地下三階探索
地下三階。
俺たちが初めてこの建物に入った時、地上一階だった場所だ。
上の階より薄気味が悪く、生暖かい空気がまとわりつく。
明かりがさらに落とされ、薄暗さまで増していやがる。
その上、明らかになにかいる。
あぁ、とか、ウゥ……とか、廊下に響いているのだ。
二階までは会話もあったが、地下三階の空気に当てられて全員が黙りこくる。
それがより一層、地下三階の気味の悪さを引き立てるのだ。
「部屋を探索しよう」
「ひっ」
「あ、あぁ、そうだな」
俺が声をかけると
ビビらせたのは申し訳ないが、部屋をスルーして探索を疎かにはできない。
地下三階といえば、上の階よりアイテムが豊富だったはずだ。
「ァァァァァア!」
「皆さん! 後ろに!」
「うわー!」
出入り口に差しかかった瞬間、長剣が振り下ろされた。
寸前で
すぐさま頭を潰して倒してくれたが、
「うっぜぇ。放せ」
「怖い怖い怖い」
ムキムキマッチョが男にしがみつきながら「怖い怖い怖い」って呟いて泣いてる方がよほど怖いわ、ざけんな。
「も、もういませんか?」
「はい。大丈夫だと思います」
「手分けして部屋の中を探そう。おい、
「こ、怖ぇよぉ。もう上に戻ろうぜぇ」
「あ、携帯食糧がありましたよっ!」
「マジか!」
「こちらには水のペットボトルがありました。市販のものと同じパッケージです」
「本当だ。コンビニにも売ってる水だな。これは安全そうだ。全員今どれだけ水を持ってる?」
「俺はもうない」
「僕も……」
「わ、私も」
「俺も
「「えっ」」
当たり前だろう、お前ら戦わないんだし。
物資は全部
文句なかろう?と睨むと、
「携帯食糧は
「え、でも
「俺はまだ我慢できるから大丈夫。これだけ見つかるってことは、他の部屋も期待できそうだしな。探索はしっかり行おう」
「わあ、ありがとうございます、
三本入りの携帯食糧一本でこんなに感謝されるとは。
不満そうな
すると
女神か?
「中途半端だからさらに腹減ってきたなぁ」
「文句言うな。他の部屋にまだあるかもしれないだろ」
「白米が食いてえ」
やはり
「ぎぃいいいいぃ……!」
「ゥァァぁォ」
「出たぁ!」
「部屋に戻ってください!」
携帯食糧に気を取られていると、
今度は三体同時。
敵の数が一気に増え出した。
そして、倒した瞬間黒い水のようになって崩れていく。
地上のゾンビと消え方が違う……?
「なんだか、地上のゾンビより、強い……?」
やはりそうか。
「消え方も違うし、もしかして地下のゾンビはキャンプ場の客じゃないのかもしれない」
「え? ど、どういうことですか?」
「考えてもみてくれ。地上で
「……っ!」
しかしゾンビに種類があったなんて、俺も初めて気づいた。
ゲームでは戦闘画面と移動画面は2Dで、アイテムはちゃんとアイコンが出て探しやすかったし。
どうしよう。
めちゃくちゃ嫌な感じがする。
このまま進んでいって大丈夫だろうか?
っていうかハンドガンの一つも置いておけよ〜!
ヒロインにだけ戦わせる乙女ゲームって本当おかしいだろ〜!
これだからクソゲーって言われるんだよ『おんきん』〜!
そりゃ、ゲームの中の攻略対象どもに武器を持たせたらクソみたいなオチしか思い浮かばんけれども。
特にナンバーワンやらかし野郎
つまり俺。
銃とか持たせたら100%ろくなことに使わない。
そう、シナリオとキャラクターの性格をしっかり理解している運営、攻略対象に武器を持たせないのは実に賢明な判断。
間違いない。
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