第2話 探偵団ってなに?

「「「ビリー、おはよう」」」


「今日の依頼は?」


「今日は、畑あらしの犯人捜しだ」


ビリーは紙切れをルークに渡していた。


「畑あらしか~」


「よし、行こう」


「ルナも一緒に行くぞ」


「え?」


「大丈夫だよ。いろいろ案内もしたい」


「わかった」


「ルーク、いつもの卵とミルクもお願い」

「わかった」


「ルナ、気をつけてな」


「はい、いってきます」


よくわからないけど、なんか探検に行くみたいでワクワクする。


「今日はボーゼン3丁目だから、こっちから行こう」


「「おっけい」」


とにかくついていこう。

草の下を走り抜けていく。

まるでジャングルの中のようで太陽の光が草と草の隙間からさしている。

ジャングルをすぎると、次は湖のような水場を葉っぱから葉っぱへ飛ぶようだ。

葉っぱの上にのって大丈夫かな~茎が折れたりしないのかな?

え~い!

思いっきり飛んでみた。

葉っぱが跳ねてトランポリンのようだ。

少し行くと木につけてあるロープでターザンのように川みたいなところを渡るようだ。


「大丈夫だよ。こうやるんだよっと」


レオンがやってみせた。

続いてステラもすんなりやってみせた。


「ルナ、大丈夫だ。思いっきり飛べ」


「ルーク、わかった」


こんなことしたことないけど、言われた通りやってみよう。

それ~!

ロープを離さないようにしっかり握りしめ、飛んだ。

川を渡りきれた。

草の香りと爽やかな風を感じて気持ちがいい、楽しい~


「よくやった。このあとはみんな気を引き締めていくぞ」


「「わかってる」」


レオンとステラはルークの言葉に反応してるけどなに? ここからもっと大変なの?

草をかき分けるとそこは広々としたコンクリートにでた。

これは道路だろう。

今まではなんとも思わなかった道路も、このこびとのからだの大きさだと渡るのにも一苦労だ。

しかも、人間に見つかったら大変だ。


「ここを渡るの?」


「ルナ、大丈夫だ。ちゃんとおれについてきて! レオン、ステラ後ろを頼む」


「「おっけい!」」


「ルナ、行くよ」


「はい」


ルークが走り出した。とにかくルークについて行こうと思った。

道路の中央がロータリーになっていて木が植わっているところまで走った。

そしてロータリーから家と家の隙間まで走った。


はぁ、はぁ。


「ルナ、大丈夫か?」


「うん、はぁ……なんとか。はぁ、はぁ」


なんか、緊張した。ただ普通の道路を渡るだけなのに……。


「この家の裏庭に依頼の畑があるはずだ」


「ここだな」


どうやらついたようだ。

これまた広い畑だ。いや、こびとだから広く感じるのか。


「レオン、ステラ! 調査を頼む」


「「了解」」


レオンと、ステラは違う方向に走っていった。


「ルナ、じゃあおれたちも調査はじめようか」


「ルーク、なにをするの?」


「まずは、この畑の様子を確認しよう」


「うん」


わたしはルークと畑の中を歩いた。

すると、ルークが何かをみつけたようだった。


「ルーク、どうしたの?」


「ルナ、これをみて」


ルークは土の上に黒い塊をみつけた。


「ルーク、これはなに?」


「これは、生き物の糞だ」


「うぇ~糞」


糞って、くさそう。でもそんなに臭わない気がする。


「臭いがないからだいぶ時間がたってるって感じだな」


そうか、そういうことか。


「なんの生き物だろう」



「「ルーク」」


「おぅ、どうだった?」


「まずは、わたしから報告ね」


ステラは何を調査してきたんだろう。


「この畑はキャベツ畑よ。あお虫くんたちによると夜になると最近、目が光る大きな生き物がきてるらしいわ。そして自分たちの仲間ごと食べるから、困っているといっていたわ」


ステラ~ あお虫くんってなに? 気になる~


「じゃあ、次はぼく」


レオンもほかの情報があるっていうの?


「ぼくが調査してきたのは、この畑だけではなく隣も、そして、その隣も荒らされているらしい。白菜畑に人参畑、すべて野菜畑が荒らされているようだよ。そしてこれはどの畑にも落ちていた毛だよ」


レオンはその毛をルークに渡した。


「しかも、てんとう虫さんがいうには、毎日のようにきているみたい」


「じゃあ、きょうの夜もきっとくるな」


ん? てんとう虫さん?

やっぱり、あの虫たちのこと……かな?


ルークはすべての話と毛をみてわかったようだ。


「わかったよ。犯人はたぬきだ」


「たぬき?」


「今日の夜、犯人を捕まえにもう一度くるとしよう」


えっ? また夜くるってこと? まじ?


「よし、準備もあるから帰ろう」


「「おっけい!」」


「ルーク、頼まれたミルクと卵忘れずにね」


「ステラ、ありがとう。忘れそうだった」


「じゃあ、行こう」


来たところを戻っていった。

途中、右に曲がりしばらく走ると大きな牛たちの牧場についた。

レオンがもっていたリュックからボトルをだし、牛の足からぴょんぴょん登っていった。

ちちにぶら下がりながらボトルをちちにくっつけた。

ちちを腕で抱きしめるようにしぼって牛乳をとっていた。

ボトルいっぱいにたまるとレオンが両足でボトルを下に落とした。

それを下でルークがキャッチした。


すごい!連携!

レオンは何事もなかったかのように戻ってきた。


卵はどうするのかな~

にわとり小屋に近づき、卵を見つけた。


まさか……


「「とった」」


「「逃げろ~」」


「向こうの木の下まで走れ~」


「「「「わぁ~」」」」


ルークとステラはとった卵を背中のリュックに入れすぐに走り出した。

わたしも必死に逃げた。


なんとなく、察しはついていたけど……。


今わたしたちは、にわとりに追いかけられています。

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