第5話

 ………………

「スゥー、スー、ムニャムニャ」

「これは……なかなか眠れないな。はあ、全く君は無防備すぎるよ」

「……フワァ〜、おはようございます、ニートさん!」

「やぁ、おはよう。よく眠っていたみたいだね」

「はい!とても幸せな夢を見ていました!えっと、内容は覚えていないのですけど……」

「まあ、それはしょうがないことだね。ところでアンナは今日は何をする予定だったかな?」

「えーっとですね。今日は特に予定はないんですよ!なのでまたデートに行きましょう!」

「ああ、それは構わないよ。どこに行こうか」

「うーん、そうですね……。あっ、そうだ!私、行ってみたかった場所があるんですよ!」

「ほう、それはどこなんだい?」

「はい!それはですね……」……

「えへへっ、どうですか?似合っていますか?」

「ああ、とっても可愛いよ。まるで天使のようだ」

「えへへっ、ありがとうございます!実はこの服、ニートさんのために買ってきたんですよ!」

「そうなのか?それは嬉しいね。大切に着させて貰うよ」

「えへへっ、良かったです!では早速行きましょう!」

「ああ、そうだね」……

「見て下さい!とっても綺麗な夕焼けですよ!」

「ああ、本当だ。素晴らしい景色だね」

「はい!とってもロマンチックですね!」

「ふむ、確かに。アンナはこういった風景が好きなのか?」

「そうですね。私、自然とか花とかも好きなんですけど、一番好きっていうか憧れているのはこの光景みたいなんです。だって素敵じゃないですか?愛する人と二人で同じものを見て感動を分かち合うなんて。まるで物語のワンシーンを切り取ったような気分になれますよね!」

「ふむ、なるほど。私はあまりそういったことは考えていなかったよ。ただ目の前にあるものを美しいと感じていただけだった。でも君のおかげで大切なことに気付けた気がするよ。ありがとう、アンナ」

「いえ、こちらこそ!私の方こそ感謝しています!こんな素敵な時間を過ごせたのはニートさんのおかげなんですから!」

「ははっ、それは大袈裟じゃないかな?私は何もしていないと思うけどね」

「いいえ、そんなことありません!だってあなたがいなかったら今の私はいないんですから!だから……本当にありがとうございました!」

「ははっ、そこまで言われると照れてしまうな。だけど君のその言葉には同意しよう。私もアンナがいてくれたおかげで今の生活を楽しむことが出来ている。お互い様さ」

「はいっ!これからもずっと一緒に居たいですね!」

「ふふっ、そうだね。それはとても良いことだ」

「はい!……あっ、あの!手、繋いでも良いですか?」

「ああ、もちろんだとも」……

「あーんっ!美味しいですぅ〜」

「ははっ、それは良かった」

「ニートさんも食べてみて下さいよ!はい、あ〜ん」

「えっ!?いや、流石にそれは恥ずかしいというかなんと言うか……」

「ほら、早くしないと溶けちゃいますよ?はい、あ〜ん」

「わ、わかったよ……。あ、あーん」

「どうですか?」

「うん、甘いね。とても美味しいよ」

「良かったです!はい、もう一口どうぞ!」

「ああ、ありがとう。じゃあいただくとするよ」

「うふふっ、幸せですねぇ」

「ああ、まったくだね」……

「ねえ、ニートさん。お願いがあるんだけど聞いてくれるかな?」

「ん?別に構わないけれど。何かな?」

「あのね……。お腹空いてない?」

「ああ、言われてみれば少しだけ減っているかもしれない。でもまだ夕食の時間というわけではないし、我慢出来ない程ではないよ」

「うーん、そうなんだ。じゃあ、ちょっと早いけど晩御飯にしない?」

「え?まあ、それなら大丈夫だと思うけど……」

「やったぁ!じゃあ準備してくるね!」……

「はい、出来たよ!召し上がれ!」

「これは……オムライスだね。とても美味しそうだ」

「えへへっ、そうでしょ?頑張ったんだよ!」

「そうか。ありがとう、アンナ」

「ううん、気にしないで!はい、あーん」

「えっ!?またやるのか?」

「えー、ダメなの?」

「い、いやそういうわけじゃないけど……」

「じゃあ、はい!あ〜ん」

「うっ……。あ、あーん」……

「どうかな?」

「ふむ……。とっても美味しいよ。見た目だけでなく味の方まで完璧だ。料理の才能があるんじゃないか?」

「えへへっ、そうかな?嬉しい!もっと食べさせてあげるね!」

「い、いや、もう結構だよ。十分過ぎるくらい食べたからね」

「えぇ〜、遠慮なんてしなくていいのにぃ。はい、あーん」

「……」

「ふむ、このハンバーグはとても美味しいね」

「はい!自信作なんですよ!ニートさんの為に愛情を込めて作りました!」

「そ、そうか。ありがとう。ところで君は料理が上手なんだね」

「はい!得意ですよ!ニートさんの為だったら毎日だって作ってあげます!」

「ふむ、それは楽しみだ。是非とも頼むよ」

「任せて下さい!」

「ふふっ、頼もしいな。では今度は私が食べさせてあげよう。はい、あ〜ん」

「あーんっ!美味しい!ありがとうございます!」

「それは良かったよ。はい、あーん」

「あーんっ!はい、あーんっ!」

「ははっ、君もなかなか強情だね。わかったよ、はい、あーん」

「はい!ありがとうございました!」

「よし、これでお互い様だね。では次は私の番だ。はい、あ〜ん」

「はいっ!いただきます!」

「どうだい?」

「うん!すっごく美味しい!やっぱりニートさんのご飯が一番好きだなぁ」

「ふふっ、それは光栄だね。はい、あーん」

「はい!あーんっ!」

「ふぅ、ごちそうさま。とても満足したよ。ありがとう、アンナ」

「いえ、こちらこそです!ニートさんのおかげでいつもより美味しく感じられました!」

「そう言ってもらえると私も嬉しいよ。さて、食後のお茶を飲んだら風呂に入るとしようかな」

「あっ!それなら一緒に入りませんか?」

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