第33話 トワイライトの崩壊
「り、リリーナ様?」
「本物か?」
ここにいる騎士は全て良好者善人者であるため、妾の姿がリリーナとして見えている。
「な、何を馬鹿なことを!!王として命じる、早くこの化物を倒せ!」
「そうよ、私達とネイサンを守るのよ!!」
かたや、この2人は不良者邪悪者。
悪神の眼からの情報では、こいつらが諸悪の根源。
オーエン•プリズム•トワイライト
ケプナー•プリズム•トワイライト
中でも、マルティナ殺しの首謀者は、ケプナーという、この女だ。
妾は喚き散らす2人を激しく睨み、拳を強く握り締める。
「は、早く、ネイサンを守って!!神の加護持ちがいなくなれば、この国は終わりなのよ!!」
ケプナーは恐怖から全身を震わせながらも、赤ちゃんのネイサンを抱きしめながら騎士達に向かって叫んだ。
しかし、騎士達は妾の姿がリリーナに見えていることと、妾の目に見えぬ威圧によって動けずにいる。
『神の加護だと?そいつが?』
「そ、そうよ。神の加護があれば、あなたのような化け物だって•••」
『ほう。神官を買収し、神の加護持ちだと偽っているのか。実におもしろいのー』
「な、な•••」
ケプナーは明らかに動揺し、額から大量の汗が流れ始める。
「貴様、ケプナーが嘘を申しているというのか!?」
オーエンはケプナーの前に出て、庇うような大勢をとった。
『お前も何も考えられぬ大馬鹿者だな』
「き、貴様!!我を王としっての発言か!!」
『さあ?知らぬな』
妾は首を傾げると、右手を広げて前に突き出した。
その瞬間、1人の白と青の服を纏った男が空間から現れる。
『大馬鹿者への差し入れじゃ』
「お、お主は神官長のライネル•••」
「な、なんで、ライネルが、ここに•••」
ライネル自身も身に起こったことが理解できず、自分の体中を奇声を発して触っている。
『神の加護持ちなのかどうか、見てもらえ』
「ば、化け物だ•••、やはり天罰なのか」
『鑑定結果を偽っていたことを話せば、天罰は回避できるかもしれんぞ?』
妾の言葉に、一切のプライドを持たないライネルはその場に土下座し、オーエンに向かって真実を話し始めた。
「国王様。私、神官長のライネルは、そこにいるケプナー様に脅され、ご子息を神の加護持ちだと虚偽の報告を•••」
ザシュッ
ライネルは胸元から大量の血を流し、跪いたまま生き絶えた。
ケプナーが騎士の剣を奪い、ライネルの心臓を貫いたのだ。
「悪魔よ。ライネルには悪魔が憑いているのよ!!」
「本当なのか?」
「そうよ、オーエン。ライネルには悪魔が•••」
「違う!!神の加護は、本当は、ないのか?」
ケプナーは後退りしながら、首を激しく左右に振る。
「ち、違うわ。神の加護持ちなのよ!!」
「だったら、なぜこの国はこんな状況にならねばならないのだ!!繁栄はどこにいったのだ!?」
「•••、な、何よ、何よ、何よーー!!」
ズシュッ
ケプナーは我を忘れ、ライネルを指した剣で今度はオーエンを切り付けた。
首元を切られたオーエンは血飛沫をあげながらその場に倒れた。
「そ、そんな、オーエン•••」
大量の返り血を浴びたケプナーは全身が血に染まり、わなわなと震え出した。
「あんたの所為よ。あんたが殺したのよー!!」
ケプナーは妾に走って向かってくると、剣を振り上げた。
妾は右手の親指と人差し指を弾く。
パンッ
ケプナーの右腕が爆発し、跡形もなく吹き飛ぶ。
「あ、あたしの手がーーー!!」
再び、右手の親指と人差し指を弾く。
パンッ
今度は、ケプナーの左腕が爆発し、跡形もなく吹き飛ぶ。
「ぎゃーーーーーー!!」
右手の親指と人差し指を連続で弾く。
パンッ
パンッ
ケプナーの左脚と右脚が爆発し、跡形もなく吹き飛ぶ。
「あ、あ、あ•••」
妾は両腕のない上半身だけの姿になったケプナーを睨む。
『消えなさい』
【レコード•滅却】
ケプナーは頭から徐々に消え、数秒後にはこの世界から完全に消滅してした。
消滅と同時に、地面に置かれたネイサンが鳴き始め、その泣き声が辺りに響いていた。
妾は静かに空を見上げる。
マルティナよ•••
妾はこれからもお前を見守っておるぞ
★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★
本作に登場するマルティナを主人公にした新作をアップしました。
これぞ異世界作品という内容になっていますので、楽しみにしていて下さい。
【作品名】
2つの勇者パーティーを追放された太っちょ勇者
〜脂肪蓄積•脂肪分解スキルで敵を倒していたのに誰も見ていなかった。追放は契約書を交わしたから問題ないけど、異世界には大きな問題が発生していた〜
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