第6話
「えっ?い、一緒に入るだと?」
「はい!二人の方が楽しいですし、それに洗いっこも出来て一石二鳥です!」
「い、いやしかしだね……。流石にそれはまずいだろう」
「どうしてですか?前に一度入った時はお互い何もしてないんですから大丈夫ですよ!」
「あ、あの時とは状況が違うじゃないか。今はその、色々と問題があるというかなんと言うか……」
「問題ですか?」
「ああ、だから今日は別々に入ろう。ね?」
「嫌です!」
「即答かい!?」
「はい!絶対に離れたくないです!」
「うぅ……。そんな風に言われると断りづらいのだが……。はぁ、仕方ない。じゃあせめてタオルで隠すと約束してくれないか?」
「わかりました!じゃあこれ使ってください!」
「え?これを?」
「はい!バスタオルです!」
「いや、別にそこまでする必要はないと思うんだが……」
「ダメですよ!それじゃあ意味がないじゃないですか!」
「ええ……?」……
「ふぁ〜……。気持ちいいですね〜」
「ああ、そうだね。とても良い湯加減だ」
「あの……ニートさん」
「うん?どうかしたのかい?」
「その……お背中流しましょうか?」
「え?い、いきなり何を言っているんだい?冗談にしてはタチが悪いぞ」「本気なんだけどな……」
「何か言ったかい?」
「いえ、なんでもありません!じゃあ先に上がりますね!」
「う、うん。わかったよ」……
「ふわ〜、いいお湯でした〜。あ、そうだ!ニートさん、寝る前にマッサージしますよ!最近疲れてるみたいだし」
「え?いや、私は特にそういうことは求めていないのだが……」
「ダメです!ちゃんと揉み解さないと体が凝っちゃいますよ!」
「ふむ……。まあいいか。じゃあお願いしようかな」
「はい!任せて下さい!」……
「どうですか?痛くないですか?」
「うん、丁度いい力具合だよ。ありがとう」
「えへへっ、よかった。……ねぇ、ニートさん」
「うん?どうかしたのかい?」
「その、まだ起きてますよね?」
「ふむ、何の話だい?」
「わかってるクセに……。さっきからずっと私を見てたでしょう?」
「ふっ、バレていたのか。君があまりにも可愛かったものだからつい見惚れてしまったんだよ」
「もうっ!またそうやって私を揶揄って!」
「ははっ、ごめんよ。それで、一体どういう風の吹き回しなんだい?」
「えっと、それは……」
「ん?言えないような理由なのかい?」
「そ、そんなことないです!ただ、その、ちょっと恥ずかしくて」
「恥ずかしい?よくわからないが、言いにくいなら無理には聞かないけど」
「いえ、言わせてください。……実は、昨日お母さんに言われたんです。『あんまりニートさんの迷惑をかけちゃいけない』って」
「ほう?」
「それで思ったんですよね。確かに私達は恋人同士です。でも、ニートさんは優しいからこうして一緒に居てくれます」
「……」
「でも本当はもっと違う人と過ごした方が幸せなんじゃないかなって……。ほら、ニートさんモテますし」
「そんなことはないよ」
「それに、ニートさんの優しさはきっと特別なものです。だから、私だけ特別扱いされてたら他の人が可哀想ですし」
「……」
「だから、もし私が邪魔なら遠慮なく言って欲しいです。私、ニートさんと一緒に居ると幸せだけど、それでもやっぱりニートさんに辛い思いをさせるくらいなら我慢できると思いますから」
「アンナ……。君は本当に馬鹿だね」
「ば、バカですか!?」
「ああ、大馬鹿者だ。まさかここまで鈍感だとは思わなかった」
「に、ニートさん?」
「いいかい、一度しか言わないから良く聞くんだ。私は君のことが好きだ。愛していると言ってもいいだろう」
「えっ!?」
「だから、私の気持ちを勝手に決め付けないでくれ。私は誰よりも君を愛している。この先も永遠にだ」
「……っ!?」
「わかったかい?」
「はい……っ!わかりました……っ!!」
「よし、良い子だ。さて、これで話は終わりかな?」
「あの、最後に一つ聞いても良いですか?」
「もちろん。なんなりと言いたまえ」
「じゃあ聞きますね。……キスしていいですか?」
「ああ、勿論」
「えへへっ、やった!……ちゅ!」
「……ふぅ、どうやら落ち着いたようだね」
「はい、ありがとうございます!おかげで元気出ました!」
「そうか、それなら良かった。……ところで、少し提案があるんだが」
「はい!何でしょうか?」
「その、今日は一緒のベッドで寝ないか?……その、たまには二人きりというのも悪くないだろう?」
「はいっ!喜んで!」……
「ふわぁ〜……。おはようございます、ニートさん」
「うーん、おやすみ……」
「ダメですよ!もう朝です!」
「あと五分……」
「ダメったらダーメ!」
「ふむ、仕方がないな。では、こうしようじゃないか」
「え?きゃあっ!ちょ、ちょっと!どこ触ってるんですか!」
「ふむ、相変わらず素晴らしい大きさだ」
「やめてください!離してください!」
「大丈夫だよ。優しくするから」
「そういう問題じゃないです!早く離してください!」
「ふむ、残念だが時間切れのようだ」
「あ、あれ?急に力が抜けちゃいました」
「どうやらお目覚めの時間らしいね。おはよう、ハニー」
「あ、はい……。おはよう……ございま……す」
……
「うわ〜ん!!酷いです!こんなのってないです!」
「あ、あれ?おかしいですね。涙が出てきません」
「それは良かった。君が泣いている姿なんて見たくないからね」
「もうっ!知らないっ!」……
「ふむ、やはりここが一番落ち着くね」
「そうですか?私はちょっと緊張します……」
「まあまあ、そんなに硬くならないでくれたまえ。ほら、もっとこっちへおいで」
「はい!失礼しま〜す!」
ぎゅっ!(抱きつく音)
「ふふっ、暖かいです」
「そうだね。こうして抱きしめ合うと互いの体温を感じられてとても心地よいよ」
「はい!それにニートさんの匂いがして安心できます」
「そういえば、君はいつも私の匂いを嗅いでいるよね?そんなにも好きなのかい?」
「はい!大好きです!だってニートさんの香りって私にとっては特別ですから」
「特別な香り?」
「はい!だってニートさんって私にとってのヒーローみたいな人でしょう?」
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