第5話 メールのジレンマ(私 高校2年生)想いのままに・女子編
私の言葉が……、私の態度が……、あいつを不安にさせて戸惑(とまど)わせているのは間違いない……。
生まれてからの17年間にあいつと共用にした事柄なんて、ほんの僅(わず)かな時間の点接触の様な繰り返しで、しかも其(そ)の時の思いや感じた感覚や感動を伝え合ってはいない。
これから先、あいつとちゃんと言葉を交(か)わして点接触が線接触になり、しっかりと想いを込めた触れ合いの面接触にできて、素直じゃない私と躊躇(とまど)いばかりのあいつは相手の想いを察(さっ)した気遣(きづか)いと思い遣(や)りで、互(たが)いに相手の爪先(つまさき)を踏(ふ)み付ける様に大胆(だいたん)に胸の内に飛び込めて、其の先の長い人生を笑顔に満ちた豊(ゆた)かな日々の立体的な重(かさ)ね合わせにして行けたら、私は幸(しあわ)せだと自覚(じかく)できるのだろうか?
今は静かにしているけれど、あいつは思い切った行動と知略(ちりゃく)で私に興味(きょうみ)を持たせてから、勇気(ゆうき)の有る告白をして来たが、私はしっかりと断(ことわ)っている。
あいつは私にフラれても諦(あきら)めず、いつも近くにいてリベンジのチャンスを窺(うかが)っているのを私は分かっていた。
たぶん、あいつは野性的な肉食系で、内に秘(ひ)めているのは音を立てずに素早(すばや)く迫って来る狼(おおかみ)だ。
あいつは暗闇(くらやみ)で眼光鋭(するど)く獲物を見極(みきわ)めて狙(ねら)いを定めている。
もしも何かのイベントで夜を二人(ふたり)切りで過(す)ごす事になれば、当然、私は大事にされて護(まも)られるけれど、眠気(ねむけ)で弛緩(しかん)する私を壁際(かべぎわ)に追い込んで既成(きせい)事実作りを迫(せま)って来るだろう。
それは、建前(たてまえ)と言い訳ばかりで萎縮(いしゅく)する草食系の男子よりも男らしくて好(この)ましいが、心も、身体(からだ)も、痛(いた)くて傷付(きずつ)くのは嫌(いや)だ!
それに後悔(こうかい)で泣(な)くのも厭(いや)だ!
だけど、その時は私が真剣(しんけん)に拒(こば)めば、きっとあいつは戦闘的になっていても私を傷付けないように退(しりぞ)いてくれると思っている。
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中学校での私の成績は同学年300人の中で50番代後半から70番代前半を行ったり来たりしていた。
1年生と2年生の時は部活をせずに習(なら)い事をしていたけれど、3年生では習い事を辞めて帰宅部になり、進学塾へも通わずに自分なりの受験勉強に専念していたつもり。
よく私の近くを歩いて帰っていた美術部の幽霊部員のあいつも正式入部をしていない未登録の生徒だから帰宅部だった。
あいつの中学校での成績はいっしょのクラスになった2年生の時の様子から、たぶん200番前後で、きっと赤点の教科が有ったんじゃないかと思う。
私は進学塾に通わなくても、金沢市内で大学への進学率評価が上位の公立普通高校に入学出来ていていたけれど、入学後は同じ学力レベルの集(つど)いに成績順位は伸び悩(なや)み、現在の高校2年生の1学期末の学業成績は学年順位の中間辺りだった。
この成績の点数では、国立大学や有名な私立大学への進学は危(あや)うく、このままだと高校2年生の後半と3年生で受験まで猛勉強しても、国公立の大学の合格ラインと狭(せば)まらない隔(へだ)たりが有って、進学評価の状況は殆(ほとん)ど今と変わらないだろう。
けれど、私は足掻(あが)き通して、少しでも納得できる大学へ進学したいと思っている。
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明日は学力テストの初日だという日の、間も無く日付変更タイムになる深夜、もう寝付かなければならないのだけど小腹(こばら)が空(す)いて眠れやしない。
なので、500メートルばかり離れたコンビニまでプリンとシュークリームを買いに行く事に決めた。
しかし、今の時刻は神隠(かみかく)しの徘徊(はいかい)に遭遇(そうぐう)し易いクライシスタイムだ。
