第20話 材料探しー烏骨鶏の卵①

わたしの笛、何の鳥がくるのか気になるでしょ。

実は、あの後穴を少し大きくしたんです。

笛を吹いてみると……。


ホーホピー


うぐいすが飛んできました。

その中に混じって、めじろも一緒に飛んできました。

全部で5羽飛んできてくれます。

とにかく仲良くなるために、笛を吹いて呼んだらえさを投げて飛びながらキャッチする遊びをしたりわたしを背中に乗せて飛ぶ練習をしたりと過ごしました。

おかげで、すごく仲良くなりました。

うぐいすの鳴き声は本当に綺麗で素敵だ。


それから、3日がたった。


蓮の実を確認する日だ。

みんなで湖にいった。

すると蓮の実の色が変わっていた。


「これなら大丈夫だ」

「よかった」


取り方はこの間と同じだ。

蓮の葉っぱにのり、ひとりが実の入っている茎をひっぱる。

もうひとりが穴にはいり実を取り出す。

この間より、簡単にとれた。

取り時ってことだろう。


ビニールの上に実を落とし、袋を結んで持ち帰った。


これであとは、烏骨鶏の卵だけとなった。


――――


「よし! 今日は烏骨鶏の卵をとりに行く」

「うん」

「でも、ここは運がよければすぐに手に入るが運がわるければしばらく手にはいらない」


レオンがボトルを渡してきた。


「これはなに?」

「これは、烏骨鶏の好物のえさを粉状にしてあるんだ」

「もしかして、この粉をまいて食べているあいだに卵をとるパターン?」

「ははっ、正解だよ」

「ルナもわかってきたな」


また、追いかけられるってことね。


「よし、じゃあいこう」


「「「おっけい」」」


わたしたちは湖まで走った。


少し遠いから、レオンの呼ぶつばめで行くそうだ。

レオンは指笛でつばめを呼んだ。

つばめは5羽きた。

わたしたちはつばめに飛び乗った。


つばめはすごく、飛ぶ早さがはやい。

あっという間に、人間界の違う町の上空を飛んでいた。


「そろそろ着くぞ」


空からみる人間界は大きくて広くて、建物がたくさん建っている。

建物が少し減った感じのところで下に降りっていった。


「よし、そろそろ下に降りて地上から行こう」


「「「おっけい」」」


わたしは初めての遠出に緊張していた。


「ルナ、ここからはおれたちもあまり知らない町だ」

「うん」

「絶対に離れたらだめだぞ」

「うん、わかった」

「もし危険がせまったら、とにかくひとりで逃げろ」

「うん」

「レオンもステラも同じだ」


「「わかってる」」


そういうと、地上におりて走って烏骨鶏がいる鶏舎に向かった。

同じくジャングルのように草や木がぼうぼうと生えているけど、このあたりはつる系の草が多いようだ。


痛っ!

バタッ!


つるに足が引っかかってころんだ。


「ルナ、大丈夫か?」

「うん、ごめん」

「気をつけろよ」

「うん」


レオンがわたしの足に引っかかったつるをナイフで切ってくれた。


「このつるは、とても頑丈だ」

「ルーク、ちょっとこのつるを持ち帰りたい」

「わかった、少し切ってもっていこう」


ルークとレオンはつるを切って、ぐるぐる巻いてリュックに入れていた。


「新しい街にくると、知らない植物があるな」

「新しい道具が作れるからうれしいよ」


ルークとレオンはわくわくしているようだ。


ようやく、鶏舎についた。

広い庭でにわとりがえさを探しながら日向ぼっこをしていた。


「にわとりしかいない?」

「ん……」

「あれをみて」


ステラが指をさした。

にわとりの中に少し体の小さい鳥がいた。

にわとりに似ているがとさかが赤くない。

むしろ黒い。


「あそこみて」


中に、黒い鳥がいた。

やはり烏骨鶏のようだ。


「じゃあ、卵を産んでいるかこっそり見に行こう」


「「「おっけい」」」


鶏舎に近づいた。

卵がたくさん並んでいた。

どれが烏骨鶏の卵なのかわからない。


「どれが烏骨鶏の卵なの?」

「ん……」


「ここのにわとりの卵の殻の色は白だったんだ」

「えっ? 茶色では?」

「そうなんだよ」


いままでは白い卵しか産まなかったのに、今は茶色い卵を産むにわとりがいるらしい。

烏骨鶏も卵は茶色らしい。

白の中に茶色があればわかりやすいが、どれが烏骨鶏の卵か判断できないようだ。


「どうする?」

「しかたない、茶色の卵を持ち帰ろう」

「全部?」

「全部ってことはできないから、それぞれ1個ずつ持ち帰ろう」

「運だめしだね」

「……そうなるな」


運とはいってもな……。

にわとりより少し小さいから、卵も小さいのでは。

うずらの卵も小さいよね。

体にあった卵を産むような気がするな~


「ねえ、少し小さめの卵を持ち帰らない?」

「どうして?」

「にわとりよりも体が小さいから、卵も小さい可能性がある」


レオンが話をしてきた。


「たしかに本で見たことがあるような気がする」

「本で?」

「えっと……うずらっていう鳥だったかな?」


おぅ、レオンはすごいね。

よく、本を見てるんだね。

ほんとに、物知りだよ。


「うずらって鳥は小さいんだ。人間界で卵が売られているらしい」

「へえ~」

「とても卵が小さいらしい」

「じゃあ、小さめの茶色い卵をもってかえろう」


「「「おっけい」」」


それぞれ、卵を見て選んでいた。


人間が近づいていることにだれも気づいていなかった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る