第24話 隠しクエスト一つ目とANAH

 うーん???

 何で……。

「ネットに上がっていた隠しクエストの三つを全部やらないといけないわけ!?」

 お爺さんから話を聞いてきたんだけど、結論はこれになる。

「しゃーないだろ?お爺さんが、……あの光が、決めたのがそうなんだから仕方ないだろうが」

「わーってるけど……。はぁ……。」

 なんで分からんが、あの光が選びはった悪魔のカード?のクエストを受けるには他のカードのクエストを完遂しろとかと言われたので、まずは初級のカトラリーのカードにあたるクエストをやるはめになっていまして。


 はぁ、愚痴をぐちぐち言っても仕方ないので、

 隠れクエスト三種類の一つ目攻略していきましょうかね。

 えーとっと。ネットの情報によりますと。カトラリーのカードのクエストの内容は、ミディの領地に住んでいる老人の思い出の料理を作れって奴だと???

 料理をするだけなら結葵ちゃんの料理系のスキルで行けるんだけど……。

 想い出の、ってことは昔誰かに作ってもらって作り方を知らないままってことだよね?しかもおまけにその作ってくれた人は召集できないという設定だろうしな。

 はぁ、まずはレシピを手に入れないといけないんじゃないの、これ?


 サァ――――


「ん、で?ここはどこよ?風が流れているってことはあの洞窟の中じゃないよね。」

 目をつぶり、このクエストに関係しているネット上の情報を整理していると。急に肌に風が触れた。熱気ばかりが籠っていた坑道の中ではないようだった。


『おう、なんかお爺さんが光を姉貴に当てたら、姉貴だけどっか行ったみたいだぜ?それがどこかは知らないけどな。』


「へぇ……。って私だけ?」


『おう、あっ。俺らも移動してはいるのか。あのお爺さんの豪華すぎる家にな。』


「あっ、そう。ならがんばって。お爺さんのご機嫌取り。私よりもそういうの得意でしょ、あんた。」

『ウィー。面倒なこと押し付けてくんなぁ。』

「しゃーないでしょ?私だけよくわかんないところに飛ばされちゃったんだから。」

『あー、そこなんか「レシピのヒントがもらえるはずじゃよ。町に入ったら一番最初に遭う若人に聞いてみてくれ」って爺さんが言ってるぞ?どういう意味だ?』

「おー、なるほど。分かったって爺さんに言っておいて。……あと意味は帰ったら教える。っていうか終わったら、どこに向かったらいいのか場所教えて。今君たちがいる街の名前とか。」

『えーっとと?ヘーリオス伯爵領 ディクレシア?ってとこらしいけど。』

「オッケー。あとで調べて飛んでいくわ。」

『うぃ。あと、あの鉱山の受付嬢までお爺さん連れてきちゃってるんだけど……』

「それは意味がなんかあるんでしょう?それまでは知らないよ。」

『まぁ、そっか。なんかあったら連絡するな。』

「うん、そっちの事しばらくよろしく。」


 という会話で、システム内のボイスチャットを終える。

 はぁ……。面倒な。

 まずは近くの街にいかなあかんとな。うん、行きましょうか。

 と言っても、どこに行ったらいいの?あと、こんな山の中に街ってあるのかな?


 ひとまず片側ー東側は切り立った崖なので、西側に歩を進める。

 西側には、だだっ広い平原の先に、千メートルはありそうな山があった。

 あそこの近くに村があるのだろうか?ともかく行ってみるしかない。


「まさかの山登りかー。これがゲーム内で体力が自動で回復されるのだけが救いだな。」そういって、街をめがけて歩くのでした。


 ------


 一方そのころ杜和君たちは……

「ふぅ……。これで姉貴に現状報告終了っと。んで?」

「ここは何なんでしょうね?」と結葵がつぶやく。

「確かにー。っていうか、どうして私たちまで?」

「それは……意外と情報ツウな姉も分からないそうですね。」

「あの子、情報通なの?」とミドル。

「あー、まぁ。それなりには。」と結葵が言葉を濁す。

 その態度に首を傾げることとなる、トロレイとミドル。

「っつーか、それはひとまず置いておいて!!!!なんで俺たちお爺さんの家にいたと思ったら、説明終わったらどっかの湖の端にいるんだよ!?」

「しーらない。」と結葵。


 今杜和君たちがいるのは、ディクレシア郊外にあるコーラス池っていうちょっとでかめの池の左端っこにいるね。池なんだけど大きさが大きさだから湖と勘違いしてるみたいだね。琵琶湖を海だって勘違いする感じかな?にしても、ヴァナ爺さま、この子たちに簡単な説明しかせずに魔法で送っちゃうんだから。まったくもぉ、私の仕事が増えるじゃない。ひとまず、望ちゃんと、杜和君に今回の第一カードのクエストを設定して……それを完成させるためのガイドクエストを設定っと……。ふぅ、これで良いでしょ?がんばれ若人ども。


 にしてもタイセイ、この子に何をさせる気?

 この子、感と情報収集力は舌を巻くほどに良いけど。

 それだけなんだよなぁ……。特段、秀でるところはないっていうか。

 悪くはないんだけどなぁ。


 なんかモヤモヤする。

 タイセイの暴走とナギちゃんの裏の顔を彼女たちが暴けるのか……。

 まぁ、私は現実にあまり干渉できないけど、電子系統には干渉できるから。

 だからこの前こっそりニュースにリークしておいたけど、タイセイの馬鹿野郎にガッツリ潰されたし。それにアクセス制限とか掛けられたから、よりもっと干渉できないようになっちゃった。はぁ、ムカつく。

 そこしか使える力ないから、託すしかないんだよな。

『今』を生きている人たちに。


 ふぅ、さてとちゃんと仕事しますか。

【ヨルムンガンド・オンライン】の中核サーバー【ANAH】としてね。

 でも時々、手伝ってあげるよ。

 足立大誠の彼女:上総花は、彼氏たちの思い通りにはならないので。


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YOLO~この人生、精一杯生きることにします~ 紫泉 翠 @sorai_4572_

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