小路(こうじ)の先の広見(ひろみ)の狭間(はざま)に魔界への扉が開いて人間モドキの魑魅魍魎(ちみもうりょう)の跋扈(ばっこ)する時間帯に、可愛(かわい)い女子高校生の御一人様(おひとりさま)での御出掛けは流石(さすが)にデンジャラスだから、まだ起きている女子大生のお姉ちゃんにいっしょに行ってくれる様に頼(たの)むと、スマホの時計を見て『そうだね。一人は危(あぶ)ないわ! 私も欲しい物が有るし、いっしょに行こっか』と快(こころよ)く愛車を出してくれた。
出掛ける際(さい)にお姉ちゃんは、週末以外は午前2時まで起きてノートパソコンのキーをブラインドタッチで打っているお父さんに、『コンビニまで私と行って1時間くらいで戻る』と伝えて、『気を付けてな』と返されていた。
お姉ちゃんの後ろからリビングのテーブルでお父さんに操作されているパソコンの画面をチラ見すると、何か図面を描(か)いているみたいだった。
「毎晩遅くまで大変だねぇ。ありがとう、お父さん」
明(あき)らかに仕事に頑張(がんば)っているお父さんに、お姉ちゃんが声を掛けると、
「いや、ずっと起きているわけじゃないんだ。寝ようとしたり、湯舟(ゆぶね)に浸(つ)かったり、トイレに入ったりしてたら、フッとアイデアが思いつくんだ。それが既(すで)に世の中に有る事なのか、無い事なのか、それを調べて、無ければ、仕事に活(い)かせるように、人に見せてできるようなプレゼンの資料風に纏(まと)めているだけだよ。だから今夜は御前達が戻ったら寝るよ」
「そうなんだ。お父さんはクールでカッコイイね。でも無理しちゃだめだよ」
『ああ、そうだな。ありがとう』と頷(うなず)くお父さんに送られて、私とお姉ちゃんはコンビニへ出掛けた。
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面食(めんく)いのお姉ちゃんは言っていた。
「スタイル抜群(ばつぐん)の素敵(すてき)なイケメンだったら、働かなくてダチ連中と遊び回っていても、私が身を粉(こ)にして働いて養(やしな)ってあげるの。プーのヒモでもいいの。勿論(もちろん)、私への暴力はNGよ。汚(きたな)い罵(ののし)り言葉もダメよ。そんな事をされたら寝首(ねくび)を掻(か)いて地上(ここ)より永遠(とわ)への御別れよ! 事故に見せ掛けて始末(しまつ)しちゃうか、殺さない程度の重傷を負(お)わせてやるわ! 私の前では素直(すなお)でいて、イケメンの明るい笑顔と持ち前の楽しさで、ちゃんと私を構(かま)ってくれていなくちゃね。きっと私は、それだけで幸せになれるわぁ」
『裏切ったらイケメン顔を歪(ゆが)ませて遣(や)る』みたいな恐(おそ)ろしい事を、無表情のお姉ちゃんが棒読みの声で言う。
「あんたの彼が、どんなのか知らないけれど、裏切りばかりの人非人(にんぴにん)みたい奴だとしたら、私の妹なら、暴力や心変わりの報(むく)いに、お姉ちゃんと同じような仕打(しう)ちをしてやるつもりなんでしょう?」
『うん、そうね』と頷きながら、私はあいつの事を考えた。
私もイケメンは好(この)みだけれど、お姉ちゃんと違って稼(かせ)ぎの無いヒモは、幸せな暮らしを潤(うるお)わせて長続きさせる事ができないから、どんなに顔とスタイルが素敵で私の好みでも、言い訳ばかりを口にするプーは心底(しんそこ)嫌悪(けんお)してしまうに決まっている。
低所得でも構わないから、ちゃんとした志(こころざし)と向上心(こうじょうしん)を持つ男性(ひと)と御付き合いをしたい。
全然イケメンでないあいつは、プーなんて無責任な状態には絶対にならないと思う。
いつかのメールに冬休み中は郵便局でアルバイトをして年賀状を配達したと有ったし、加工業を営(いとな)んでいる父親の処(ところ)で工作機械のオペレーターという事をしていて小遣(こづか)いを稼いでいるらしく、何でも今はモノ造りで技能を研鑽(けんさん)してプロセスを知り、近い将来はエンジニアになりたいそうだ。
あの日、あいつからのメールが着信していたのに気付いていなかった。
