事は同じなのだが。


 そうしてそれなりに(主にスキル的に)鍛えられた俺は、冒険者ギルドへとおもむいていた。

 実践練習としてフォレストゴブリンを相手にすると言われ、討伐依頼が来てないか探しに来たのだ。あったら討伐報酬の他にも、目撃情報が得られるというメリットがある。探す手間がはぶけるのだ。依頼がなければ森を歩き回って探すことになる。


 古本屋に行った翌日からは毎日工房と宿の往復だったので、ゲームを始めて二週間が経つのに冒険者ギルドに来るのはまだ二回目だ。

 今日は土曜日な為か、ギルドに人が多い。ほとんどはプレイヤーなのだろうか。


 掲示板の周りや周辺のテーブルに集まる冒険者達を横目に、まずは受付でメヂヘル10本を納品した。100Gを受け取り、ランクがGからFになった。これでEランクまでの依頼が受けられる。フォレストゴブリンは単独ならFランクだが、群れになると規模によってE以上の依頼となる。群れだった場合はアイリさんが大半を蹴散らしてくれるらしいので、Eランクまででフォレストゴブリン討伐の依頼があったら受けて来るようにと言われていた。

 そうして、Dランクまでの依頼が貼られた左側の掲示板へと向かう。


ーーーーーーー

 振り返って見るとセリフがゼロ。完全な説明回になってしまった……


 スキルの表示順は大まかに「身体強化」「武技関連」「戦闘関連」「その他」の順をイメージしてます。深い意味はありませんが、ステータス補正とかが最初にある方が(作者が)見やすいので((

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