第14話 山の男4
現在は、山の中で俺を拾ってくれたチャーリーとともに、ヨイキテンツチッカからテミスに向けて馬車移動中である。ちなみにチャーリーはまだ馬を操る若い男性と話している。俺はというとのんびり周りの景色を見ていた。初めての光景で見ているのは飽きなかった。
「いや、聖女アネヘラ様とは知り合いってか。まあ、ちょくちょくわしの町にも来てくれてた方でな。ええお人でな。わしなんかにも話しかけてくれて。微笑んでくれて。それにわしが作った物も気に入ってくださってな。あと、わしなんかの話が面白いとかで、来てくださったときは毎回話を聞きに来てくださって」
「その聖女さんすごいっすね。1人1人回っているのか。まあ聖女さんもいろいろですからね。ちなみに俺はテミスに住んでるんだが。前はテミスにも聖女さんが居たんだが――あの国王がな。追い出しちまったし。いい人だったのに。だからたまにどうしても必要な時には、周りのところから聖女さんが来てくれるが。基本は居ない町だからな。お恵みなしだよ」
「あー問題児か。まだ何か毎回言っておるんじゃろ?」
話の途中で、2人の声が曇ったことには俺も気がついたが、口を挟むことはなかった。俺は関われない話。わからないことだらけだったからだ。
「そうそう。もうここ何年。俺がガキのころからだから……数十年か。意味の分からないことばっか決めて。反対する人が居ると、だね。あっ、お客さんテミスについてからは、今の話なしで、俺消されちまうからな。まだ何もしてないのにあの世行きとか嫌だからね」
「わかっとるわかっとる。何も言わんよ。相変わらずな国王じゃな」
「愚痴っているのもバレたら大変だからね。まあバレなきゃ問題なけど。それに――まああの国王になってテミスは住みやすくはなったからな。いろいろお店とか物も集まって来て、今ではかなり大きな都市になったし」
「確かにテミスは発展したと聞いたが。でもまあわしの町ですらみんな国王に関しては、散々言っとる。テミスに行くと愚痴のこぼしあいもできんとな。それといい人はみんなテミスに取られると」
「ホントだよ。大きな町だから住むには良いが――そういえばお客さんはヨイキテンツチッカじゃないよな。騒ぎ知らなかったんだからどこの町の人?」
「マウノッヤだ」
「あー、山の向こうの。何回か行ったことはあるよ。のどかなところだよな。まあめっちゃ馬車でも時間がかかるところだから――行くのが大変って思いが強いかな」
「そうだそうだ。まあ山を越え場合はかなりの大回りじゃからな。まあ今回は用事も会ったし山越えで来たんじゃがな」
「そこから歩いてきたのかい?子連れで。すごいな」
すると唐突に馬を操る若い男性の視線が俺に来た。とくに怪しむ感じはなかったが。俺はなんと答えるべきかわからないので視線を足元に向けて聞こえなかったふりをしていた。
「ちょっとした修行みたいなもんだな。それにマウノッヤでの生活は基本毎日が山登りじゃからな。みんなそこそこ山登りは得意なんじゃよ」
「そんなもんか。にしても坊主もやるなー。山越えか」
なんとか俺に話しが回ってくることはなかった。俺が少し安心していると、その後も俺の隣では2人が話しを続けていた。
ちなみに初馬車に関しての感想を言っておくと、歩くよりはるかに楽だった。乗り心地は――だったが。歩かなくても移動できるのはとっても楽だった。
それから少しすると、チャーリーがカバンの中からパンを取り出し俺に分けてくれたためお腹も満たされた。ちなみに久しぶりにちゃんとした食い物だった俺。一口食べて――感動していた。それから俺がもらったパンを大事に食べていると。チャーリーはまた馬を操る若い男性と話していたのだった
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