『今夜も九時まで親父の手伝いなんだ。最近は滅多(めった)に失敗する事は無くなって、良い稼ぎになってるよ。ちゃんと社会保険に加入して所得税も払(はら)ってるんだ。それに漸(ようや)く製造業の道理っていうのが解(わか)りかけて来てるんだ。それは、理(り)に適(かな)った形態の設計を行う為には、優(すぐ)れた技術と技能が必要という事なんだ。それを僕が実現させて世の中に存在させて行くのに、やはり優れた技能を習得(しゅうとく)して切磋琢磨(せっさたくま)して行かなければならないんだ。だから技術も学ばなければ、技能の裏付けができないんだな』と、そして『今、自分にできるのは図面の指示通りにパーツを完成させる加工なのだけど、其のパーツが何の品物の何処(どこ)で、どのように使われるパーツなのか、それは社会にどんな形で貢献(こうけん)しているのかも知れると、パーツの形になる必然性も解って来る。僕は其処(そこ)まで知りたいし、理解したい。其の改善や改良もイメージできるようになりたい』と、あいつの熱の籠(こも)ったメールに記して有った。
『最近は、近県の顧客(こきゃく)と受注時の打ち合わせや納品(のうひん)に連れて行かれて挨拶(あいさつ)や御礼(おれい)をさせられているし、来社した方々への接客もしているんだ。それで態度や言葉遣(づか)いが丁寧(ていねい)になったかもだよ』
あいつからのメールのメールの着信が続いた。
『それで、他人様から見た自分を意識するようになったです。清潔(せいけつ)な整(ととの)った服装で、汚(よご)れていないかとか、工場内は脱臭(だっしゅう)と換気(かんき)を含(ふく)めた空調管理は徹底(てってい)しているけれど、油や鉄や汗の臭いが鼻に付かないかとか、工場の内外の6S(ろくえす)は大丈夫かなど、けっこう確認して管理の気を抜(ぬ)かないようにしてるよ。まあ、それがどうのこうのじゃないけれど、今の僕の状況を知らせておきたかっただけ。じゃあ、おやすみなさい』
顧客? 接客? 挨拶? 御礼? 脱気? 6S? 確認? それらの言葉の前後文から私が理解する一般的なアルバイトの仕事内容とは違うと思った。
『態度や言葉遣いが丁寧になった』というのは並んで話ながら歩いた事も、買い物や食事のデートもしたことがなかったから分からないし、知らない。
(あいつの言いたい事が上手(うま)くイメージできなかったけれど、ちゃんとした志(こころざし)を持っているあいつが羨(うらや)ましい。……今の私は、いったい何がしたいのだろう?)
あの時の私と今の私、毎日に流されているだけで、何処(どこ)か進歩している処が有るのだろうか?
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以前からそうだったが、私は学校の存在というか、在り方に疑念を持っている。
近未来や将来的な人生のバックグラウンドとして必要だと思うから普通高校に在籍して、まだ専攻は決めていないけれど、大学への進学を考えていた。
アルバイトの実務の裏付け知識を得ようとして工業高校で学(まな)ぶあいつとは、学校の概念(がいねん)にズレが有った。
学校での学びで切っ掛けを得た事や父親から教えらた事は、更(さら)にインターネットや専門書籍で調べながらアルバイトで『より正確に、より速く、より無駄(むだ)の無い華麗(かれい)な動作と美しい工程に』をテーマに実践しているらしい。
残念ながら、そんな孤高(ここう)の高みが有る遂行(すいこう)な学びの精神を、私は持ち合わせていない。
自分でも以外だが、億劫(おっくう)でも学校へ通って授業を受けてから帰宅するルーチンは全(まった)く嫌(いや)じゃなくて、友人関係にも問題は無いと思っている。
しかし学校には、毎日のルーチン以外の余分な行事が多い。
時代錯誤(じだいさくご)も甚(はなは)だしい文武両道の精神から生徒全員が何らかの部に入っての活動を行うという要求をするとか、気分転換や体力作りにもならない一日限りで強行される学校行事などは、本当に進学校に必要なのかと考えてしまう。
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言葉は大事だ!
文字は、もっと重要だ!
