第39話 この後めちゃくちゃ○○した
はてさて、小枝ちゃんのペット問題が無事解決したのはいいものの、俺にはまだ『お礼クエスト』についての問題が残されていた。
お礼クエストとは、俺が精神的におかしくなっていた期間にお世話になったクラスメイトに何らかのお礼をする、っていうだけのもので、一応クエストとは呼んでいるがつまりはただのお礼だ。
俺の予想するお礼とは、せいぜい一週間パン買ってこいとか、部活の助っ人として来て欲しいとか、ちょっと仕事の手伝いをしてくれー、くらいのものを予想していたのに、小枝ちゃんのせいで初っ端からおかしな方向に進み、途中でチラ見した内容も性的に体を要求されるようなものだったもんだから、俺はもうビビってしまって未だラインを開くことができていない。
という訳で、自宅に戻った俺は涼とエリマリに見守ってもらいながら恐る恐るラインを開いたのだった。
「男子からの要求はだいたいが女の子紹介しろーとか、遊び行こーとかだね。まぁこれは挨拶みたいなもんだから『りょー』とか返しておけばいんじゃない?そもそもおにーちゃんは友達自体がいないのに、紹介だなんて最初から無理な相談だけどね草」
「草生やすなお前。昔の俺はスマホを持っていなかったからだ。今の俺なんて、むしろ友達しかいないんだ」
「兄さん、そんなことよりデート案件が3件あるね。これはレンタル彼氏だと思えば私的には全然いいと思うよ?まぁ…念のため尾けるけど、記念にキスくらいはしてあげてもいいんじゃない?」
「キスはまぁ…絶対にしないとは言えないしな俺。なんたって半分アメリカ人だし」
「響、響のファーストキスってボクだよね?」
「………だね」
「ちょっ!誰よ!!ボク知らないよ!誰なのよ!!鈴音とはお試しとかで何回かあるかもだけど、彼女としてはボクが初だよね?ね?」
「そうだけど、つかお前のファーストキス基準なんなん」
「あ、そうだリンリンがね、人生の最後に響ちゃんがキスする女、それは私。って言ってたよ。小さな胸を張って。格好よかった。胸は小さいけど」
「はいはい。鈴音の話は置いといて。ボクもデートくらいはしてあげてもいいと思うから、『日時を決めよう』って返信してあげてね」
「で、あとは勉強を教えて欲しいとか、委員会を手伝って欲しいとかだね。一緒に曲を作りたいとか、絵画モデルになって欲しいとかもあるけど、これってみんな女子でしょ?ある意味、デートしたいって言う子より狡猾な手口よね。兄さんを長い時間拘束する腹積りなんだよ」
「なら1回に限り、とか時間に制限を掛けてみたら?響だって何回も駆り出されたら困るでしょ?」
「たしかにな。でもお礼だからね、最初からそんなこと言えないよ。タイミングを見て断るならまだしも」
「その辺はおにーちゃんが上手く立ち回ればいいっしょ!出来なかったらさ、エリナのおにーちゃん返せー!って言いに行くから問題なし!」
「よく言ったエリナ。今日のMVPあげる」
「まじ?じゃ授乳のやつやってもいい?」
「いいよ。けどお前夢中になるとな、握る手が強くなるんだよ。あれ痛いの。やめて」
「がんばる!!」
「その気合が怖いんだが」
「さて、じゃー今日の本題ね。響、ぶっちゃけこの二人としたいの?」
「したいよ」
「真顔で言うふつー?ボク達3人も恋人いるのに、まだしたいの?だいたい、ボクは響以外となんて死んでも嫌なのに」
「仕方ないだろ。半分アメリカ人なんだから」
「もうアメリカ人に殴られちまえよ!」
「殴られたって屈しないぞ!だって半分日本人だからな!」
「あっはは!兄さんかっこいい!」
「エリナは半分イギリス人だけどしたくないよ!紳士だから!」
「淑女な」
「でもさ、兄さんみたいな最高な男がだよ?生涯関係を持つのが私達だけってのも可哀想な話じゃない? 避妊さえしてくれたらワンナイトくらいさ、いくらあっても良い気がする」
「それはまぁ……そうかもだけど、勘違いされたらボクは嫌だし…」
「そしたらエリナが勘違いすんなー!って言ってあげるから問題なし!」
「おいおいエリナどうした。なんかお前今日輝いてるな!スターでも取ったのか?!」
「そだよ! ダンダンダッダ ダンダンダダンダン♪♪だよ」
「そして テレッテ テレッテテ♪だな」
「どして?!エリナスター取ったと思ったらすぐ死んだ!」
「落ちたな。調子こいてダッシュしてるからだ」
「あるよね〜♪鈴音とエリナがやりがち」
「真理はスター取りに行こうとして焦って落ちるよな」
「だよね!ボクは上手だけど、響はよくワンワンにやられる」
うん。
この後めちゃくちゃマリオした。
で、結局のところ、俺が本気にならなきゃ割と女性関係には寛容みたいだね、三人共。
まぁ、俺はいつだって本気なんだけどな。
とりあえず、あの二人には後日涼達が面接するってことで話はまとまった。
これ以外にもデートやら何やらで久しぶりに少し忙しくなりそうだ。
実は中2になったくらいの時、俺を真似して家に突撃する奴らが出てきて、地域を巻き込んだ結構大きな問題になった。
それからは全面的に突撃タイプのクエストは行えなくなったから、継続的に行ってるやつだけになり、もう高校生になってからはピアノ演奏依頼のクエストくらいしかしていなかったからね。
そんな状態だから、将来に向けてこの高校で試したい事も色々あったんだけど、親密な友達作りが苦手な俺はまだ何も成せていなかった。
だから、このお礼クエストを通して関係を深めることが出来れば、きっと何かに繋がるはずだ。
俺はそれがちょっと楽しみなんだ。
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