幕間 リオンと訓練とスペステ攻略2
アルス視点
スペシャルステージを一度出てから、リオンとパーティーリーダーを交代した。
さっきポイズンパピヨンを倒した時の宝箱は銀箱で、マジックハイポーションが2本入っていた。
再度スペシャルステージに入り直して、ボス部屋まで行くと、先程と同じ様に黒い霧が渦になってポイズンパピヨンが現れた。
「おっ、これはパーティーリーダーを交代すれば宝箱は人数分、手に入りますね」
この結果に満足しながら、リオンは先程と同じようにポイズンパピヨンに挑発を掛けに行く。
リオンがポイズンパピヨンの隙を作ったら、すかさずフレアバーストを放つ。
2回目のフレアバーストが当たったら、ポイズンパピヨンは光の粒子となって消えていった。
そして、またしても銀箱だった。リオンが言うには、ここでも金箱の可能性があるので、これは少し残念な結果なのだそうだ。
ただ、銀箱でもレベルの高いオーブか、闇魔法か回復魔法のオーブだったら持ってないので大当たりだと言っていた。
残念ながら、今回は麻痺耐性の腕輪だったけれど。
ただ、今回の宝箱は全部僕にくれるようだ。すぐさまお礼を言ったが、良い物が出たらリオンに渡そうと思う。
少しの休憩後、リオンがパーティーリーダーのまま、次の階層へ向かう事になった。
検証としては、パーティーリーダー以外に初クリアしていないメンバーがいた場合にどうなるか知りたいようだ。
なので、先にリオンをパーティーリーダーとして、クリアを目指すそうだ。
このままデビルゴブリンと戦うので、リオンは一旦見学に回って貰う。
もし状況が悪くなったら、リオンに入って貰って態勢を立て直す時間を稼いで貰う事になった。
とりあえず、僕の持っている武器で一番強いフランネージュを使う。
フランネージュは中級ダンジョンの金箱から出た剣で、パーティー共有の武器なのだけど、僕が一番パーティーに貢献しているからと、強い武器を優先してくれている。
このフランネージュをリオンに見せたら、強くてすごく驚いていた。何しろ攻撃力をプラス85もしてくれるからね。リオンが持っている武器の中でもここまで攻撃力が高いものは持っていないそうだ。
武器を変えてから、2階層のボス部屋に突入すると、黒い霧の渦からデビルゴブリンが現れた。
身体強化は使い続けると魔力消費が激しいので、攻撃と防御の瞬間に使うのが基本だ。
今回、最初アーツは使わないで戦うので、まずは走ってデビルゴブリンに斬りかかる。
遠くから魔法を使うと先制攻撃が通るけど、今回は戦闘経験を積む為に、まずは正面から攻撃だ。
流石に真正面からでは、最初の斬りつけは盾で防がれてしまった。
短剣に気を付けて、移動しながらの攻防が続いた。
少ししてから、短剣の軌道が読めてきたので、避けてから手元の辺りを斬り、再度距離を取るという一連の流れを繰り返してダメージを与えて行った。
これは中級ダンジョンのボスとして出てきたデスナイトと同じ戦い方だ。
あの時はパーティーで戦ったけれど、僕が正面から接近戦で相手の剣を抑えつつ、隙が出来れば攻撃して、他の2人は後方から魔法攻撃、もう1人はデスナイトの側面か後ろから接近攻撃で上手く倒していた。
今はパーティーメンバーはいないけれど、このデビルゴブリンはデスナイトより少しだけ弱いような気がする。
その分、1人でも何とか出来る感じだ。
同じようにして短剣を避け、斬りつけてから距離を取るために数歩下がった時に、突然デビルゴブリンが光の粒子となって消えた。
その後ろには、リオンがデビルゴブリンに短剣で突き刺したような感じで立っていた。
「もしかして最後のはリオンが攻撃したの?」
「そうです。もうここで特訓する必要はないと思ったので、トドメを刺しました。アル兄、ステータス以上に強くなりましたね」
また、うれしい事を言ってくれる。
やっぱり僕は、リオンに褒められるのが一番うれしいみたいだ。
それから、3階層のボス、ソリッドゴーレムもあっという間に倒して、リオンがパーティーリーダーの検証は終わった。
結果、僕の方で何も起こらなかったので、パーティーリーダーを変えて、再度クリアを目指すことになった。
ちなみに今のところ全部銀箱だ。