言葉を伝える声の抑揚(よくよう)や大きさや響(ひび)きから、言葉に乗せた表と裏の感情を感じる事ができる。
文字は一字を変える事で、全く違う意味になったり、読み取れる感情が温(あたた)かくなったり、冷(つめ)たくなったりしてしまうから要注意で、文字選び、言葉選び、文作りは慎重(しんちょう)に行わなければならない。
例(たと)えば、年輩の男性から『美味(おい)しい物を食べて来て下さい』と送り出されても、私は同調できない。
食事に行くのに、わざわざ不味(まず)そうな料理店を選(えら)んで不味そうな料理を注文しないでしょう。
だから、其処は『食事を楽しんで来て下さい』が適切で、そんな食事の経験値の高さと意義の奥深さを悟(さと)っている紳士的な言葉を言って欲しい。
『美味しい物を食べて来て下さい』だと、普段から美味しい料理を食べていない、食事を作業的に捉(とら)えている無機質(むきしつ)な人格を感じさせてしまう。
それは食事を含(ふく)めた人生を楽しめていないという事への察(さっ)しになり、其の人が家庭を顧(かえり)みない仕事一筋の事務的な感覚で毎日を過(す)ごしているのだろうと分かってしまう。
きっと、食べるのが速い社会人は、仕事が速いと信じているのだろうが、仕事内容が熟考(じゅっこう)されて優れているのとは、同義ではない。
優(やさ)しそうな言葉でも、其処から思い遣りの欠如(けつじょ)、自分勝手、我(わ)が儘(まま)、頑固(がんこ)、男尊女卑(だんそんじょひ)、優越感、上から目線などが読み取れて、私は親しくしたくない人物のカテゴリーに入れてしまうが、この手の人物は年輩の男女に多く、自称(じしょう)『自分は、仕事ができる人』だった。
やはり趣味(しゅみ)に、仕事に、生活にと、日々の時間と人生を楽しめて、食材の目利(めき)きに、料理作りに、器(うつわ)に、食事の環境にと、ゆっくりと楽しんで食事をする人じゃないと、信用も、信頼もできないと私は思っている。
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何気無(なにげな)く言った言葉でも言霊(ことだま)になって、言われた相手を括(くく)ってしまう……。
教室で同級生が口走る呪(のろ)いの言葉と言い方に虫唾(むしず)が走る。
大切な事を奪われる嫉妬(しっと)、羨ましくて仕方ないからの妬(ねた)み、悔(くや)しくて腹立(はらだ)たしい嫉(そね)み、それらの声が感情と表情を剝(む)き出しにして相手を見下(みくだ)して貶(おとし)め、不浄(ふじょう)な芥(あくた)として括り付けようとしている。
自分へ向けられた身に覚えのない謂(いわ)れ無き悪意の有る言霊には、報復(ほうふく)を無警告で徹底的に強行して遣るつもりだが、悪意有る言霊を話す連中は余りにも無神経で無責任だし、チラ見で観察するだけでも仕種(しぐさ)と話題が幼稚(ようち)な奴ばかりで、体育会系と文系の成績優秀者が多かった。
とても入学試験を合格して此の高校にいる生徒とは信じられない程、言葉遣いと態度が低レベルだった。
そんな無神経さは、教師や教諭の肩書(かたが)きを持つ先生でも同じだ。
生徒個人へ枕詞(まくらことば)のような悪意を含んだ言葉を付けたり、不必要な後書(あとが)きみたいな揶揄(やゆ)の言葉を添(そ)えて呼(よ)んだりする、敬(うやま)うには懸(か)け離れた、低レベルの人格の先生は多い。
本人に何が有ったのか、何が不満なのか、気に食わないのか知りたくもないが、それらの生徒や先生が其の低レベルの質へ形成されてしまった経緯(けいい)や環境は、今後の対人関係への参考資料に纏めたいくらいだ。
人を容姿の好(よ)し悪しや成績の点数で悪意を込めた分別をしてしまう不健全な生徒や不浄な先生は、まだ悪よりも善が勝(まさ)っている生徒達を健全に自立させる学校教育には、全然必要無いでしょう。
必要無いといえば、宿題もそうでしょう。
なぜ毎日、宿題を出すのかしら?
