迷宮制覇
「では、ラスボスはどんな敵なんですか?」
「ラスボスは——ヤバかったね。女の人、なんだけど……
「っ!」
DLC版をやってないから謎すぎたラスボスなのだが、先程の研究者の話を聞いた今だとあれがこの施設の——そして今回の事件を引き起こしたウイルスを研究していた組織の長だったのではないか——と察することができる。
今考えてもDLCやってないと正体がわからないラスボスとか『おわきん』ダメが過ぎるぞ。
そしてラスボスらしく、強い。
「しかも
柄の長いハンマーで近接戦闘しかできない
しかもパワードスーツが破壊されていく。
せっかく完成させたばかりだというのに。
クソだろ。
本当に初見であれはクソだった。
「す、すごく強敵ということですか」
「ああ、ラスボスらしく本当に強いぞ。俺から言えるのは——ハンマーはとにかく避ける。戦闘中何度か取っ組み合うモーションが発生していたんだが、その時武器を奪えるんだ」
「武器を奪えるんですか!」
「うん。それで戦わないと勝てない」
掴み合い、拮抗した時にボタン連打で武器奪取。
それで戦うのが唯一の攻略法だ。
「でも同じように拮抗した時に奪い返されたりもする。そこは注意かな」
「武器が鍵なのですね」
「うん。奪う時はなんとか接近しなければいけないけれど、奪ったあとはとにかく接近させない。できる限り間合いを取りつつハンマーで相手のパワードスーツを破壊して倒す。でも、戦闘スタイルは
「わかりました。……緊張しますね」
「うん。今までの敵とはレベルが違うもんね」
あのラスボスはマージで強い。
そしていつも通り攻略対象たちはなんの役にも立たないので、後方待機。
頷き合い、気合を入れて迷路を進み始めた。
足を怪我している
「あの、
「ん? なんだ?
「ボス戦を超えたあとも、外に出ると軍隊に襲われるんですよね? 僕たち、本当に無事に外へ出られるんでしょうか?」
手当を終えてから、脂汗の滲んだ
痛むんだろうに、その不安の方が今は強いのか。
「まあ、ゲームでは無事に出られたしな。俺を信じられないのなら、別にお前と
「い、いえ。僕は……僕も
「ま、
ああ、そういえば
だから、
知らないのに、そんなことを言うのか。
肩に
「じゃあ、頑張って生きて出ようぜ」
「はい」
ここから出たらなにがしたいか、とか、話した方がいいんだろうけど……ホラゲでその話題は死亡フラグだ。
誰一人口を開かないまま、曲がり角があった時だけ俺が指示を出して迷路を進んでいく。
たどり着いたのは最後のパワードスーツパーツの部屋。
「これを取ったら……どうなるんですか?」
「ボス部屋への通路が開くんだ。でも取っただけじゃ開かない」
「え、そうなんですか? えーと、それじゃあどうすれば……」
「とりあえず全部着てみて」
「あ、はい」
ついに完成する
胴体上半身。
着ると頭の部分が自動的に出現して、フルフェイスマスクが
うわあ、カッケェ。
カッケェけど、乙女ゲームであること忘れるなぁ。
「か、かっこいいですね、
「うんうん、かっこいいな」
「……」
背中から羽みたいなブースターも出てきて、いやー、ほんとジャンルをどうしたいんだ『おわきん』。
「完成したスーツで、そこの部屋の中央にある色の違う床パネルに乗ってくれ」
「あそこですか? わかりました」
「俺たちは部屋の入り口に行くぞ。ラスボス戦が始まるからな」
「は、はいっ」
「
「はい!」
すごく頼もしい返事を聞いて、俺たちは部屋の入り口のスペースに移動する。
俺たちの安全を確認した
その床に
やや青白いライトが四方八方から
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