情報規制2
何、ダンジョン内資源回収禁止リストって!?
もしかして、ダンジョン内の物で拾ってきたらダメな物でもあったのか!?とりあえず話を聞いてみよう。
「この中に書かれているダンジョン内の資源を勝手に持ち帰ると罰則が与えられるんだ。これは色々と理由があるんだけど、話せる範囲だと王国内の貴族様が管理していて収益を独占しているんだ。販売ルートや取引先、加工先、資源の値段などがもう決まっているからね、それ以外で売買すると罪に問われるから気をつけてね」
「なるほど、そういう感じのあれですか」
貴族が利益を独占するタイプのあれか。よくありがちな話だな。まあ、俺の場合は小説で読んだ話だけど、実際にあるんだな。
「うーん、何だかリオン君が思っているのとは違うような気がするな。もしかして貴族様が利益を得る為だけにやっていると思ったのかな?」
「えっ、違うんですか?」
てっきり、自分達の利益だけを考えていると思ってたけど違うのか。
「ごめんね。話せる範囲が少なくて説明不足になってるね。ちょっとまだ言えない部分があるんだけど、貴族様はすごくお金のかかる実験をしているんだ。そして実験で成功した物を販売しているんだけど、それは領民の生活をよくする為の事だったり、領地の為の事が多く、その為に莫大なお金を使って頑張っている訳だ。簡単にいうと高く仕入れて領民に安く売っているんだよ。それは昔から続いていて、そんな事してたらいくら貴族様でもあっという間に破綻してしまい、没落してしまうんだ。それを防ぐ為の救済措置で、ダンジョン内の一部の資源が持ち出し禁止になったと言われているんだ」
「えっと、つまり領民の為にすごくお金を使ってるから、少しでもお金を回収する為にダンジョンの資源を融通して貰っているという事ですか?」
思ってたのと、全然違ったかもしれないな。
貴族が利益を独占するんじゃなくて、領民の為に莫大なお金を使ってるから、少しでも負担を減らす為にしてる感がすごく強い。
何かいい貴族が多いのかもしれないな。
「それじゃあ、禁止リストにされている資源の一部を教えよう。これは学校で最初に教える事なんだけど、ガグの木は知ってるかな?」
ガグの木だって!?木剣や机、椅子などの木製品に使われているとても丈夫な木だったはずだ。
まさか、あの木はダンジョン産の木で勝手に取ると罪になるのか!?
「ガグの木から作られた木剣とか机が家にあります。そのガグの木ですよね?」
「よく知ってたね。これも教えていいか迷う内容だと思うんだけど……。そういえば、リオン君の職業は鑑定士だったね。それで知ったのかな?」
なっ、鑑定士ってバレてるぞ。って、そういえば、ギルドカード作る時の紙に職業書いたな。
そうか、あの時、エミリーさんが驚いていたのは俺が字を速く書けるだけじゃなくて、職業が鑑定士だったのにも、追加で驚いていたんだな。
「そうです。詳しくは言えないですが、鑑定というスキルで物の詳細が分かるようになります。それよりも、ギルドマスターは鑑定士という職業を知っているのですか?お父様も知らなかったのですが」
エクストラスキルの事を話していいか分からないからな。ステータスプレートを見せない限り詳しくは分からないはずだ。
それよりも、鑑定士を知っている風に聞こえたんだよな。
「鑑定士を知っている人は本当に少ないと思うよ。私を含めてもこの国に片手で数えられるぐらいだと思われる。と言ってみたけど、実際はリオン君が鑑定士だと判明した後に少しだけ話を聞いただけなんだよ。過去に鑑定士だった人がいるという事を聞いただけで、実際は全然知らないのと変わらないかな」
おお。過去に鑑定士はいたんだな。それってエクストラスキルを自力で覚えたって事なのかな。例えば鑑定のオーブがあった場合は、そのまま誰かが受け継いでるはずだから、自力で覚えた線が濃厚だな。
どうにかして覚える為のコツを探さなければ。自分じゃないって事が難易度を上げているが、考えられることは考えてみよう。
「話が逸れてしまったね。資源の禁止リストにガグの木があるんだけど、ガグの森ダンジョンという分かりやすくガグの木がたくさん生えたダンジョンんがあるんだ。この木の販売は全て貴族様の管轄になるんだ。他の資源もこのリストに書いてあるもの全て、ギルドでも依頼を出してはいけない事になっている。欲しかったら買うしかないから覚えておいてね」
買うしかないって、ダンジョンの外にガグの木とかってないのかな?