予習や復習は進学を希望する生徒の自主的な責任で行う事であって、受験に則(そく)さない問題の宿題で、私は自分の学習ペースを乱(みだ)されたくない。
そもそも受講する生徒達が理解し易(やす)いように説明して、納得の上で記憶させて行くのが教師達の能力で、仕事でしょう。
それなのに全体の進学率や高位の大学への合格者数が下がるのは、勉強時間が少ないからだと、教師達は学力の低下を生徒達の所為(せい)にする。
しかし其れは甚(はなは)だしい無責任さの責任転換で、教師自身に能力が不足していて教える内容の理解と工夫(くふう)が足(た)りないからじゃないだろうか?
同じ内容でも教える教師次第で全体の成績が高低するのは、どういう理屈なのでしょう?
中学生の大半が高校受験を経(へ)て入学するように、高校生の約半数も大学受験に合格して大学生に成る事を目指す。
進学校の高校生達の学習の目的は、第一志望校に合格する事でしょう。
故(ゆえ)に、其の為の授業で有り、其の為のテストで有るので、テスト内容と解答方式は、それに準(じゅん)じて貰いたいと思う。
抜き打ちや中間や期末のテストの内容と答えの記入が、目指す大学の受験の一般的な出題傾向(けいこう)と解答方式が著(いちじる)しく違(ちが)うっていうのは非常に不合理でしょう。
回答を手書きにさせるのも、判読性から鑑(かんが)みて不確実になる失策(しっさく)で、全ての教科の出題の回答は選択式のマークシートにすべきで、それは普段の授業から徹底すべきだ。
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先生が書いた板書(ばんしょ)を書き写さなくてはならないっていうのなら、『教科書の意味は何処に有るのだろう?』と考えてしまう。
教科書の内容は小学校や中学校や高等学校で学ぶべき知識で、定期的な試験や入試の問題も其処から出題されている。
ならば何故(なぜ)、先生は同じ事を板書するのだろう?
板書は内容の事柄(ことがら)を生徒の大半が理解し易くて、記憶が容易になるような手法の書き方で書いて、出題傾向のポイントを教えてくれているのだろうか?
それとも先生が理解した内容にしていたり、先生の授業進行の都合(つごう)に合わせていたり、先生が使う手法を推(お)し付けていたりしているだけの板書なのだろうか?
それなら教科書を開いて使う意味は有るのだろうかと、教壇(きょうだん)に立って板書を書く先生の後ろ姿を見る度に多くの疑問を抱いてしまう。
理解と記憶は個人差が強く、人それぞれ思い思いの方法を用いている。
大学の入試の出題が教科書の内容からだから、不安定で不確実要素の多い人間が授業を進行するよりも、授業のみをAI(エーアイ)に任(まか)せた方が現実的で、不備が無いでしょう。
教科書の内容を要約しているような板書を丸写(まるうつ)しにしたノートを後で見返していたら、省(はぶ)きが多くて意味が分からず、理解の辻褄(つじつま)合わせに難儀(なんぎ)した。
だから私は丸写しよりも先生の言葉を良く聞いて、教科書へのチェック入れと内容を関連付けたメモ的なのをノートへ書き込むだけにしている。
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授業で名前を呼ばれて先生の質問に答える。
座(すわ)って答えたら、『立って答えろ』と言われた。
いちいち立たせる、いちいち立つのを待ってから答えさせる。
『現状で最短、最速になるように作業内容や作業順番、それに自分の思考と動作や向きを見直して、常に最適化の努力をしているんだ。工場で使っている機械はリース契約の最新仕様で、機械メーカーがバージョンアップすると、ウチの機械にも入力されるし、著しく性能がアップしたタイプが販売されると、契約を変更して導入している。使い勝手は良くなるけれど、ただ加工スピードをアップするだけじゃなくて、アルゴリズムも調整しないと精度が落ちて品質を劣化させてしまうから、其の辺も研究中だよ』と、あいつでさえ可能な限り省ける部分は省いても品質は維持して時間を短縮させている。
あいつのメールから読み取れる努力の実態に比べて、『教師という職業は余裕が有るな』思った。
(まあ、教師でも個人の能力の差は、大きいかもね!)
先生が黒板に書いた文や式を、黒板まで行って書き込みで解答させる。
こういう授業って、対話式というのだろうか?
