第10話 F組
ーーそんなすごい人たちと一緒にいるのに…渉くん、ちっとも楽しそうには見えないんだけど……
「わかってないなぁ」
ち、ち、ち…と
中等部の男子学生と高等部の男子学生が揃って人差し指を左右に振る。
「F組は我らの憧れ。皆、F組になりたいんだよ」
「そうそう。実力があれば誰でもなれる可能性はあるんだよね」
ふたりは羨ましそうに言った。
「…だけど。なかなかそこに登れないのも現実なんだよな」
「うん。月1回開かれている大会で最上位にならないとF組にはなれないんだ。最上位でも選ばれたエリートだけなんだよ。俺らができるのは、悲しいかな…せいぜいそんなヤツらから逃げることだけなんだよね……」
「…だけど……」
柚月が口を挟む。「…Fって…どんな意味が?」
「それはねーー」
今度は紗織が口を挟んだ。
「FってファシリティのFって聞いたことがあるわ」
「ファシリティ?」
柚月が不思議そうな顔をする。
「それって英語よね? どんな意味なの?」
「うーん。よくはわからないんだけど。つまりは他の言葉と組み合わせたら…能力、とか才能って意味になるらしいわ」
「なにそれ……」
ーー余計わからないじゃない。
そんな柚月の心を読み取ったのか
「ごめ〜ん、わたし、英語って全然なのよねぇ…今から本格的に習うんだし、許して」
…と、再び舌を出す紗織の横で
「まあ、F組がどんなヤツらなのか。対戦すれば、嫌でもわかると思うよ」
高等部の男子生徒は肩をすくめた。
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