第32話 眩耀神の怒り
妾はトワイライト王国•首都トワイライトの入り口に転移した。
目の前には、街を囲っている城壁と、その前に数千人の兵士、数千の魔物がいる。
「な、なんだあれは•••」
「ば、化け物だ!!」
「な、何言ってるんだお前達??どこから見てもリリーナ様だろ」
「だよな?」
「どう見ても化け物だろ!!」
兵士達は妾を見て、まったく真逆のことを言い合う。
妾は【悪神の眼】を開く。
先程まで黄色だった左目が銀色に輝き始める。
▶︎▶︎▶︎▶︎
トワイライト王国騎士 3,452人
内
マルティナ阻害者:325人
他、不良者邪悪者:1,621人
残、良好者善人者:1,506人
▶︎▶︎▶︎▶︎
『ほう、1,946人は生きている価値がないな』
良好者善人者以外は、妾のことがこの世のものではない、魑魅魍魎な悍ましい姿に見えていることだろう。
1,946人の騎士は妾からも魔物からも背を向け、街の中に逃げ込もうとした。
『させぬ』
神気を辺りに波紋のように放出すると、1,946人の騎士はその場で固まった。
「か、体が、動かない•••」
妾は右手を上に掲げると、身体中の神気を一点に集中させる。
【悪神の裁き:リミット2解除】
掲げられた右手から、禍々しい黒い稲妻が1,621発分放たれると、空中で弧を描き、光の速さで1,621人の騎士に落ちた。
けたたましい轟音と共に落ちた稲妻は、騎士達を跡形もなく焼き尽くした。
良好者善人者の1,506人は、あまりの一瞬の出来事で何が起きたのか把握できずにいるようだ。
『残りの325人は、もう、転生すらさせぬ』
妾は再び神気を集めると、上空に向けて放った。
線上で放たれた神気は、一瞬で大気圏を超え、時空を超え、悪神界にあるレコードの記憶庫に到達する。
【レコード•滅却】
妾は右目と左目を交互に開閉する動作を素早く何度も繰り返し、両目から神気を纏った黒いオーラを放出した。
すると、325人の騎士は、頭から足へかけて静かに消えて行く。
レコードが滅却された者は、この世界から存在そのものが消え、人々の記憶からもなくなり、転生もしない。
「り、リリーナ様ー」
「本当だわ、リリーナ様よー」
1,946人の騎士を始末し終えた時、騒ぎを察知した大勢の街人が妾に押し寄せてきた。
「リリーナ様、来ていただけたんですね」
「けど、リリーナ様、今は魔物だらけで危ない。早く街の中へ」
どうやら魔物に囲まれている妾を心配し、迎えに来てくれたようだ。
『安心しろ。妾と同じ庶民は守ってやる』
普段の赤子の話し方ではない、堂々したその言葉に街人は一瞬固まるが、すぐに歓声を上げる。
「やっぱりリリーナ様だー」
「私達のことをこんなにも思って•••」
街人の話している内容は理解できないが、気分は悪くなかった。
魔物を退治すべく妾が周辺を見渡すと、魔物は恐怖に満ちた顔で怯えていた。
先程までの妾の力を目の当たりにすれば、至極当然のことだ。
『魔物ども、選ばせてやる。この場で死ぬか、この場を立ち去るか』
妾の言葉を聞いた魔物達は考える間も無く、一目散に逃げて行く。
「な、何が起きてるんだ•••」
「ま、魔物が逃げて•••」
騎士も街人も目の前で起きた光景を見て、驚愕した表情を浮かべている。
そんな騎士と街人の真ん中を歩き、妾は街の中へと入った。
少し前まで住んでいたトワイライトの街並みはどこか懐かしかった。
ただ、街並みの奥に聳え立つ大きな城からは、再びマルティナ阻害者、不良者邪悪者の反応がある。
妾は城の前まで転移する。
▶︎▶︎▶︎▶︎
トワイライト王国騎士 9,012人
内
マルティナ阻害者:421人
他、不良者邪悪者:6,544人
残、良好者善人者:6,965人
▶︎▶︎▶︎▶︎
【悪神の裁き:リミット2解除】
→6,544人:死亡
【レコード•滅却】
→421人:滅却
城の中から悲鳴や怒号が聞こえてきた。
妾はそれに構うことなく、今度は城自体を魔法で攻撃する。
『ゴッド•スピア』
『ゴッド•スピア』
『ゴッド•スピア』
『ゴッド•スピア』
『ゴッド•スピア』
『ゴッド•スピア』
『ゴッド•スピア』
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数百発の攻撃をくらい、城は見るも無残に崩れ落ちる。
瓦礫の落ちる音が響き、巻き起こる砂埃が辺りに舞った。
『見つけた•••』
崩れ落ちる城から数百人の騎士に付き添われて、2人の人物が砂埃の中から現れた。
2人は砂埃を吸ったのか、激しく咳き込み、その場に両膝をついて激しく息を切らしている。
妾はゆっくりと歩き出す。
すると、気配を察したのか、騎士達と、2人の人物は妾を見て大きく目を見開いた。
★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★
本作に登場するマルティナを主人公にした新作をアップしました。
これぞ異世界作品という内容になっていますので、楽しみにしていて下さい。
【作品名】
2つの勇者パーティーを追放された太っちょ勇者
〜脂肪蓄積•脂肪分解スキルで敵を倒していたのに誰も見ていなかった。追放は契約書を交わしたから問題ないけど、異世界には大きな問題が発生していた〜
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