答えられなかったり、間違えたりすると、他の生徒を指名して答えさせて、これが正解になるまで繰り返される。
こんな進め方をしている先生に限って、時間が足りなくて進みが遅いと罵る様に愚痴(ぐち)を言う。
(愚痴を言う時点で、思考が矮小(わいしょう)だ!)
大学受験で高合格率を目標とする進学系普通高校に、勉学時間をロスしてしまうような問答形式の授業進行は必要無いと思う。
暗記するポイント、習慣化を誘発(ゆうはつ)させる記憶し易い説明、より理解し易い解答方法などを教え込む授業内容にして欲しい。
私は……ふと思う。
授業で使う有名メーカーの重いタブレットよりも比較的に安価で軽いタブレットを使いたい。
ベッドで仰向(あおむ)けになって操作すると直ぐに手が疲(つか)れて、二の腕が太くなってしまった気がしている。
それに気を付けているのだけど、操作中に寝落ちした瞬間、持つ力が緩んだ指から滑(すべ)り落ちたタブレットに顔面を強打される。
安全性に配慮して丸められたタグレットの角(かど)でも眼球を直撃すれば、眼球陥没(かんぼつ)で角膜(かくまく)剥離(はくり)や失明の危険が有るし、唇(くちびる)に落下すると前歯が折れたり、切れたりして、打ち付けた歯茎(はぐき)は傷付いて口内炎(こうないえん)になってしまう。
だから怠惰(たいだ)な私には、バックの中身も重くならない軽いタイプが嬉(うれ)しいのだけど、インストールされている授業システムは重いタブレットに搭載(とうさい)されているコンピューターのシステムOSにしか対応していないので、軽いタブレットへの移設はできなかった。
教科書は授業で教材だとされているから、私は板書を書く先生の解説を聞きながら教科書の項目行をなぞって要点を自分仕様に簡潔(かんけつ)に纏めている。
だから読み物ではない教科書は先生の説明なしに読むと、細(こま)かい繋がりの理解が難しくて、記憶中枢(ちゅうすう)に内容が浸透(しんとう)して来ない。
其の欠落している浸透性を得る為に購入するのが参考書だ。
参考書は単独で勉強できるように作られているので、理解がし易いと感じている。
授業で使う教科書や先生が書いた板書の纏めから基本的な考え方を学ぶと、基本の問題程度は解けるけれど、標準的な応用問題になると解き難い。
そんな応用問題を解けるようにさせるのが、参考書での理解なのだそうだ。
ならば、教科書と参考書を別々の内容にする必要が有るのだろうか?
教科書の内容はテーマで、参考書の内容は資料として、私はスキャンでエクセルやワードのファイルにしてから軽いタブレットに入れて勉強に使っている。
勿論(もちろん)、授業でも使っていて、ページではなくてテーマで分けたファイルのウィンドゥ画面開きだから、見易くて関連項目の探しも楽だ。
スマホでも見れるようにしているから、タブレットとスマホの2画面に多数のファイルを開いて、情報を一見(いちげん)で理解できるようにしている。
参考書は単なる重ね売りの商売の為だろうが、理解不足になり勝(が)ちな教科書内容の補完と応用を分かり易く体現させてくれるのは魅力的(みりょくてき)だ。
進学の受験は、国民の才能を振るい分ける為の教育の進学制度なのだと直感した!
産業界全てが優秀な国民に因(よ)って繫栄して、より多くの税金が国庫に収(おさ)まり、世界に冠(かん)たる日本国のいみじく国威(こくい)に光を添える人物を多く育成する為に必要な教育制度である事を、私は悟(さと)った。
国の教育政策はボランティアじゃない!
生涯(しょうがい)を凡庸(ぼんよう)に生活していけるだけの一般的な知識と思考は教えてやるから、しっかりと学校で学んで、社会で真面目(まじめ)に働いて稼いで、ちゃんと対価の税金を払えって事だ。
しかし、現実には学校を卒業後に高等教育どころか、基礎教育も活かせる雇用先が不足して、就職できない新規卒業者達や経営不振の倒産での失業者が増えているのは、政府の方針が国民の求める生活とミスマッチして景気を低迷(ていめい)させているからだ。
それ故に学校の授業で学科を教える教師は、教室の生徒が理解し易い板書を書き、理解し易い正しい日本語で活舌(かつぜつ)良く説明する責任が有る事を自覚しなければならないと思う。
日本国民の生活が豊(ゆた)かになるように、次世代の私達への授業はそこに重点を置くべきで有って、生徒を前に出させて解答を書かせたり、教科書を読ませたりするような余裕は授業時間に無いはずでしょう。
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私は先生に『職員室まで来い』と指名されても、行った例(ためし)が無い。
小学校や中学校の時は不快(ふかい)と感じても、教師という職務への畏敬(いけい)から伺(うかが)っていたが、高校生になって煙草(たばこ)を吸(す)う教師への人間性に疑問を抱いてからは、煙草臭い職員室や教師に近付かないようにしている。
常習的に喫煙(きつえん)をする教員達は、一体(いったい)いつ頃から煙草を吸うようになったのだろう?
