地下四階のエリアボス(1)
そうしてようやく
ただ、一箇所だけ奇妙な場所があると
俺の話を聞いていたからこそ、その場所が“そう”なのだと思って後回しににしていたのだろう。
そこは体育館のような場所。
その中央に大きな円盤型の石が埋まっており、謎解きをしなければならないようになっている。
はい、クソ仕様。
「なんだこりゃ……? お、おい、
「なんか気持ち悪いですね……ここから下に降りるんですか?」
「ああ。そして
「やっぱりここが階段だったんですか」
降りるにはここのボスを倒し、パーツを手に入れるしかない。
そしてボスを出現させるには、あのどでかい石の蓋を開けるしかない。
どでかい石の蓋は謎解きで仕掛けを発動させるしかない。
乙女ゲーのくせにホラゲーでもある『おんきん』のクソゲー感が、ここにきて強くなるという余計な仕様。
マジで余計なんだよなぁ!
「確か、私のパワードスーツのパーツがあるところには強い敵が出るんですよね?」
「そう。つまりここ」
「「えええええっ」」
「
念には念を入れ、片腕の動く
この謎解き、攻略対象は基本的に役に立たない。
え? 攻略対象が役に立つところあるのかって? ないよ。
だからクソゲーなのだ。
お荷物どもに文句言われたり、裏切られてピンチになったりしながらも守りながら出口を目指し、運良く恋愛関係になったりしたらそれをほんのり楽しむ——そんなクソ乙女ゲーである。
「敵はどこにいるんでしょうか?」
「確か、あの真ん中の円盤型の蓋を開けると出てくる。タコみたいなイカみたいなカニみたいな敵だったな」
「海鮮ですね」
先程の研究員に聞いたゾンビを生み出しているウイルスの話は、
多分俺がプレイしていない、DLCの内容だと思う。
しかし、果たしてあれだけがあのクソゲーの真相なのだろうか?
結局パワードスーツを
俺もプレイした記憶は曖昧だからなぁ。
特に
いや、『おわきん』の攻略対象は全員無能な役立たずお荷物ばっかで乙女ゲーの概念が覆されたけどな。
俺が初めてやった乙女ゲーであり、これ以上のクソな乙女ゲーはなかった。
「でもイカとタコはぎりぎり想像がつくんですが、そこにカニが入ると途端によくわからなくなりますね……」
「えーと、体がカニで、そこからタコ足とイカ足がうねうねしていたな。広範囲にスミを吐いてきて、食らうと視界が一時的に汚れてタコ足とイカ足の攻撃をモロに食らう。タコ足とイカ足に絡みつかれて捕まると、何度も床に叩きつけられて連続でダメージを負う。近づくとカニの
「つ、強いんですね」
攻略Wikiみたいになってる自覚はあるが、ここで
ここのボスとラスボスは冗談抜きで強かったので、俺の知識はフル活用してください。
「攻略方法としてはまずタコ足とイカ足を千切る」
「ちぎる!?」
「ああ。容赦なくブッチブッチにぶっ千切ってくれ。千切ったら敵にぶん投げてやれば吸盤でタコ足とイカ足が大混乱する。その隙により多くのタコ足とイカ足をぶっ千切るんだ。すべてのタコ足とイカ足を千切ったら、残りはカニの鋏だけになる。とにかくタコ足とイカ足は数が多い。物量で負けてるから、減らすところからだ」
「な、なるほど。初見では絶対思いつかないですね」
「そうだよ。戦い方がわからなくて初見から三回は負けたからな、俺は」
マジで忌々しい敵だった。
もっと言うとカニの鋏はモーションが遅いから油断する。
油断して一撃食らうと即死する場合もあるレベルでダメージがでかい。
本当に気をつけてほしい。
「カニは鋏攻撃を避けながら、頭にパンチを五回食らわせると殻が砕ける。殻が砕けたらキックで貫くと、大ダメージを与えられるからとにかく鋏に注意して。ちなみに鋏を頭に食らわせても殻が砕けるし、自爆してくれる。おすすめだけど難しい」
「ワア」
「時間をかけてもいいから、とにかくダメージを受けにようにね」
「わかりました!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます