第17話 材料探しーすずき

昨日に引き続き、すずきを探して海にやってきた。

岩場に行きまた、えさをまいて鳥を呼んだ。

魚がバンバンとんできた。


ちなみにすずき以外の魚は持てるだけもってあとは海にもどした。

海に戻すといっても大変だった。

重い魚を海に戻すのも一苦労だ。

手でひっぱったり、鳥さんに頼んで戻してもらったり、鳥さんが食べたり……と、とにかくいろいろな方法でもどした。


わたしが持ち帰ったのは1匹だった。

ビリーさんに料理してもらった。


「みんなは、昨日持ち帰った魚はどうしたの?」

「ぼくは家に小さい魚5匹もらったよ。あとはルークに渡した」

「おれは自分の家に大きい魚1匹もらって、あとは南通りのお店に渡してきたよ」

「そっか、あれだけあると売れるのか」

「ステラは?」

「わたしは自分の村のひとたちにあげたわ」

「そっか、ならよかった」

「今日もたくさん持って帰ることなるからな」

「そうだね」

「村の人たちは期待してると思うよ」

「魚なんて久しぶりだからな」


みんなに迷惑をかけていると思っていたから安心した。


「どう? すずきいる?」

「こっちはいなさそうだな」

「ん……」

「ちょっと移動してみるか」

「そうだね」


そういうと、つばめにのり違う場所にむかった。

少し離れた場所にまた岩場があった。

さっきの岩場より広い感じだ。


「ここはたまに人間がくるから油断はできない」

「えっ? そうなの?」

「ルナ、おれたちからはなれるなよ」

「うん、わかった」


そして、えさをまき始めた。

また、鳥たちがやってきた。

そして魚を海からくわえて岸に投げ始めた。


「よ~し、さがすぞ」

「みつけるぞ」

「「「おぅ!」」」


ん?

レオンが見せてくれたすずきに似ているような……。


「レオン、これすずき?」

「ん? ルナ! すずきだよ!」


「「え? いた?」」


「ほら」


レオンはふたりにみせた。


「「すずきだ!」」


「こっちにもいるよ」

「やったー」

「じゃあ、使う分3匹をクーラーボックスにいれて帰ろう」


みんなで喜んでいた。

喜んでいて気づかなかった。

人間が近づいていた。


「お~い、ここの岩場にしようぜ」


人間の声が聞こえた。

みんな、一斉に声をあげた。


「「「やばい!! 隠れろ!!」」」


わたしも必死で隠れた。


みんなとはぐれてしまった。

怖い。

見つかったらどうしよう。

息をひそめていた。

人間たちの声がきこえていた。


「おい、見てみろ。魚がいっぱい打ち上げられているぞ」

「ほんとだ、ラッキーじゃね」

「まだ生きてるってことは新鮮だろ」

「もって帰ろうぜ」


せっかくとれたすずきがもっていかれちゃうなんて……。

どうしよう。

でも、こびとになったわたしにはどうしようもできない。


そのときわたしの肩をだれかが触った。

きゃあー

大きな声をあげてしまった。

見つかったのわたし。


その大きな声で人間たちに気づかれてしまった。


「おい、今なにか聞こえなかったか?」

「ほかにも誰かいるのかもしれないから、近くをみてこようぜ」


人間たちが動きだしてしまった。


「「うわっー」」


バタバタッ


つばめが飛び立った。

人間たちは急につばめが、目の前を飛び立ってびくっりしている。

わたしはびっくりしている人間をつばめの背中から見ている。


わたしの肩を触ったのはルークで、レオンとステラはすでにつばめにのっていた。

わたしを探してルークが助けてくれたのだ。

大きな声をあげてしまったので急いで、つばめに飛び乗って飛び立ったということだ。


「ありがとう、みんな」

「「「無事でよかった」」」

「でも、せっかくのすずきが……」

「ルナ! おれたちをだれだと思ってるんだ?」

「えっ?」

「おれたちは探偵団だぞ」

「えっ?」


わたしはみんなの顔をみた。

3人とも笑っている。

どういうこと?


3人はクーラーボックスあけ中を自慢げに見せた。

中にはすずきがそれぞれ1匹づつ入っていた。


「えっ? すごい、どうやって?」

「そんなの逃げる前にクーラーボックスに入れて隠れただけだよ」

「そうよ、わたしはすこし重かったから手こずったけどね」


ステラもあの一瞬ですずきをもって逃げたってこと?


わたしはあの時逃げることが精一杯で、すずきをもって逃げるなんて考えもしなかった。

しかもたぶん3人と逃げる方向が違ったんだと思った。

最近こびとになったわたしでは考えられないほど、小さいときから訓練を受けているのであろう。

ビリーさんがいっていた言葉を思いだしていた。


【回想】


「こびとは人間に見つかったおわりなんだ。だから、産まれてすぐから訓練をうけている。」

「産まれてすぐってまだ何もできない子供なのに?」

「ああそうだよ。でも毎日教えているおかげで物心ついた時にはみんな危ないめにあうと、体が反射的に動くんだ。」

「すごい!」

「子供のあいだは毎日訓練を受ける」

「で、ねこに出くわしてしまったら死んだふりでしたっけ?」

「そうだよ、ほんとに死んでるように動かないんだ」


ビリーさんがこんなことをいっていたことを思いだした。


――――


すずきを3匹とって帰ってきた。


「「「「ビリー、ただいま」」」」


「おかえり、みんな」

「みて、すずきをゲットしたよ」

「おう、これはすごい。重くて大変だったな」


みんな笑っている。


わたしはこの探偵団に頼んで正解だったと思った。

そして、この探偵団に仲間に入れてもらえて本当によかったと改めて思った。

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