第13話 国王の日常2
若くして国の王となったミカエレ。国王となった彼は自分の補佐として、すぐに2人を任命した。
1人はタイカ。ミカエレより少し年上の男性だ。すらっとした長身で長い黒髪をいつも一つ結びし。前国王の命で国の治安を守るために動いていた男である。
彼は不思議な力を持っているという理由で、若くして前国王に認められた男だった。それを知っていたミカエレはすぐに彼を自分のそばに置いたのだった。
そして、もう1人はカイアという女性である。カイアはミカエレよりは年下で、小柄な少女だ。青色のショートヘアーで、片目だけ常に髪で隠している。彼女は以前タイカの下で働いていた。今回タイカがミカエレに仕えることになった際。優秀な人材ということでタイカがミカエレに推薦した人物である。
彼女の特技は――潜入。盗みである。タイカのように不思議な力は持っていないが。小柄な体と変装術を駆使してどんなところにでも忍ぶことが出来た。また紛れ込むことが出来る。時には子供になることもあれば、大人たちの中に紛れ込むことも出来た。タイカは前国王に使えていただけあり。ミカエレの性格をよく知っていたため。自分が任命されると同時にカイアを推薦していた。
もちろん自分が持っていない物は何が何でも欲しい性格のミカエレは、盗みが得意な補佐が欲しかった。なのでミカエレはタイカの推薦に即答したのだった。
はじめこそ、国王になったミカエレの周りには、前国王の下で働いていた人。国王に意見を言える人が付いていた。けれど、ミカエレが国王になったからひと月もしないうちに、彼の周りには補佐と呼べる者は、2人しか居なくなっていた。でもそれでミカエレはよかった。自分の命令に忠実に従う補佐が2人も居ればそれでよかったからだ。その他にももちろん国王の下で働く者はいた。でもミカエレからすれば、補佐以外は使い捨てのコマだった。足りなくなればタイカに補充を言うだけだ。
◆
この国の前国王は、屋敷にて急死したということになっている。そして、その際に母。祖父祖母までもがショックのあまり自ら命を絶った。という設定になっている。
実際は全てミカエレが1人で行ったこと。ちなみにミカエレは国王になってからタイカ、カイアを補佐に任命したということになっているが。ミカエレは、前国王が健在の時から、タイカという人間を何れはそばに置きたかったため。よくよく接触をしており。それなりに関係が出来ていた。そして、この設定にはミカエレの他に、タイカとカイアが関わっていた。手にかけたのはミカエレ本人。その直後ミカエレからの指令により後始末を行ったのはタイカ。そのタイカの手伝いをしていたのがカイアである。
何故タイカ。カイアがここまで命令に対して忠実なのか。それにはまた訳があるのだが――それはまた別の話だ。
ミカエレは国王となる時。自身も辛いこと。偉大な人を無くした。でも――この国にはまだ自分が居る。ということで国王になった。
そもそも彼しか後を継げる者が居なかったので、ミカエレが演技などしなくても自然とそうなったのだが……ミカエレのこの行動によりはじめこそ、前国王に従っていた者がミカエレに付いてきていたのだった。もちろん、前国王に仕える者の中には、前国王、家族の急死に疑問を持つ者もいたが――そこはミカエレ。自分の行動に邪魔になるものはすぐに抹殺した。
ここからミカエレによる独裁が始まったのだった。
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