幕間 リオンと訓練とスペステ攻略1
アルス視点
トマドイの指輪を手に入れた後は、称号の【常勝】を獲得する為に、戸惑いの森ダンジョンを周回することになった。
スペシャルステージを攻略するのは、明日の朝からにするそうだ。
ボス3連戦だから、準備してから挑むんだよね。特に魔力が少ない状態でデビルゴブリンと戦うのは危ないと思う。
1年近く前とはいえ、リオンが負けた相手だから、油断は禁物だ。ダンジョンでは何が起こるか分からないから、気を付けるようにするのは、学校でも厳しく言われる事だ。
魔力がなくなるまで、周回は行われた。
今はボス部屋で少し休憩している。
「アル兄、魔力が少し回復したのなら、次は簡単にステータスアップしましょう」
リオンがまた、とんでもない事を言い出した。
簡単にステータスが上がるのなら誰だってやっていると思うんだけど。
「じゃじゃーん、これらを使ってちょっとずつ強くなって下さい」
「それって、もしかしてオーブ?」
オーブと同じ形だけど、色が全然違う。いつもは水色だけど、これは黄色と赤色だ。黄色の方はちょっと薄い感じになっている。
「そうです。僕の持っているレベル1よりも高いオーブは4つあるんですけど、鎌術レベル3と槌術レベル3、棒術レベル6があるので、これを使えばステータスが合計25も上がります。あと1つは剣術なので使えないのは残念ですが、それでもすごいですよね」
そういえば、オーブにレベルがあるのがダンジョン攻略ノートに書いてあった気がする。
あまりに情報が多かったから、ちょっと忘れてたけど。
「それって棒術レベル6のオーブ使うと、棒術のスキルレベル6までを一気に獲得できるって事だよね?」
「そうです。ただし、そこからレベルを上げる時は、スキルの熟練度上げに書いてあったレベルの低いアーツも回数分使わないと上げられないので注意して下さい」
詳しく聞いてみると、今回の棒術レベル6で覚えれるアーツは3つあり、<打>、<払>、<突>をそれぞれ100回、200回、350回使わないとレベル7にはならないみたいだ。
リオンは本当に色々な事を知っているな。
そして、3つのスキルを覚えたら、今度はステータスは上がらないけど、スキルだけでも覚える為にオーブをいくつか取り出して、新しいスキルを覚えていった。
スキルを覚える為に、新しい武器をマジックバッグから出してくれたのだが、本当にたくさんの種類の武器を持っている。
どうやら、武器職人のホストンさんに色々作って貰ったようだ。
その中でも、細剣と弓矢は今までにオーブが手に入らなかったので、袋の中に入れっぱなしになっているらしい。
アーツの知らない武器でスキルを獲得するのは、かなり鍛錬しないといけないらしく、オーブが手に入るかもしれないからと、ずっとそのままにしていたそうだ。
それでも、スキルの効果でレベルが上がれば上手く武器を扱えるようになるけど、剣術みたいに努力した方が武器の扱いに差が出るとリオンは言っていた。
「どんなにオーブがすごくても、努力して手に入れた力の方が圧倒的に強いですよ」
この言葉でリオンの手紙の事を思い出した。
努力は人を裏切らない。
リオンがいうと重みが違う。
本当に努力しているリオンの言葉だから、信じて努力しようと思えるし、これまでの努力が身になり強くなったと思っている。
「リオンのいう通り、本当に努力する事は大切だよね」
だから、僕はこれからもリオンに負けないように努力しようと思う。
これからも努力しようと思っていると、リオンから「マニュアルに書こうとした情報なのですが」と話始めたのだが、簡単にまとめると、
リオンはアーツだけを使ってスキルレベルは10まで上げられるが、やはり武器の扱いについてはスキルの範囲を出ないとのことだ。
それは昔からやっている剣の稽古をしていた剣術と、アーツだけでスキル上げた槍術などと比べると明らかに違うらしい。
デビルゴブリンと戦ってみると良く分かるそうだ。
デビルゴブリンに対して、槍は最初戦いやすいと思っていたそうだが、剣術と比べると攻撃頻度が少し落ちるそうだ。実際に槍はデビルゴブリンに有利らしいが、それ以上に剣術が慣れている為、少しの隙でも剣なら斬りかかれるみたいだ。
アーツなしでデビルゴブリンを相手にすると、特に分かると言っていた。
なので、明日は僕も、最初はアーツなしの剣で戦いを挑むことにした。
それから、訓練方法は魔力がなくなった後のダンジョン周回で、アーツなしで周回するのがいいそうだ。
リオンはそうやって、得意な武器を増やしていったらしい。
特に鎌は特殊で、かなり使い込んだらしく、デビルゴブリンにアーツなしで挑んだ場合、どの武器よりも速く倒せるようになったらしい。
鎌は学校でも使っている人はいないかったし、冒険者でも使っている人は、ほとんどいないと聞いた事がある。
