第24話 人間にもどれた?

ペロペロッ


ん?

なに?


目が覚めた。

ここはどこ?

あ、そうだった。

わたし人間に戻るためにドリンク飲んだんだった。

そして……まずくて……倒れた。

あ、そうだ!

わたし戻れたの?

えっ?

見ている景色が変わったように感じた。

草の隙間から人間界をのぞいた。

道路だ!

そして家が普通の大きさになっている……ってことは……、戻ったのか。

服は?

体を触りながら確認して、ちゃんときれている。

やったー

わたし戻れた!

早く家に帰ろう!

お母さんたちに会いたい!


わたしはゆっくりと家に戻った。

大変だったあの坂道も、あっという間に登れた。

家だ!


ピンポーン!


ドアがあいた。


「ただいま」

「えっ?」

「ただいま、お母さん!」

「るな!」


お母さんはわたしを抱きしめた。

その声をきいて、2階から妹が降りてきた。

わたしを見るなり大泣きした。


「お姉ちゃん!どこに……いってたの?」

「ごめんね」


どこにいってたのか、どうやって暮らしていたのかと色々聞かれた。

しかし、この何か月かの記憶はないことにした。

車にひかれて記憶がなくなったということにした。


こびとになってたなんて信じないだろう。

そく、病院いきだよ。


わたしがもどってきたことで、お母さんはいろいろなところに連絡をしていた。


しばらくすると、お父さんが仕事から帰ってきた。


「るな! よかった!」

「うん」


久しぶりの家族4人での食卓だった。


ビリーは今頃、ひとりで夕食だろうな~

つい考えてしまった。


「どうしたの? るな」

「ううん、なんでもない」

「ほら、たくさん食べなさい」

「うん」


わたしは明日から高校生に戻ります。


――――


朝になった。

鳥の鳴き声で起きたわけでもなく、習慣で早く起きてしまった。


よ~し、朝食でも手伝うか。


「おはよう」

「るな、早いね」

「うん」


お母さんが朝食のしたくをしていた。


「手伝うよ」

「えっ? ありがと」

「何作るの?」

「ベーコンエッグでいい?」


ビリーのベーコンエッグを思い出していた。


「わたし作るよ」

「えっ? つくれるの?」

「まあね」


わたしは、ビリーにベーコンを焼く時間、卵を入れるタイミングが大事だということ教えてもらった。


家族分焼いた。

ビリーほど上手にはできなかったけれど、まあ上手にできた。


「上手じゃない」

「ありがとう」


「わたし、まいを起こしてくる」

「うん、お願い」


2階に行き、まいを起こしにいった。


「まい、朝だよ」

「ん……」


まいの部屋のカーテンを開けた。


「まぶしい」

「ほら、早く起きな」

「うん」

「朝食できてるよ」


窓を開けた。

あ~気持ちいい風。


チュンチュン


鳥が鳴いていた。

すずめ!

ステラのすずめ?

違うか。

すずめはどこにでもいるよね。


あっ!

そういえば、笛。

制服のポケットに手を入れた。

あった!

ポケットから笛がでてきた。

すごく小さい笛だ。

笛は大きくならなかったんだな。

あれ?

背負っていたリュックは?


急いで、外に走っていった。


「るな、どうしたの?」

「すぐに戻る」


わたしは、倒れた場所に探しにいった。

小さくて見つけにくいかもな~

しばらく探した。

あった!


すごく小さいけど、リュックだ。

よかったあって。


家にもどり、4人で朝食を食べた。


「お姉ちゃんのベーコンエッグおいしい」

「そう?」

「うん、本当においしい」

「お母さんのより上手だよ」


みんなおいしいと言ってくれた。

ビリーのおかげだよ。

片づけも手伝った。


「「いってきま~す」」


まいと一緒に家をでた。

久しぶりの学校です。


バタバタッ!


えっ?


「お姉ちゃん、どうしたの?」

「えっ? 今フクロウが飛んでいったように見えて……」

「フクロウなんてこんな昼間からいないよ」

「そうだよね……」


エルかと思ったよ。

そして、いるはずがないルークがいたように感じた。

もう、しっかりしないとね。


――――


無事に学校に行けた。

まわりのお友達は今まで通り変わりなく接してくれた。


わたしは、人間に戻ったら善吉さんに会いたいと思っていた。

探した。

ビリーから善吉さんが倒れていた場所を聞いていたので、その近辺でさがした。


「あの~すみません」

「はい?」

「この辺に善吉さんという方、住んでいませんか?」

「いや、わたしは知らないね」

「そうですか、ありがとうございました」


なかなか見つからなかった。

何日か探し続けた。


――――


今日も善吉さんを探すぞ!

わたしは探偵団の一員なんだから。

あきらめない。


探しているうちに、少し離れた公園まできてしまった。

おじいさんが笛を吹いていた。


「こんにちは」

「あ~こんにちは」

「笛、素敵ですね」

「そうかい?」

「はい」

「木で作ったんだよ」

「はい、わたしも作ったことがあります」

「そうかい」


ピーピーピロピロッ!


笛を吹いた。

すると、はとがたくさん飛んできた。

わたしも、うぐいすやめじろを呼びたくなった。

でも、笛は小さくなってるけど呼べるのかな?

わたしはポケットから小さな笛をだし、吹いてみた。

すると、小さな音で笛がなっていた。


おじいさんは、驚いていた。


そして、うぐいすやめじろが飛んできた。

やったー。

飛んできてくれた。

わたしはすごくうれしくて喜んでいた。


「きみもしかして……」

「えっ?」

「……世界で一番高い山を知っているかい?」

「……善吉さん!」

「ああ、わたしは善吉だ。きみも帰ってこれたんだね」

「はい!」


ようやく善吉さんに会えた。

そしていろいろな話をしました。


リンさんが今ひとりで暮らしていると聞いて、善吉さんは泣いていた。

でも探偵団がときどき遊びにいっていると聞いて安心していた。


わたしは探偵団と材料を集め、ビリーが薬を作ってくれたこともはなした。

善吉さんはビリーならできるといっていた。


「こんなふうにこびとの話ができるってうれしいです」

「そうだね、だれにも話できないからね」

「はい」


わたしたちはたびたび会って、こびとの話をして思いだしていた。

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