リオンが手と膝を地面につけて悔しそうにしていた。
何でも最後の階層は金箱率が結構高くて、2回に1回ぐらいの確率で出てたらしい。
何だかリオンの悔しがる姿を初めて見た気がしたので、ちょっと驚いてしまった。
次に行く前に少し休憩するそうだ。
「アル兄、次のデビルゴブリンはすぐに倒したいので、僕が盾と短剣で動きを止めますので、後ろから斬りまくって下さい。恐らくすぐに倒せるはずです」
「えっと、他の武器の特訓はしなくてもいいかな?」
剣以外にも槍もあるし、他の武器はリオンが持ってるからそれらの特訓も出来るけど、いいのかな。
「結局の所、強い敵には一番慣れた武器で戦うと思うので、その他の武器はダンジョン周回で使うぐらいでいいと思うんですよね」
なるほど。確かにデスナイトに槍で戦おうとしたら勝手が違うから、攻撃頻度が下がる気がする。
「それに、アル兄はデビルゴブリンよりも強い相手と戦った事がありますよね?デビルゴブリンの短剣を途中から綺麗に避けつつ反撃の動きは慣れた感じに見えました」
リオンは本当にすごいな。そんな事も見て分かるなんて。
「そうだね。中級ダンジョンのボスの中にはデビルゴブリンに似た動きをする魔物もいたね。装備は違ったし盾は持ってなかったけど、剣の軌道っていうのかな、動かし方とかはよく似ていたから、すぐに対応できたよ」
「なるほど、短剣よりもリーチが長くて動きが似ていれば、デビルゴブリンが盾を持ってても対応は簡単という訳ですね」
結局、他の武器の特訓はダンジョン周回の魔力がなくなった時にやる事にして、今回は二人で残りのデビルゴブリンとソリッドゴーレムを倒すことになった。
そして、またもあっという間にデビルゴブリンとソリッドゴーレムを倒して、しかも今度は両方とも金箱だったのだ。
リオンはすっごく喜んでおり、さっきの悔しがっていたのと合わせて、2年前よりも子供っぽく見えるのは気のせいなのだろうか。
宝箱の中身を見た後もリオンは喜びに満ち溢れていた。デビルゴブリンの時はエクスポーションだったので、スペステの金箱で一番出るらしく、ここまでは落ち着いていた。
しかし、最後のソリッドゴーレムを倒した宝箱の方が、リオンも持っていないのと効果が凄かったから、喜びが溢れたようだ。
リオンがある程度、落ち着いてから詳しい鑑定結果を聞いた。
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アクセサリー名称:幻想の首飾り
状態:高品質
価値:Bランク
特殊効果:魔力回復効果が上昇する。
詳細:魔力の回復が多くなる首飾り。耐久力+25、抵抗力+25
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リオンがダンジョン攻略ノートとは別のノートに今回の宝箱の情報を書いて教えてくれる。
そして、そのまま検証をし始めた。
この幻想の首飾りは神秘の指輪と同じタイプで、装備していると魔力の回復量が増えるようだ。
そして、その回復量は神秘の指輪の2倍、マジックポーションで確認したら、通常よりも10%も増えている事が分かった。
しかも、神秘の指輪と両方装備すると15%も回復量が増えたのだ。
これには僕もリオンと一緒に喜んでしまった。
そして、もう一つの検証の方は残念だったのだが、金箱の前に確認し終わってたので、順番的には良かったと思う。
金箱のおかげで、リオンはもう検証結果の残念な気持ちはどこかへ行ったようだ。
僕がパーティーリーダーとして、スペシャルステージをクリアすると、リオンに教えて貰ったメッセージが出てきた。
だけど、初回クリア報酬のアーティファクトの獲得と魔力結晶の獲得の右側にクリア済みとなっていて、ソリッドゴーレムを倒した後には魔石があり、宝箱の近くにはアーティファクト保管庫の小さな黒い箱は見当たらなかった。
称号だけでも手に入って良かった。ステータスが少し増えたからね。
それから、幻想の首飾りと神秘の指輪、怒りの杖を装備して、通常のダンジョン周回を再開した。
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