第20話 古代龍の起こし方

 うーんと、これはどっからどう見ても龍だよな。

 んで、どうやったらそっから奥に入ることが出来るのか。これが謎。

 何故かバリアが貼ってあるらしい……。

 困った……。人を呼んでもいいんだけど……。

 多分場所分からないし、もしかしたら私たちしか入れないし、出れないし……。


 はぁ........。こうなるんだったら大人しくコード達に付いて行った方が良かったのかな……。でも、彼らはこれについては気づいてなかったみたいだし。私たちだけが見えてたわけ?


 もう嫌や……。一旦今までのこと整理しようか。


 ----


「着いたよー。」と講義がちょうど終わり少し気疲れしているようにも思われるコードが窓を開けてそういった。


 窓からは行きかう魔導車と私が乗っているのと同じような街内に張り巡らせている鉄橋の上を走っている列車。そして橋の下には繁盛している市場などが見える。

 そして、この街の一大の特徴が街中煙だらけ……。

 近くでは、巨大な歯車が動いて何やら量産していた。

 即ち大の工場地帯でした……。

 これは仕方ない……。だってここは……。


「ということはここが……。」

「ピオーニア星での最大国家である中央国家ピオーニアだよ!」とリュイさんが脇から出てきた。

「のわっ!?リュイさん?ビックリしたー。」

「ははは、ごめんごめん驚かせて。」

「そういえば、リュイ。これからあいつに挨拶しないといけないんだろ?」

「あーそうだったな。でも、あそこは危ないしなぁ……。」

「うん、そうだね。えっと、ごめんだけど。」

「了解です。宿とかももう決まってるんですかね?」

「いいや。まだ特には。」

「なら、気にせずに、観光楽しんでから宿を探しますね。」

「うん、了解。」


 ということで、コードとリュイさんとは一旦そこで別れたんだよね。

 んで、問題はそこからだな。

「ねぇ、あれは何だろうね。」

「あの揺らぎか?」

「気になりますね。他の人は気が付かないのでしょうか?」

「どうなんだろうね。」


 はぁ........。

 ひとまず、あの二人はあれには気が付いていないらしい。

「つまりは、マグルと魔法使いの違いか。」

「「ああ、ハリーポッターの9と3/4番線みたいな奴な。(ですね。)」」と見事に二人がはもる。そして同時にハッとなる。ほんとに仲が良い事で........。

「そんな感じだろうね。」


 かの有名なハリーポッターシリーズでホグワーツ魔法学校に行く際に必ずと言っていいほど登場する場所、ロンドン キングスクロス駅 9と3/4番線。

 魔法学校生や魔法使いしか通れないらしい9番線と10番線の間の壁を越えてホームに入る。そこには魔法学校行きの列車が待ち構えているという図だが。


 つまり、そのホームの間にある壁に私たちが見えている揺らぎはあのEFOキャラの二人には見えてなかったらしい。あのままどこかに潜んでいる感じもなく目的の場所に行ったらしい。


「そんで、これは私たちは通れる……のか?」そう思いその揺らぎが感じられる場所を押してみたら........。

「うわっ!?」盛大に壁の中側に向かって体勢を崩しました。

 そしてそのまま、二人に連行されて中に入ったのは良いんだけど……。

 そこから出られないし‼ハリポタだったら出れただろ!?

 どうなっとんねん……。

 一先ず、これはどうしろということ?

 後ろは壁、目の前階段……。

 とりあえず階段上るか。ということで、階段を上ってきたんだけど……。


 龍の置物がある……だけ。これは何でしょうか?

 まぁ、スルーしてもいいよね?

 そう思って素通りで先に行こうとしたら........。


 バシッ


「いって!?」少し先を進んでいた杜和が額を押さえて行こうとしていた先を睨んだ。

「なんだよ?」そう言いつつ手を先に伸ばそうとする杜和だが、見えない壁にでも遮られようにある一定の所よりも奥には進めない。

 私と結葵ちゃんもやってみたが無理だった。


「となると……このオブジェが鍵?」

 先ほどスルーしようとしていた龍の置物に視線を向けた。


 ----


 ということで、今でございます。

 んで、問題はどうやったらバリアが消えるのか。

 龍がこの鍵だというのは分かったんだけど……。どうしたらいいのかな?

 杜和と結葵ちゃんに頼んで龍を調査してもらってるけど、今のところ特に手掛かり無し。


 にしても、龍かー。

 この前の未知モン事件のラスボスも龍だったじゃん。なんで?私もしかして龍に呪われている?

 あの、ボスたちは蛇に亀に象と龍だよね?うーん。繋がりそうでいまいち繋がらない……。

 まぁ、おいておこう。


 それにしても、どうしようね?

 まぁ、私も少し調べて見ますか。

 ということで、置物に触れてみたんだけど……。


「いや、これ何よ?」

 急に目の前にポップアップ画面が出てくるとかある?しかも、目当てのイベントのヤツってさ笑

 えっと、どれどれ?


魔導書グリモワールクエスト

 サブクエスト①

 龍族ドラゴニアンの生き残りにして、賢者:グローリーの末弟子の子孫でこのクエストの案内人:ルカを目覚めさせて、クエストの舞台を出現させましょう。】


 ……。

 はぁ……。

 お目当てのクエストに無事到着。

 にしても、龍族か……。


 初期アイテムでのみ引くことが可能なレアアイテムとして、【種族:上位龍族】というのがある。これは本当にレアで今まで引き当てた人の話は聞いたことがない。

 にしても、龍でルカか……。エンシェント・フェアリー・ドラゴン……。それは遊戯王か。でも関係あるのかな?


