第4話 スキル適正と駆ける男


 この世界にはスキル適正と呼ばれるものがある。


 スキル特性とはそのものの個性でもあり、あらゆる生物が所持している。そしてその種類はこの様に分かれており、これに関連するスキルを覚え易くもなった。


☆力の適性


 物理攻撃力に影響する。


 力が強ければ重い物なども持てるようになる。



☆器用さの適性


 命中率に影響する。


 弓矢や銃の精度が上がり攻撃を当て易くなる。



☆丈夫さの適性


 物理防御力に影響する。


 打たれ強くなる。



☆敏捷の適性


 動きの速さに影響する。


 速く動けるようになる。



☆知力の適正


 魔法の攻撃力に影響する。


 魔法の威力が上がり、効果範囲も広がる。



☆精神の適性


 魔法防御力に影響する。また、回復魔法、補助魔法の強さにも影響する。


 ステータス異常系の魔法に対するレジスト率も上がる。



☆運の適性


 運に影響する。


 ドロップアイテムの獲得率、宝箱の遭遇率などが上がる。



☆魅力の適性


 可愛さ、かっこよさ、リーダーシップなどに影響する。


 歌い手、踊り子などの特殊効果にも影響し、テイマーのテイム率にも影響する。



 ★



「あ~あ。俺は力の適正か~」


「良いじゃない。そんなに悪くない適正だし。運の適性とかだったら大変だったわよ」


「まあな~」


 力の適性は汎用性があり悪いものではないのだが、所持者が多く平凡な適正と呼ばれている。


「それに、私の精神の適性とも相性は良いんだから、これなら今すぐにでも二人でパーティーが組めるわよ!」


 ミカは得意げな顔をアルに近づけるが、アルはそれを両手で押し返す。そしてミカはむっとした表情に変わり、その両頬は赤く膨らんだ。


「そうだな。力の適性はそんなに悪いものじゃないし、我慢するか!」


「ご飯できたわよ~」


 1階からミカのお母さんがアル達を呼ぶ。


「は~い。今行く~! アル、行きましょ」


「ああ、腹減ったしな!」


 二人はそれほど悪くはない結果に満足をしながら、階段を下りていった。





 お昼を食べたあと、二人は街をぶらつくことにした。今日はスカイボールの決勝戦が行われ、街がお祭り騒ぎとなっているからだ。


 そして今は試合も終わり、街の中は人混みで溢れ返っている。


「何か食べよ!」


「さっき昼を食べたばかりだろ」


「デザートよ。デザート!」


 ミカは甘いものは別腹という顔をし、近くの出店からクレープを2つ買った。


「はい、イチゴで良かったでしょ?」


「チョコレートの方が良かったんだが…」


 ミカが美味しそうなイチゴのクレープを突き出すと、アルは顔を横に背けながらそれを受け取る。


「嘘ばっかり。イチゴの方が好きなくせに」


 アルは、男でイチゴ味のクレープを食べながら大勢の人混みの中を歩くということに抵抗があり、心にもない発言をしてしまう。





 賑わう街をぶらつく中、一人の男が大慌てで大通りの人混みの中を駆け抜けて行く。額からは大量の汗を流し、その姿はタダならぬものを感じさせた。


「どうしたんだ?」


「何かあったのかしら?」


 男を視線で追うと、どうやらギルドへと向かっているようだった。


「行ってみる?」


「当然!」


 アルはまだまだ15歳で、好奇心が旺盛だ。2人は先程の男を追いかけるようにしてギルドへと向かった。


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