第8話

「ふふっ、では改めて聞こうか。君は私の事をどう思っているんだい?」

「え?急に聞かれても困るんだけど……」

「構わない。君が思うままに答えてくれれば良いんだ」

「う〜ん、そうだね。最初は少し苦手意識があったかな」

「ほう、どうしてなのか理由を聞いても良いだろうか?」

「えっと、まずは見た目が怖かったっていうのが一番大きいと思う。正直言って、初対面の時にはかなり警戒していたよ」

「なるほど、確かにあの時の君は少しピリついていたように感じるね。だが今は違うだろう?」

「うん、今となってはおじさんの方がよっぽど怖いよ」チラッ

「ふむ、そう言われると傷付くな」

「あはは!ごめんなさい」

「まあいいさ、君の言う通り私は見た目で人を判断されるのが好きではないからね。それで、他にはあるのかな?」

「そうだねぇ〜、一番印象的だったのが、おじさんが言った言葉かな」

「ふむ、それはどんな事かな?」

「『君は笑っている時が一番可愛いという事だよ』ってやつ」

「ああ、あれか。実は少し照れ臭くてね、柄にもなく緊張してしまったよ」ポリポリ

「あはは!おじさんでもそんなことがあるんだね!」

「当然だとも。私は普通の人間なんだからね」

「そうだよね。……あの時は本当に嬉しかったよ。だって、僕に初めて友達ができた瞬間だったからね」ニコッ(微笑み)

「そうか……。なら、私にとっても特別な日になったと言えるね」

「うん、そうだね。だから、僕はおじさんに感謝しているんだ」

「感謝か……。ならばその気持ちを行動で示してもらえるとありがたいな」

「え?どういうこと?」キョトン

「簡単な話さ。君からのキスを待っていると言っているのだよ」スッ

(目を閉じて顔を近付ける音)

「えぇ!?そ、そういうのはまだ早いよ!」

「まだとは?つまり、いつかはしてくれるということかね?」ニヤリ

「えっと、それは……」カァッ!

「……ふむ、これは脈アリと見るべきかな?」ボソッ

「ん?何か言った?」

「いいや、何も言っていないよ。それよりほら、早くしないと誰かに見られるかもしれないよ?」

「え?あっ!も、もう、いきなり変なこと言わないでよ!」

「ふふっ、すまないね。君があまりにも可愛かったものだから、つい揶揄いたくなってしまったのだよ」

「まったく、しょうがない人だね……」

「おっと、その言い方はあまり感心しないね。まるで私がいつも変態みたいな言い草じゃないか」

「へ、変態じゃないの?」

「失礼な。私はただ君に愛を伝えたいだけだというのに」

「それが十分変態的な発言だと思うんだけど……」

「ふむ、まあそこはいいとしてだ。それよりも私は君に一つ聞きたい事があるのだけれどね」

「え?何を聞きたいの?」

「先程、君は私の事をどう思っているのかと聞いた時にこう答えただろう?」

「うん、覚えてるよ」

「その時は友達と言ったね。では、今はどうかな?もし今も変わらないと言うならば、それは嘘になるんじゃないかい?」

「……うーん、やっぱりおじさんには敵わないなぁ〜」ハハッ

「おや、ということは……」

「うん、その通りだよ。僕もおじさんの事が大好きだよ」ニコッ

「そうか、ありがとう。嬉しいよ」ギュッ

「うわっ!」ビクッ

「大丈夫かい?怪我はないかい?」ナデナデ

「もう、ビックリしたよ。急に抱き締められたんだもん」ドキドキ

「ふむ、すまないね。だけど、こうでもしないと君はまたどこかに行ってしまいそうな気がしてね」

「え?それってどういう意味……?」

「……」

「ねえ、おじさん」

「なんだいハニーちゃん?」

「えっと、あのね……」モジモジ

「どうしたんだい?」ニコニコ

「その、は、恥ずかしいから耳元で喋らないでくれるかな//」

「ああ、これはすまなかったね」フゥ〜

「ひゃう!」ゾワッ!

「おや、どうかしたのかい?」クスッ

「もぅ、おじさんの意地悪!!」

「ははは、やはり君はからかっている時が一番可愛いね」

「む〜、僕は真面目なのに……」

「まあまあ、そんなに落ち込まないでくれ。それに安心して欲しいのだが、私はいついかなる時でも君の味方であり続けるつもりだからね」

「おじさん……」

ウルッ

「さあ、そろそろ行こうか。あまり遅くなると皆が心配するからね」

「うん、そうだね」ニコ

((ああ、この時間が永遠に続けば良いのに……))

「ところで、どうして今日はこんなことをしようと思ったんだい?」

「えっと、実は最近になっておじさんが僕を避けているような感じがしてて……。それで何か理由があるなら教えて欲しいなって思って……」シュン

「……」ギクリ!

「ねぇ、なんで黙っているの?」「あ、いや、その……」ダラダラ

「まさかとは思うけど、僕が嫌いになったとかじゃ無いよね?」ジー

「ち、違うとも。私は君の事を嫌ってなどいないよ」アセアセ

「本当?」


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弱者令嬢でも復讐したい ニート @pointinline

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