日記の続き
失礼。前回のページを読み終わり、今ここを読んでいるだろうか。前回のページを読んでいないなら、早急に読むことを勧める。
前回は私とニアの出会いを話した。前回途中で切ったのは、区切りがいいからと、引越しの準備をしていたからだ。ので、読みにくかったら申し訳ない。
さて、今回はこの世界の話をしよう。
私たちが旅を始めたとき、疑問に思ったのは生きているものはいるのか否かだ。
辺りを見渡しても動くものは無い。そもそも、食べるものすら見当たらない。先程の池も、何やら黒く濁り飲めそうにない。
そんな世界に生命体はいるのか、答えはいない。だった。
少なくとも、何かが火を起こした跡、ものを動かした跡、齧った跡などは見つかった。そして、死骸と思しき物体も見つかった。
ニアはこの世界に来て日が浅く、またそもそもあまり多く食事をする必要のない体だと聞き、ひとまず安心だったが、それでもあまり長すぎるとまずかった。
だが、私たちはとても運が良かった。辺りを探索すると、ひとつの機械を見つけた。なんと、無から栄養価の高い液体を精製出来るという機械だった。どうやら、飢餓に苦しむ世界で使われていたようで、酷くボロボロだった。辺りには、似たようなものがあったが、もはや破片でしかなく、原型を留めてるのはたった一つだけだった。
ニアの身体と、その液体を調べると、ニアにとって有害な物はなく、生きていくために必要な栄養が十分含まれていた。味は悪かったらしい。
その後、その機械に名前をつけた。ケルルドア。この長ったらしく、ニア曰く、わかりにくい名前は魔除けらしい。悪魔は律儀なので、名前をしっかり呼ぼうとして舌を噛んで、帰ってしまうらしい。
そして、ケルルドアを中心に探索を進めると、他にも便利な機械をいくつも見つけた。残念なのは、どれも規格や工具が違うので、修理が非常に困難なこと。しかし、その困難を補える機械もきっとあるだろうと、私たちは探索を続けた。
そんな日々が、何年も続いた。たまに、動くものもいたが、意思疎通が図れなかったり、既に瀕死だったり、ケルルドアの液体が身体に毒で、口にすることが出来ず、餓死した者もいた。この世界は広すぎる。そのせいで、人に会うことは滅多になかった。
そしてまた、新しい機械を発見したある日。今から数年前の事だ。
私たちはパワードスーツのようなものを見つけ、そろそろ新しい機械を求めて引越しでもしてみようかと思い始めたその時、この世界の唯一の異端、誰からも愛されなかった、全裸の少女に出会った。
少女に名前はなかった。また、言葉も途切れ途切れで、何を言っているのかいまいち要領を得なかった。
ニアはやることがあったので、一旦別れ、私が少女の話を聞いた。
話しているうちに彼女は喋り方を覚えたのか、饒舌に語ってくれた。
彼女に両親はいなかった。家もなく、他の家族もいない。物心ついた頃から暗い路地裏で一人暮らしていた。
食べるものは残飯や、落ちたガム、死体など、また、たまに来る人間からお金を貰った時に食べた生肉が1番のご馳走だと語った。
たまに来る人間。は、どうやら彼女を慰みものにし、極稀に金を落としていったと言う。最初は、それがお金だということも知らなかった。
そんな生活を20数年続けたある日、犬に襲われたので反撃し、食べてたら、通りがかった人に殺されたという。
だが、私は疑問に思った。この話を聞く限りで、彼女にこれらの事を理解し話すことは不可能だと思ったし、何よりこんな人生で誰かから愛されたことも大切にされたこともないのに、どうしてこの世界にいるのか。
その理由がわかったのは、彼女を連れて新天地に向かい、旅を始めたすぐ後。この世界の秘密を知り、彼女の秘密を知った私たちは、驚きとともに、喜びを覚えた。
…ニアに呼ばれてしまった。紙もそろそろ書く部分がなくなってきている。続きは、また次回だ。
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