第13話 恋人ごっこin京都
京都についた。
途中で寝ちゃった響の手をそっと握ってみたり、寝顔の写真を撮ったりほっぺをムニムニしてたらなんか既に京都だった。
約2時間がマジで秒だった、恋ってスゲー。
到着したのは9時頃で、駅ビルのお店が開くまでの間、お土産を物色して過ごした後にやっと響の服を買った。
ワックスも買って髪型をオールバックにセットし、ボク好みのキレイめなワイルド響が完成した。
そんな響についついポーッと見蕩れてばかりいると「視線が熱すぎて絡みづらい」と困り顔で指摘されてしまった。
それを聞いてハッとした。
たしかに… せっかくここまでいい距離感でこれたのに、普段のノリを忘れ、恋する乙女全開な女が側にいても扱いに困るし楽しくないよね……
順調にいきすぎてついつい浮かれて何も見えてなかったけど、考えてみれば、ここまでの響の反応は、女バージョンのボクに合わせてじゃれ合ってくれていただけだ。
それを勘違いしてビッグウェーブとか調子乗っちゃって、ボクのバカ!
そして今みたいに恋心を前面に押し出すのなら、せめて告白してからにしなきゃダメだし、あわよくばこのまま流れで…なんて卑怯じゃんよ!ボクのバカ!
……なんて反省して落ち込んでいたら
「いやそんな凹む?じゃー今日は親友じゃなくて恋人やるか?その方が俺もやりやすいし」
って言ってくれた!!
めっちゃ興奮してマッハで頷いたらちょっと首痛くした。
て、ゆーか、もうなんなのなんなのなんなのー!!
「ほんと?!ほんと?!いーの??」
「な、なにが?!彼女が?いーよ?だって、涼はそうしたいんだろ?」
「………………うん(ポッ♡)」
「なら、しよ?」
「うん♡」
もうめっっちゃ嬉しくて、響に抱きついてしばらく甘えてた。
そしたら「いや、ちょっと分かるんだよねー」って響が言い出して、「お前らに騙されて入学式で女装した時さ、実は男からの視線ちょっと気持ちよくてさー、このままたぶらかしてみたい!ってゆーね、そんな気持ち?だから涼の気持ち分かるわー。楽しいんだろ?俺の反応が。まぁ分かるから気にすんな。それに恋人気分とか楽しそうだし、恋人ごっこin京都。いーんじゃない?あはは」ってさ。
ハハハ……ボク、今日女装してると思われてたみたい。
……ぴえん。
どうしよ、致命的な勘違いが発生しとる。
そりゃそうだよね、ボクが女として生きる覚悟決めたこと、響知らないし…
たぶんコスプレの一種くらいの感覚なんだろな…
いや、でも大丈夫、まだ旅は始まったばかりだし、うん。
そうだよ!今はごっこでもいーじゃない!
夜にでも、ちゃんと打ち明けて…それで……
うん…大丈夫だよ…きっと……
……………………
朝から涼が変だった。
何か知らんけど女装してた。
俺を励ますためのサプラーイズ!って感じだったのかな。
それなのにブチ切れちゃった俺……空気読めなすぎじゃね?
準備とかめっちゃ大変だったろうに、ほんと申し訳ないことをした。
いや、言い訳せてもらうと、それだけ京JDとの一夜が楽しみだったんです!すいません!
つーか、涼が可愛いすぎてヤバい件。
俺も一度女装した事があったけど、やっぱ元々女だけあってめちゃめちゃ様になってて敵わないと思った。
顔は勿論、声も骨格も肉感も全部女で…って素材が女なんだから当たり前なんだけど、昨日までは見た事もない表情だったり口調とか声のトーンでさ、ドキッとする瞬間が何度もあって困ってる。
もはや別人過ぎて、実は姉です、とか言われても普通に信じられるくらいだ。
まぁ口調は違っても『僕』って言ってるし本人に間違いないんだけどさ。
けど、涼がこのまま旅行中は女のコスプレで通すつもりだとしても、いつも通りの接し方だとちょっと違和感が出ちゃうんだよね。
特に俺がセットし直してからは、コスプレ魂に火がついたのか、より女感出してくるから余計にやりにくくて仕方ない。
ならいっそのことこの遊びに俺も乗っかるか?と思い立ち、恋人ごっこを提案したら予想以上に喜ばれた。
涼は時々デレる俺の反応見て面白がっているんだろうけど、悔しいからこうなったら俺も徹底的に彼女扱いしてやろう。
遊びも本気でやれば一層楽しめるもんね。
よっしゃ。お前が引くくらいに彼氏役やってやるからな、覚悟しろよ!
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