光路
U朔
最高で最悪なこの路
ハァハァハァッ。あれから、いくら歩いただろうか。この、何もない路を。だが、もう少し、あと少しで解放される。そして、これまでの歩みが報われる。
「あぁ、ようやく、ようやくここまで来た。後はこの階段を登れば・・・」
何分、いや何時間も見続けてきたあの光に、ようやく手が届く。これで、これで彼との約束を果たせる・・・。
俺の隣の席は、いつも空いている。と誰もが思っている。だがしかし、俺には見えている。その席で、真面目に授業を受ける一年前に事故で死んだ幼馴染みの姿が。一年前の今日、彼は俺に言った。一年後の午後十時に僕の家まで来て、と。その次の日、彼は死んだ。
授業が全て終わった。約束の時間まで、あと六時間。俺は急いで家へ向かう。家に着くとまず階段を降り、その次に扉を開ける。その先には、明かりの全くない、出口の光しか見えない長いトンネルがある。何年ぶりだろうか、この光景を見るのは。感傷に浸りながら、一步ずつ足を運び始めた。
ハァハァハァッ。あれから、いくら歩いただろうか。この、何もない路を。だが、もう少し、あと少しで解放される。そして、これまでの歩みが報われる。
「あぁ、ようやく、ようやくここまで来た。後はこの階段を登れば・・・」
何分、いや何時間も見続けてきたあの光に、ようやく手が届く。これで、これで彼との約束を果たせる・・・。
ようやく彼の家に着いた。玄関のチャイムを鳴らし、叔母さんに案内されながら、彼の元へと向かう。仏間には、無邪気に笑う彼の写真と線香だけが置かれていた。挨拶をし時計を確認すると、ちょうど十時になった。
「聞こえてる・・・かな?君には言っておかないといけないことがあるんだ。それはね、あのとき君が庇ってくれてすごいうれしかった。でも、結局こうなっちゃたね。今までありがとう。この路は、僕と君との最高の思い出で最悪の思い出だよ。最後に、今まで僕のふりををしてくれてありがとう。バイバイ、◯◯くん」
一気に気が抜け、意識が遠のいていく。意識が戻ったのは翌日の朝だった。その後、あの長い最悪で最高な路を歩き、家へ帰った。
君は、あと何回この路を往復することになるのだろうか・・・。
光路 U朔 @SsssssS0401
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