ラスボス戦(2)
「もらった!」
「よし!」
そしてすぐさま攻撃に転じた。
奪った瞬間に回転させて、腹部分を砕く。
ナイスヒット!
『ジジ……』
「
続けて二撃。
腰と右膝に一撃ずつ入れて、ラスボスが体勢を崩した。
「
「はああああああっ!」
左足をハンマーの柄で払い、跪かせてから
クリティカルヒットォ!
あまりにも綺麗に入ったので、俺のテンションまで上がってしまう。
「はあ、はあっ……た、
「
「え」
だが、まさか
ラスボスは、他の敵より強いからラスボスなのだ。
「ううっぐああああっ!」
「くっ!」
俺もあのモーションは初めて見る!
そんな状態が続いたら、さすがの
駆け寄って
俺の力でラスボスの耐久性を貫通できるとは思わないが、俺しかいないだろう。
狙うのは——
「離せ!」
頚椎!
肩部分の関節、腕への力を伝達する部分にも近く、重要機関がある可能性も高い。
衝撃があるだけでも防衛機能が働くだろう。
そう思ったが、
脆くなっていたんだろう。
それにしても俺の力でもここまでダメージ食らうって
「た、か、ぎわ、さん!」
「パス!」
「はい!」
突き出した柄を、
だが、
身を回転させ、俺が離れるのを見計らったかのように右側からハンマーがラスボスへと叩き込まれた。
「セイ!!」
『……!!』
まるで野球。
ホームランって感じの振り。
あの力で、あの武器で、あの勢いで。
元々崩れかけていたラスボスの体が、今度こそ地面に転がった。
中身は機械人形。
エラー音が延々と繰り返される。
最後にボフン、と煙を立てて小規模な爆発をした。
持ってきていた斧をもう一度拾って、ラスボスの部品を散らす。
あ、あった。多分これだ。
「
「
「な、なんですか? これ」
ボスの体から出したのは、一見するとバリカン。
いや、レジのバーコードリータ読み込み部位みたいなやつ。
「多分これでパワードスーツを解除できると思う。持って行った方がいいだろう」
「……! 脱げるんですか!?」
「うん。あとはこれだな。エネルギーパック」
「エネルギーパック?」
持ち上げたのは比較的小さな三十センチ×十五センチ代の長方形。
薄くて軽いが、充電できるようになっている。
エネルギーパックとは言ったが、もっとわかりやすく言うと乾電池だ。
この激強ラスボスを動かすほどのエネルギーが入っている。
ちょっと信じられないよねぇ。
「まあ、このロボットの乾電池みたいなもの。救助してもらう時に手渡せば、楽に交渉できるかもしれないだろう?」
「できるのでしょうか……?」
「とりあえず扉は開いたしね」
「あ」
ラスボスを倒したことで、ついに外への出口が開いた。
太陽がやや傾き始めている。
だいたい午後三時半から四時って感じだろうか。
それにしても、と息を吐き出す。
今更震えてきた。
まだ終わりじゃないっていうのに、その場に座り込んで盛大に息を吐き出す。
「
「ああ、うん、ごめんね。でも、敵の虚を突くには俺が動くしかないと思ったんだよね」
「っ」
実際ラスボスは思いも寄らなかったんだろう。
攻略対象たちは戦わない。
ゲームでも、そして今までもそうだった。
俺もできればやりたくはなかったよ。
普通に怖かった。
「……まあ、あと、その……」
「?」
「す…………好きな女の子がピンチだと、なんか、あんまり、深く考えないっていうか……か、体が、無意識に動いた、というか……」
「っっっ」
本当に我ながら、なにも考えなかった。
体が先に動いていたのだ。
特に最後。
程よく鍛えておいてくれたおかげで、比較的ゲーム内のような動きが再現可能だったのだから。
前世の俺の体だったら無理だった。
今後も程よく鍛えよう。
筋肉は本当にだいたい解決する。
筋肉があっても本人にやる気がなければなにも解決しないけどな。
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