 それと似たように角を持つ種族が存在する。それが、【種族:魔族】というもの。彼らは、東方大深林(=パズディーナ大森林)の向こうにある、魔神ナイアールを祀る魔族の国:【ディグレート帝国】で暮らしている。豊かな資源を有するパズディーナ大森林を巡って、しばし争いが起こっているとかいないとか。


 またまた横道いってるね。まったくも私ったらうっかりさんだよね?

 といっても、どうやってそのルカさんとやらを起こせと?


 にしてもなぁ……。

 さっきから脳内で見たこともない魔方陣の書き方と、それに対応しているのであろう呪文が反芻されてるんだけど……。

 今まで見たことなかったからもしかしてこのスキルの影響か?


【SA-古代魔術知識】失われた古代魔術を使用することができる。


 このクエスト用のものだったわけ?

 分からないけど、ひとまず仰せのままにしてみるか……。


 えーと、龍の近くに魔方陣を設置して……。

 真ん中には星を二つ、その右に太陽と左に三日月……。

 それをぐるっと囲んで、間に王道十二宮の記号をっと。


「よし、魔方陣完成!」

「なんで、魔方陣を?」杜和が不信そう。まぁ、そうか。

「知らない。」と冷たくあしらう。と言っても事実私も詳しくは分からない。

「なんでだよ。」剣を出すな剣を……。しまえ。

「まぁまぁ、杜和君……。」結葵ちゃんナイスアシスト。


 まぁ、ひとまず、クエスト情報を共有しておいて、魔方陣の真ん中に立って、この長ったらしすぎる呪文を唱えますか。

「それじゃあ、もしなんかあったらお願いね。」

「おう。」「はい!任せてください!杜和君は引きずってでも出ますから!」

 頼りになるね。

「おい!なんでだよ?」「うるさい。今すぐ殴ろうか?」「すみませんでした。」

 結葵ちゃんが少し殺気出したからって、直ぐしょげるんかいwww


【星は夜の灯火となり、太陽は全てに愛を与え、周りを焼き尽くす。月は静けさを生み出す。十二の光の矢は全てを無に帰せ破魔の印ディスペル


 呪文の最中閉じていた眼をそっと開ける。

 龍の置物の後ろにあったバリアが鏡が割れるかのようにひびが入り砕け散った。

 後ろには漆黒の闇が広がっていて........。


 だけど、どことなく緑の色が視界に入ってきているような……。

 その元を探ると……。

「まじか…。」

「可愛い!」

「ホントに起こせた……。」


 先ほどまで置物が置いてあった場所に一人の少女が立っていた。

 どうも、置物にかかっていた魔法まで解いてしまったようだ……。

 というかそうしないといけないんだけど……。

 一発で行くとは思わなった……。


【古代魔法:破魔の印ディスペル

 効果:人であれ、物であれ、対象にかけられている全ての魔法を解呪する。

 固定目標値の有るものはそれが目標値となるが、魔法や特殊攻撃(魔法属性)による一時的な能力変化に関しては、その魔法をかけたときの魔法強度が目標値となる点に注意。1つに複数の魔法がかけられていた場合は、それらの内で達成値が目標値以上に達したものだけが選択され、解呪される。なお、魔法が要因であっても毒・麻痺・睡眠には効果が無い。


 本当の呪文は滅茶苦茶長いらしいが、魔方陣で結構短縮した。

 にしても……。

 置物だった人、滅茶苦茶美人だな!?

 黒髪に薄紫の眸に、赤の着物?に水色の羽織?それに頭には少し捻じ曲がった角が2本……。ホントに龍族だわ。


「えっと、貴方がルカさんでいいんですよね?」

「はい。」

「なら、なんでクエストクリアにならないのだ……。」

「ああ、それは私が扉を開けてないのと、報酬をまだお渡ししていないからですね。」

「なるほど……。して、扉とは?」

「ふふふ、お任せください。ということで少し失礼して……。」

 そういわれたとたん手が伸びて後ろに少し飛ばされた。

「何を⁉」彼女に食って掛かろうとしている杜和をどうにか止めて……。

 その隙にルカは、私が書いていた魔方陣の中心に懐から出した鍵を突き付けた。


 そのとたん床が落ちた。そしてそのまま落下した。


 その先は暗闇ではあったが、私たちに不安はなかった。なぜか知らないが懐かしいと感じたのだ。

 ルカが魔法でも使ったのか、フワフワとゆっくりした速度で下の階まで下りた。


 パチンッ!!!!


 指を打つ音が聞こえたとたん、周りにあった柱に炎が付いた。

 そして、ルカは私に対して、水晶を差し出した。

「これは?」

「この水晶は元は弟のものなのですが、今は私が持っているものです。そして今回の報酬です。」

 それを受け取ったとたん、また画面が現れた。


【Quest Clear 古代龍の案内人を起こそう


  戦利品:


 【龍の水晶】未知モンスターのラスボス龍が持っていた物であり、ルカがくれたサブクエ①の報酬・良く分からない奴(伝承クエのヒント?)


 】


 どうも、ほかにもクエストがあるらしいが、無事にクエスト攻略の一歩目を勧めたらしい。

 この、地下鉄風のダンジョンで魔導書を巡る冒険が幕を開ける。

 そこには各々の隠していた過去や気持ちがホントのカギになって来る。

 そして、ルカと他の案内人は何を表しているのか。



 まだ誰も知らない。

 知っているのは、ワタシだけだろう。そしてワタシが何を目論んでいるのか、それはまだ知られるわけにいかない。

 なんだけど、望ちゃん、感良い過ぎて少し注意しとかないといけないかな?

 何となく、たいせいに似てるかも。


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