「あの、ダンジョンから勝手に持ち出したらいけないのはわかったのですが、買うしかないという事はダンジョンの外にガグの木とかその他の資源はないという事ですか?」
「全てがないと言い切れないけど、ほとんどがダンジョンからしか取れないと思ってくれていいよ」
なるほど。ダンジョンの内と外の、どっちでも取れるものがある場合は気を付けないといけないと思ったが、無さそうで安心した。
一応、ギルマスにどんな資源があるかリストの内容を確認させて貰った。
木材系、石材系、薬草系、鉱石系など色々と種類があったが、俺の知っているものは何もなかった。
この世界の独自の資源だと思う。ダンジョンから取れる資源だしね。
ギルマスもこれらの資源は取り放題だけど、そのまま使う事が出来る物はほとんどなく、どこかで加工なり何なりしないといけないので、ダンジョンから無断で取って来ても使い道に困るようになっているそうだ。どこかに売ろうとすればバレるようになっているとのこと。その辺りは貴族がしっかり管理しているみたいだ。
それと薬草系は漢方の様な使い方が多く、ダンジョンで使うというより、生活で使う物だという。
そして話は変わり、俺が他のダンジョンに行きたいかどうかの話になった。
「リオン君は戸惑いの森ダンジョン以外にも行きたいって、領主様に言ったりしなかったかい?」
「そうですね。ダメって言われましたけど、資源が理由だったりしますか?」
よく分からずに取ってきたら犯罪者になっていた何て事になったら、目も当てられないよ。
「やっぱりダメって言われたんだ。本当はダメな事はないんだけど、戸惑いの森ダンジョン以外で一番近いダンジョンが禁止されてるダンジョンに当たるからね。それで上手く説明できなくて、とりあえずダメって言ったんだろうね。私も今回の事があったから改めて情報を整理してようやく話せる内容が分かったから、領主様でも話していいか分からなかったんだろうね」
何か説明できない事が多いのかな?
「あの、説明出来ない事ってそんなに多いのですか?」
「そうだね。リオン君は学校に行ったら、まずクラス分けするのは聞いてるかな?」
「はい、聞いてます。特別優秀者と物理優秀者、魔法優秀者、一般と分かれるのですよね?」
小さい時に聞いたが、ちゃんと覚えているぞ。ノートにもメモしてあるしね。
「その通りだよ。特別クラスと魔法クラスにはね、物理クラスと一般クラスに比べても話す内容が違ってくるんだ。これは将来就ける仕事が国関係が多く、話す内容が多くなるんだ。ほとんど貴族様しかいないって事も理由なんだけどね。逆にこの差分の話を物理クラスと一般クラスに話す事は基本禁止されててね。それを防ぐ為に、学校へ行く前に情報をあまり開示しないんだよ。というより、普通は話をする切っ掛けすらもないはずなんだけど、リオン君の場合は強くなりすぎて、話さない事で不都合がいくつか出てきてる感じだね。君にとっては、もどかしいかもしれないけど、今年1年は我慢するんだよ。間違いなく特別クラスになると分かってるけど、そこはルールに従って貰うからね」
「わかりました。学校に行ったら教えて貰えるのであれば、その時を楽しみにします。それよりも特別クラスと魔法クラスになった場合は国関係の仕事に就かないといけないのですか?僕は冒険者として、世界中を旅したいと思ってたのですが」
何か特別優秀者と魔法優秀者のクラスになると、国関係の仕事をやらされそうで嫌なんだけど。
職業選択の自由はこの世界にもあると信じているぞ。
「リオン君は冒険者として生きたいんだね。それは学校である程度の説明を聞いたら考えが変わるかもしれないな。領主様の話ぶりから、リオン君は家族を大切に思ってるよね?だったら、おそらく君はこの町に帰ってくる事になると思うな。まあ、実際に説明を聞いてから卒業まで、時間はあるからゆっくり考えるといいよ」
俺が冒険者をしないで、この町に帰ってくるって?
何かとんでもない事を言われたぞ。
教えてくれないって分かってるから、余計に気になるな。うーん、家族が冒険者になる事を許してくれたら、卒業したらそのまま冒険に出かけようと思ってたんだけど。
とりあえずは学校が始まるまでは、この話はお預けだな。
学校に行く前に、家族には冒険者になりたいとだけは話して許可は貰っておこう。許可が下りるかは分からないけど……
それからはゴブリンキングから取れた魔石をこっそり引き取って貰った。
本来ゴブリンキングの魔石はDランクの依頼になるのだが、今回はこれを20個納品する事によって、Eランクへのアップ条件にするらしく、裏で処理してくれるそうだ。上がるのは学校へ行った後なので、それを証明する紙をギルマスに書いて貰ったので、なくさないように魔法袋へしまった。王都のギルドへ出せばランクアップ出来るそうだ。
そして、今の話を内緒にしないとギルドカードが剥奪されるとの事だ。ギルマスの顔が笑ってたから、冗談だと思いたい。一応誰にも言わないようにするけどね。
ギルマスが魔石の大きさを測って10センチのものはDランクの魔石だと教えてくれた。1つ2000Lで常駐依頼を出しているみたいだ。一気に4万Lも増えたぞ。やったね。
まだまだあるのだが、学校でも必要になるから、持ってるといいと言われた。学校に魔石を提出すると成績が上がるらしい。
なので、魔石は学校へ提出してもいいし、冒険者ギルドに納品しても、どちらでもいいそうだ。
ギルマスとの話もある程度終わったら、受付カウンターまで案内してくれた。
その後はまた戻るみたいなので、お礼をいってから俺はエミリーさんの所へ向かった。
エミリーさんからギルドカードを受け取り、見てみると名前とFランクが表示されている。
ランクアップされたのを確認した後、エミリーさんにお礼を言ってからギルドを出るのだった。
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