第3話 こびとの生活

「みんな無事か?」

「ルナもよくがんばったな~」

「もう~、必死だったよ」


はぁ、はぁ、はぁ。

やばい、体力なさすぎる。



「これで、ミルクと卵ゲットできた。戻るか」

「「「おっけい」」」

「おぅ? ルナも慣れてきたな」


つい、つられておっけいなんて言っちゃった、恥ずかしい。


――――


ローデン村に戻ってきました。


「「「ビリー、ただいま」」」

「ビリーさん、戻りました」

「おかえり、みんな無事か?」

「うん、はいこれ」


ミルクと卵を渡した。


「ルナ、冒険はどうだった?」

「はい、大変でした。というか疲れました」

「はっはっはっ、初めてじゃあ疲れただろうね」


笑い事じゃあないんだけどね。


「ところで、依頼の件はどうだった?ルーク」

「犯人はたぬきでした」

「たぬきかぁ~」

「うん、今夜もう一度行って確認をしてきたいと思う」


「今夜、月が真上にきたらここに集合だ」

「「わかった」」

「ルナも少し休んでおいた方がいいよ」

「わかった」


「じゃあビリー帰るよ」

「ああ」


みんな、帰っていった。


「ルナ、すぐに夕飯作るからその間にお風呂に入るといいよ」

「はい、ありがとうございます」

「ルナ、お風呂場に着替えを用意しておいたから着替えるといい」

「ありがとうございます」


どんな服なんだろう。

とにかくお風呂に入ってからだを綺麗にしたい。

たくさん、汗かいて臭い気がする。

お風呂は確かダイニングよりも奥の部屋だったよな。

あった。

お風呂も木の香りがしてくつろげる感じだ~

さすがにシャワーはないか。

この桶みたいなものでお湯を体にかければいいのかな。

そして、石鹸はこれか。

そして湯船にはいった。

あ~~ 気持ちいい~~ 疲れがとれるわ~


こびとってほんと大変だ。

今まで何不自由なく生活してきたことが、何一つ通用しない世界だ。

でも、だからこそ知恵を出し合って生きているのがひしひしと感じる。


この石鹸、何からできているんだろう。

いろいろ知りたくなってきちゃった。


よし、お風呂からでよっと。

ビリーさんが用意してくれた服に着替えよう。

ワンピースかな? 

頭をとおして、わあ楽ちん。

この下に短パンを履くのかな?

1枚の生地でワンピースも短パンもできていて、軽くて楽ちん部屋着みたい。


「ビリーさん、お風呂先にいただきました」

「あ~服のサイズもよさそうだね」

「ありがとうございます。すごく楽に動けます」

「着ていた服は動きづらそうだったからね」

「はい」

「部屋にも色違いで何着かおいてあるから好きなように着ておくれ」

「はい、ありがとうございます」


「じゃあ、夕飯にしようか」

「わ~い」


夕飯は何が出てくるんだろう。楽しみ~


リビングに近づくと、いい香りがしてきた。

これは、シチューか?


「ビリーさん、これはシチューですか?」

「うん、そうだよ。好きかい?」

「はい、大好きです」

「それはよかった」


いい香りにつられすぐに席についた。


「では、いただこうか」

「はい、いただきます」


木のお皿に入ったシチューは暖かくてとてもおいしかった。

ジャガイモに人参、玉ねぎが入っていてこれは~お肉ではなくウインナーだ。

お肉の代わりにウインナーが入っている。

もう一つのお皿にはブロッコリーにコーン、そしてトマトが入ったサラダだ。


んごっ……んごっ。

モグモグ……ごっくん。


本当においしい。こんなにおいしいごはんを食べたのは、初めてというくらい美味しい。

なんでだろう、ただのシチューなのに。


「ルナ、このシチューはさっきのミルクで作ったんだよ。おいしいだろ」

「はい、すっごくおいしいです」

「わたしたちのいただく食べ物は、人間界のお野菜や牛のミルク、にわとりの卵をいただいているんだよ。おいしいに決まっているさ」

「そうなんですね」

「だから、感謝してありがたくいただく」

「はい」

「だから感謝する意味でも探偵として、人間の悩みを解決できることは解決してあげたいんだ」

「そうなんですね」

「ルナも今日は大変だったね」

「いえ、楽しかったです」

「それはよかった」

「でも……、人間からの悩みはどうやって聞くのですか?」

「それは、聞くより見た方がいいね。今度一緒につれていってあげるよ」

「はい」

「夕飯たべたら少し休むといいよ。時間になったら起こしてあげるから」

「はい」


わたしは残さずシチューとサラダを食べた。

そしてミルクを飲んで少し部屋で休むことにした。


疲れていたせいか、ベッドに横になるとすぐに寝た。



「ルナ、そろそろ時間だよ」


1階からビリーさんが呼ぶ声が聞こえた。

目をあけた。ここは……あっそうだ、そろそろ慣れようかわたし。


あっ探偵の仕事行くんだった。

急いで1階に降りていった。


「ルナ、少しは眠れたかい?」

「はい、すぐに寝て爆睡です」

「それはよかった。ルークが迎えにくるから待ってるといいよ」

「はい」


ふと、わたしは思った。歯磨きしてない。というか、歯を磨くという行動はあるのか?


「ビリーさん、あの~」

「なんだい?」

「歯を洗いたいんですけど、何か方法はありますか?」

「あっごめん、教えてなかったねきてごらん」


わたしはビリーさんについていった。


お風呂場の横に鏡があるが、その横に1本の木が生えていた。


「この葉っぱを1枚とって、歯にこすりつけて磨くんだ。葉っぱがなくなったらぶくぶくをしてペッとだすといいよ」


ビリーさんはやって見せてくれた。

この世界でも歯磨きはするんだな。


「ありがとうございます、やってみます」


わたしも歯磨きをした。

葉っぱを口に含むと、ミントのような爽快感が感じられた。

なるほどね。やぱっり爽快感って大事よね。


「ルナ、迎えにきたぞ」


ルークが迎えにきてくれた。


よ~し、夜の冒険にいくぞ!

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