それを独自で剣術よりも使えるようにしたのは、やはり努力のなせる技なんだと思い、改めてリオンのすごさを思い知った。
休憩も終わり、ダンジョン周回を再開して、今話していたアーツ無しで周回を始めた。
ある程度回ると、魔力が少し回復していた為、今度はフレアバーストで周回していく。
魔力がなくなった為、ダンジョン周回は終了した。
帰る前に、リオンにレベル9の魔法を見せて貰ったが、圧倒的なまでの威力と範囲だった。
これは確かにダンジョンの外では使いにくいかもしれないが、ダンジョンの特に上級では使える魔法だった。
上級ダンジョンでは、偶にモンスタールームと呼ばれる大量のモンスターが発生する特殊な空間へ転移する罠があるのだが、そこで今見せて貰った魔法を使えば一網打尽に出来るだろう。
思念発動だけに注目していたが、レベルの高い魔法はやっぱり強いんだなと思い、すごくやる気が出てきた。
それから、家に戻り家族と今日の出来事を話しながら、ゆっくりとした時間を過ごした。
そして、次の日の朝食後から、スペシャルステージに挑戦する為、戸惑いの森ダンジョンに来ていた。
「リオン、今日はスペシャルステージを攻略していくけど、何か検証するんだよね?」
「そうですね。僕も先月の末にスペステの挑戦権が復活したのですが、この日の為に攻略を保留にしていたので、2人じゃないと出来ない検証をしたいです」
どうやら、指輪を付けた者同士じゃなければ、スペシャルステージにはパーティーでも入れないようだ。
しかも、このトマドイの指輪は、手に入れた本人しか装備できない為、検証が今日まで出来なかったとの事。
まずは1階層をクリアしてから、パーティーリーダーを交代して、入ったらどうなるか知りたいらしい。
「それじゃあ、まずは僕がパーティーリーダーになってるから、そのまま入ろうか」
「はい。ポイズンパピヨンは僕が注意を引くので、隙が出来たらフレアバーストをお願いします」
リオンの言葉に頷いてから、ダンジョンの転移陣に向かう。
トマドイの指輪をはめて、2人で転移陣の上に乗り、起動すると指輪と転移陣が光出した。
そして、転移した先はダンジョンのボス部屋の前のセーフティーゾーンと同じような部屋だ。
2人でボス部屋に突入すると、昨日リオンがちょっと興奮して話していた黒い渦になって登場するシーンが見れた。
「リオンが言ってた通り、確かにちょっとかっこいい現れ方だね」
リオンがうれしそうに、
「ですよね」
と、笑顔で答えてくれる。
どうやら、この演出が気に入っているみたいだね。
でも、ボス部屋から出たら、ボスが全回復するって話だったから覚えておこう。
ポイズンパピヨンが現れたので、リオンが走って一気に距離を詰めていく。
リオンは武器を持たずに盾のみ持って、ポイズンパピヨンの真下まで行って、盾術の<挑発>を使い、注意を引いた。教えて貰ったタゲ取りだ。
ポイズンパピヨンがリオンから少し離れてから、少し光出し、その後に風魔法を放った。
その隙を突くように、<身体強化>をしながら、<フレアバースト>を放った。
フレアバーストはポイズンパピヨンに直撃し、爆発を起こした。
フレアバーストが直撃すると、ポイズンパピヨンのターゲットが僕になるが、距離を確認しながら、リオンが挑発スキルでタゲを取ろうとしていた。おそらく検証しているのだろう。
再度、ポイズンパピヨンがリオンの方に風魔法を放つ隙をついて、フレアバーストを放ち直撃後、爆発と同時に光の粒子になってポイズンパピヨンは消えた。
「あれっ、2発でおわっちゃった?」
「そのようですね。こいつは回避性能はそこそこですけど、そこまで強くないので2人だったら楽勝ですよ」
そうかもしれないけど、もしかして昨日ゴブリンキングにフレアバーストを何発も撃ってたのは多すぎたのかな。
「リオン、昨日のゴブリンキングにフレアバーストを何発か撃ってたけど、あれって無駄だったかな?」
「無駄じゃないですよ。僕もよくやるんですけど、スキル上げの為にわざと多く使うんですよね。最初は外れてもいいように使ってましたが、魔法レベルの最後の方は範囲も広いのが多いので、スキル上げの為だけに使ってましたね。高レベルの魔法って、使える場所が結構限られるんです」
リオンは知ってたみたいだ。
しかも、わざとレベル上げる為だけに使ってるのか。そういえば、昨日も最後は魔力がなくなるまでの数回をボス部屋で使ったっけ。
「それじゃあ、魔石と宝箱を回収してから、パーティーリーダーを交代して入り直しましょう」
リオンのいう通りに、魔石と宝箱を回収してからスペシャルステージを一度出る事になった。
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