地下四階エリアボス(2)
さて、敵の攻略法を
こちらも
「下に柱が四本あるのが見えるよね?」
「はい。あれがヒントなのですか?」
「うん。柱を印の方向に回すと四つが石の蓋の方に向くようになっているんだ。それでロックが解除される。でも、柱を回すのはかなりの力が必要で、パワードスーツを着た
「わかりました、やってみますね」
「蓋が開くとすぐにボスが出てくるから気をつけて!」
「はい!」
申し訳ないが、俺は体育館二階の観覧場所みたいなところから、
相変わらず役に立たない。
でも、やれることをやろう。
ここを抜けてあとは地下五階だけだ。
生きて出るんだ。
不本意だが、
四人で、生きて出よう。
「ふう!
「わかった! 動かしたらすぐに距離を取ってくれ! ボスは蓋の中から完全に出てくることはない!」
「はい!」
ここのボスは強いが、幸いなことに固定位置だ。
中からにょろりとイカの足が出てきて、次にタコ足。
鋏を掲げた本体のカニが出てきて
「た、
「どうした!?」
「タコ足とイカ足とカニって言ってませんでしたか!?」
「え? うん」
赤い血管が浮かび上がった吸盤のある触手みたいなタコ足。
真っ白な赤や紫や緑のか細い血管が浮かぶ吸盤のある白い触手みたいなイカ足。
頑張ればカニに見えなくともない本体から伸びる、エゲツない形をした赤い岩のようなカニの鋏。
……まあ、初見でこのクリーチャーをタコ足イカ足のカニ、と思うのはいささか無理がある、かな?
三周目あたりからはもうそうとしか思えなくなるんだけど。
「くう! あと速くありませんか!? 伸び縮みもしている! ような!?」
タコ足とイカ足を避けながら
え、速いよ?
三つ巴がすっとろく感じる程度にはタコ足とイカ足は動きが速い。
だからこそ、最初の一本を引き千切れれば戦況はどんどん改善していけるのだ。
俺は上から全体を見渡し——。
「
「はい!」
「柱に引っかかったタコ足を千切って、追ってきた足に投げつけて!」
「はい!」
柱は意外に頑丈で、このエリアのオブジェクトとして戦闘の役に立つ。
おもに追いかけてきた足を引っ掛け、引き千切るのに。
その中でボッチ化した足を次の狙い目にするのだ。
それを繰り返していけば足はどんどん数が減る。
密集地にぶん投げれば勝手に奪い合いを始め、自分の足だというのにさらに細かく千切って食らい合う。
心底バカだなコイツ、となる敵である。
まともに戦えば間違いなく強敵なんだけどね。
なんなら初見でボロックソに負けたけどな。
攻略法がわからないうちはマジで凶悪なボスだけどな!
「
「っはい!」
バク転して避ける! かっこいい!
八メートルはありそうな凶悪な岩の塊みたいな鋏が振り下ろされる。
避けるのは難しくないが、あの見た目の攻撃を受けると死ぬ。
油断は禁物だ。
「最後の一本!」
「
「はい!」
本体が顔を上に向けたモーションは、広範囲攻撃だ。
引き千切ったイカ足を重ね、その後ろに隠れてる
バトルフィールドの半分が真っ黒に染まるほど大量の墨。
「滑りやすくなっている! 柱回り込み、迂回して背後に回るんだ!」
「はい!」
上からなら戦況がよく見える。
今のところ大きなダメージもなく、ノーダメで勝てそうだ。
俺の指示通りに柱の後ろを駆け抜けて、カニの背後に回り込む。
カニはあの場から動けない上、目も耳も悪く触手をすべて千切られた今、
「頭の殻を砕いて!」
「はい!」
ここまでくればあとは最初に言った通り。
カニの頭を砕き、柔らかな中身に一撃入れればいい。
ビキビキとコンクリでも砕かれるような音がして、白いカニの中身が噴き出した。
「たああああああああああああああ!」
カニが鋏を持ち上げる。
その前に、
カニの声鳴き断末魔。
鋏が床に落ち、轟音と強風を巻き上げた。
「や、やりました!」
「お疲れ様!」
無事のノーダメクリア!
久しぶりにテンションが上がる。
そして、カニは灰になって消えていく。
そのあとに残されたのは、箱と階段。
「これが——」
胴体、下半身パーツ。
俺の方を見上げる
防御力、スピードが上がる他、蹴りの威力がアップするパーツだ。
ラスボス戦では必須となる。
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