怪我
でも俺はゲーマーなのだ。
しかもアクション、格闘が得意な。
本物の銃も、海外で練習したことがある。
本物ではない銃もサバゲーで扱った。
「次の部屋に行ってみよう」
「は、はい。そう、ですね……」
ゾンビに関して、考えても仕方のないことだしね。
結局、襲ってくるのなら
隣の部屋に移動すると、そこにも武器を持ったゾンビがいた。
床に……吸い込まれるように。
思わず床の素材を確認してしまうが、石みたいなんだよな。
ゲームだからと深く考えたことはないけれど、死体がなんの痕跡も残さず消えるって結構おかしなことでは?
「あ、食糧がありましたよ! これは、パンですね!」
「今度こそ
「え、でも見つけたの
「
次の部屋にあったのはアンパンだ。
アンパンなんてゲームの中にあったかなぁ?と思いつつ、
本当に俺にくれるの?
「
「そうです!
「っ」
それでもやはりエネルギーを必要とするのは、体を動かす
受け取ったアンパンを二つに割って、さらに四分割する。
「甘いものは熱になるからみんなで食べた方がいい。
「いいのかぁ!? ありがとう、
餌付けされて懐くんじゃねぇよ。
不本意だが、
俺も食べたいし、
四人で四分割したアンパンを食べる。
三口くらいで食べ終わるが、なにか口に入れただけでもなるほど、かなり精神的に違うな。
「食糧も水も多くて助かるな」
「はい。怖いですけど、
「はい! そうですね」
「あとは出口もあるといいんだけどなぁ」
こいつらも甘いものを食べてリラックスしたのか、先程の張り詰めた感じが少し薄らいだ。
人間あまり長時間緊張していられないからな。
しかし、部屋から出たらまた気を引き締めてもらわねばならない。
地下三階の部屋は残り五。
廊下を
『『『ウァァァァァァァァァァァ』』』
「こいつは!」
「
「はい!」
三つ巴である。
頭を三つ持つクリーチャー。
頭を潰すたびにリミッターが外れるように強くなっていく。
安全に倒す方法など、一気に頭を潰すしかない。
しかし元々のスペックが高い、サブボスの強さ。
さらに足を掴み、俺たちのいる場所から反対側へと
その上で、こちらに顔を向けた。
ヤッベェ!
「
「た、
「奴の気を引く!
「は、はい!」
前転して廊下に出て、
顔が二つ、ぐるりと180度回転してこっちを見る。
いや、キッショ!
目が合った瞬間の怖気たるや。
全身一気に鳥肌たった。
残念ながら武器になりそうなものはなにも持ってない。
あんなやつに掴まれただけでも、俺の手足は容易く折れる。
触られたら一貫の終わり!
『ウァァァ』
はい、そんで駆け足で迫ってくるんですね、クソ野郎。
だが、ゾンビ三体分の体は三メートル近くあり、要するにでかい。
駆け足で近づいてきた三つ巴の股の間目掛けてしゃがんで、飛び込む!
「今だ!」
「はい!」
股の間を潜るという一発技。
元の俺の体ではできなかったかもしれない。
俺が股の下を通り過ぎたことで、転ける三つ巴。
その頭を
あっぶね……。
「うわああああ!」
「!? しまった!」
「
俺と
立ち上がって、俺も部屋へと急ぐ。
「
「うっ……あ、足が……!」
「っ! 傷を見せろ、
「うううっ」
よりにもよって足かよ!
部屋の片隅に逃れた二人は、縮こまって頭を抱えていた。
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