自身の身体や受動喫煙で周囲の人達の健康まで害する喫煙の悪しき習慣を改める事ができない人達が教職者だなんて、何の冗談かと笑ってしまう。
こんな自己管理のできない人達の上から目線の指示などに従う事はできないし、悪しき習慣に無感覚になる太々(ふてぶて)しい神経の私への伝染は、是(ぜ)が非(ひ)でも避けたい。
この連中の煙草を吸いだした切っ掛けは何だろう?
喫煙は、未成年までは禁止されていて医学的にも身体へ害が有ると証明されているのに、煙草を吸って良い事が有ったのだろうか?
映画やテレビドラマやグラフィックで喫煙者が格好良く見えるのは、ストーリー的に低俗(ていぞく)な輩(やから)を見栄(みば)え良く映(うつ)してからに他(ほか)ならず、其のストーリーはファンタジーで、現実の社会には不必要な淘汰(とうた)すべき行為ばかりなのを知っているのだろうか?
『息抜き』や『気分転換』や『一時のストレス解消』など鬱積(うっせき)したフラストレーションのガス抜きを言い訳にした自己(じこ)弁護(べんご)を多く聞いたが、そもそも言い訳を口にするセコさに嫌悪感が湧(わ)いた。
窮屈(きゅうくつ)な喫煙ルームや喫煙エリヤに喫煙者が集(つど)ってスマホを開きながら紫煙(しえん)を吐(は)き出す。
客観的に、なんて貧相(ひんそう)で侘(わび)しい、そして身窄(みすぼ)らしくて惨めな風体なのだろうと、視界に入る度(たび)に眉間(みけん)に皺(しわ)を寄せて蔑んでしまう。
私は、こんなに器(うつわ)の小さな小心者から教えられているのかと、不安で悲(かな)しくなってしまう。
だから、先生と認(みと)めるのは、その教員の素行(そこう)を観察して見極(みきわ)めてからだ。
成るべくして小者になった小物からは、繕(つくろ)いばかりの信憑性(しんぴょうせい)の無さがプンプンと臭って、全てが嘘臭(うそくさ)い!
小者からは、学ぶところが無くて、其の不快さに学ぶ気にもなれなかった!
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社会経験を積んでいたとしても自分を正(ただ)せない大人は多い。
社会経験が多くて、人生経験が長いだけなら、老人は、誰もが聖人君主(せいじんくんし)で有るはずでしょう。
でも、現実はそうじゃない!
自分の性格や思考を客観的に観れなくて、自分の言葉や行為に何も疑問を感じず、他人から学ばない大人は無知と頑固と無思考が強化されて行くだけだ。
学校のクラスでも学業の成績じゃなくて人間的に豊かで優秀なのは2割、低思考で歪(ゆが)んでいるのが2割、残りの6割は無自覚な無発想さで、ただ優と低に流されている連中だ。
私が観察した限り、其の比率は大人も同じだと感じているが、新たな思考で与える仕事をしている人ではなくて、与えられるだけの仕事に就(つ)く従来の意識から逸脱(いつだつ)できない大人達は、レボリューション(改革)できなくてシックスセンス(直感)やイノベーション(革新)の無い、周りの動向を伺って流されているだけの6割の中に入っていた。
学校教育というのは、此の国の常識・伝統・文化・道徳を組織的に洗脳するシステムなのだ。
高学歴、高収入の方々を含めた大人達の8割が状況への感謝の無い振る舞いをして、現状から逸脱しようともしないし、また逸脱できない此の国の社会は、由々(ゆゆ)しき大問題其の物だと思っている。
つづく
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