第13話 フクロウのエル

朝になり、とりあえず緑のポストを見にいった。

中には何も入っていなかった。

どうやら依頼はないようだ。


ほっとしていた。

するとそこにルークがやってきた。


「ルナ!」

「ルーク!」

「何をしてるんだ?」

「ポストを確認しにきたの」

「そうか。あったか?」

「なかった」

「じゃあ、ルナは暇か?」

「ええ」

「これから、エルと遊ぶんだけど一緒にいくか?」

「うん、いいの?」

「ああ、いいよ」


やったぁ~

また、エルに乗れる。


「広い湖までいって呼ぶんだ」

「わかった」


門から出て湖に向かった。

湖とは大きな貯水池だ。


「ここにくればもう呼んでも大丈夫だろう」


ピーピーピーッ!!


するとフクロウのエルが飛んできた。

大きな翼を広げて、スイーっと飛んできた。

わたしたちの真上にくると、静かに降りてきた。


「エル!」


ルークはとてもうれしそうにさわっていた。


「エル!昨日はありがとう」


わたしもエルにお礼をいって撫でた。


エルは嬉しそうに羽をバタバタした。


「ルーク、エルとどうやって友達になったの?」

「それは、おれがエルを助けたのがきっかけだ」

「助けたの?」

「ああ、まだエルが小さくてね。その辺で倒れてたんだ」


ルークは湖のそばを指さした。


「今にも死んでしまいそうな感じで、食べるものもろくに食べてなかったようなんだ」

「そうなの?」

「だから、持っていた果物をちぎってあげたんだ」

「果物たべるんだね」

「それから何度か果物をあげにきていたらおれになついてお友達になった」

「それで、友達に」

「そのうち、口笛できてくれるようになったんだ」

「口笛かぁ~ わたしはふけない」

「それから時々遊びにきてるんだ」


「いつも何をして遊ぶの?」

「見てて」


ルークはリュックからリンゴを1かけら取り出し、空高く上に投げた。

すると、エルは飛びたってそのリンゴをぱくっと食べた。


「よ~し、エル今日も頼むぞ」


そういうとルークはわたしの手をとり、飛んでくるエルに飛び乗った。

エルは空高く上った。


わ~気持ちいい。


「ルナ、どうだ気持ちいいだろう」

「うん! 最高!」

「だろ。エルは最高だ」


エルも嬉しいのか、スピードがあがった。


「「わぁ~ 最高!」」


「エルに乗って空をとんでいると、いろんなことがちっぽけに感じる」


まあ、こびと自体ちいさいけどね……。

そんなことは言えないが……。


「そうだね、小さいことを悩んでるのがばかばかしくなるね」

「そうだろ」

「ルークはなにか悩みがあるの?」

「まあ、将来おれは何をしたいのか最近考えるんだ」

「将来かぁ」


わたしなんて将来どころか、今この状態が異常でどうしたらいいのか悩む。

このままこびとのまま生きていくのか、それとも人間に戻れる方法があってまた人間界で生きていけるのかこれが一番の悩みだ。

でも、ルークたちはここで生まれてここでずっと生きていかなくてはならないもんね。

それは考えるよね。


「ルークはなにかやりたいこととかないの?」

「おれは、人間の悩みを聞いて解決している探偵が好きなんだ」

「なるほど。探偵はずっとやれないの?」

「若いからできるってもんだよ」

「そうなのか~」

「年をとってからも働けることをさがさないとね」

「探偵を続けて、年をとって動けなくなったら若い子を探偵に育てるっていうのは?」

「……ん~そうか」


ルークの顔が晴れやかになった気がした。


「ルナ、きみはすごいよ」

「えっ? なにが?」

「ううん。 ルナ! おれはきみが好きだー」


はぁー!


何を急にルークは叫んでるの。

恥ずかしいよ。

ルークは気分がよさそうで、うれしそうだ。


こびとって好きとか簡単に言えちゃうわけ?


しばらく飛んでいると、わたしが通っていた学校が見えた。


「あっ、学校だ」

「ん? 学校?」

「ああ、なんでもない」


つい、学校とかいっちゃった。


「エル、あの木にとまれる?」


わたしがそういうとエルは木にとまってくれた。

そこから、わたしがいたクラスがみえた。


あ~みんな元気そうだ。


「あっ! しんちゃん!」

「ん? しんちゃんってだれだ?」


あ、声にでてた。


「なんでもないよ」


「ごめん、エルいこう」


エルは飛び立った。


ルークは少し怪しんでいるようだった。


「なあ、ルナ」

「なに?」

「……なんでもないや」


「じゃあ、エルいつもの木にいってくれるか?」


そういうとエルは早いスピードでとんだ。


「いつものってなに?」

「まあ、エルにしか行けない場所だよ」


すると、わたしたちは森の中に入っていった。

そして大きな木の上におりた。

その木にはたくさんの赤い実がなっていた。


「この実はおいしいんだ。ジュースにもジャムにできる」

「ほんと?」

「となりの木の実は中身をだしてクッキーにしたりできるんだぞ」

「え~もって帰ったらビリーさん喜ぶかな」

「もちろんさ。リュックに入れてもってかえろう」

「うん」


わたしも木から落ちないように赤い実をとったり、木の実をとったりしてリュックにつめた。


「こんな高い木の上なんてでれもとれないから、たくさん実がついてるだろ」

「そうだね。だからエルしか行けないっていったんだね」

「そうだよ」

「エル、すごい! ありがと!」


わたしはエルをたくさん撫でた。


――――


今日はエルのおかげで、いろいろな体験をした。

学校にもいけたし、森にもいけたし空を飛べるのって素敵だ。


――――


「ビリーさん、ただいま」

「おかえり」

「これお土産だよ」

「わあ、これはすごい!」

「ジャムにできるって」

「そうだな、明日の朝食に食べれるようにジャムをつくろうかな」

「わたしも手伝う」


今のこの生活も素敵!

こびとも悪くない。

わたしは今、幸せを感じています。

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