4話 スキルとアーツとアビリティ

 スキル一覧を開くが、大きな枠に対して表示されているのは三つだけ。


[スキル]

 DEX強化 1

 採取 10

 鑑定 10


 これはゲーム開始時に提示された、


「STR強化」「渾身」「強打」

「VIT強化」「打撃耐性」「挑発」

「AGI強化」「気配察知」「罠設置」

「DEX強化」「採取」「鑑定」

「INT強化」「魔力操作」「詠唱加速」


 という五つのセットの中から「DEX強化」を含むものを選んだ結果だ。数字は熟練度である。

 「渾身」はタメの長い物理攻撃スキルの威力が増加し、「強打」にはノックバック効果が付与されるとのことで、STRセットはおそらく、重量級の武器向け。

 VITセットは「挑発」がある通り、明らかにタンク向け。「打撃耐性」に関しては、盾の説明に「盾で受け止めた物理攻撃は打撃属性としてダメージを受ける。」とあったからそのためだろう。

 INTセットはもう、どう見ても魔法仕様だ。


 まだ武器を決めてない身としては勿体ないので、武器を選ばなさそうな残りの二つから選ぶことにしたわけだ。

 そしてAGIセットと迷ったわけだが、鑑定で高品質なものを選んで採取すれば序盤でも小銭稼ぎをして服が買えるんじゃないかという期待を込めてDEXセットにした。

 罠って材料費かかるだろうし、逆に鑑定なら店で買う時も割安な物を選んで買えるかもしれない。貧乏性とも言う。

 戦闘がどこまで出来るか分からないが、無理そうならお金を貯めて、攻略組が進んでから型落ちした良い装備を買えば良いやって事にした。採取、鑑定の語感から漂う雰囲気も、生産職寄りっぽいし。

 採取スキルを選択すると、更に詳細が表示される。


[採取]

 熟練度 11

  丁寧な採取 [11]

  採取物発見 [1]


 「丁寧な採取」と「採取物発見」は採取スキルに含まれた技能で、常時発動するものはアビリティに分類される。対して剣技のような、いわゆるアクティブスキルはアーツと呼ばれる。

 スキルの中にアビリティとアーツが内包されている形だ。スキル熟練度が増えるなどの条件で新たなアビリティやアーツが解放されるらしい。

 アビリティはどちらも元となるスキルの熟練度に依存するため、「丁寧な採取」と「採取物発見」の熟練度は[(スキル熟練度)-(解放される熟練度)+1]の表記となっている。

 アーツだと、使用することで別途熟練度が溜まるらしい。


 そして内容だが、「丁寧な採取」は採取品の品質が向上するアビリティ。「採取物発見」は探す対象を指定する事で、視界に入った時に指摘してくれるらしい。今はレアリティの低いものを一種類だけセット出来る。

 地味ではあるが、どちらも嬉しい。


 鑑定スキルの方は「詳細鑑定」と「看破」、二つのアビリティがあった。

 「詳細鑑定」は装備の耐久値や採取品の品質といった一部のパラメータが追加で表示され、フレーバーテキストが詳しくなるというもの。「看破」は秘められたスキルや偽装された鑑定結果を見抜くらしい。その場合は括弧カッコで表示されるとのこと。

 ただ看破アビリティは鑑定スキルの熟練度11で解放されるらしく、[1]という表記になっていた。


 なお、DEX強化には今のところアーツやアビリティは無く、スキル熟練度1でDEX値が1.1倍になっている。このまま行くと、熟練度10で2倍になるのかもしれない。


 三つしかないスキルを見終え、「ステータス」を閉じ「アイテム」を開く。

 一番上には所持金が表示され、下にアイテムがアイコンと共に一覧になっている大きな画面なのだが、今は初心者装備の他に「HPポーション[1]」と「MPポーション[1]」が10本ずつ入っているだけだった。


[HPポーション[1]]

 品質 50

 回復量 50

 最下級のHP回復薬。製作に必要な素材と器具も最低限。


 MPポーションの方も同様で、品質はどれも50ぴったりだった。仮に品質と回復量が比例するとして、高品質な下位のものは粗悪な上位のポーションよりも回復量が増えたりするのだろうか。機会があれば試してみたい。


 そして所持金は5000Gギル。レートは分からないが、まぁ、さほど多くはないだろう。


 四つしかないアイテム欄を閉じ、その下のマップを開く。四角いマップの中央に円形の街が映り、その上に「アトラ」と表示された。

 現在地と向きを見るに、噴水の向こう側に見える一際大きな建物がいわゆる役所で、そこを中心に円形の外壁が築かれているようだ。

 噴水がある現在地は街の南西。そこから時計周りに冒険者ギルド、鍛冶場、職人ギルド、木工場、商業ギルドという並びだ。


 メニューには他にもコミュニティやオプションの項目があったがコミュニティの内容はフレンドやギルド関連で、どちらも関係ないのでスルー。オプションもゲーム開始時に設定したので確認することは無い。


(まぁ、とりあえずは冒険者ギルドに向かってみるか)


 マップを左端に寄せ、立ち上がる。

 ちなみにメニューはイメージするだけで操作できるが、手で直接触れて動かすタイプを選ぶこともできる。次の操作を考えた瞬間に実行されてしまうのが肌に合わない人もいるらしい。


 手持ちの資産を確認し終え、冒険者ギルドの方向にブラブラし始めた。


ーーーーーーー

 ゲームシステム解説パート終了!

 やっと物語らしい内容が始まる……魔法属性の設定は、長くなるのでまたいずれ。

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