スペステへの挑戦3

 2階層のセーフティーゾーンに辿り着いた。

 とりあえず、攻略ノートにポイズンパピヨンの情報を書いておこう。ステータスは覚えている内に書かないと忘れそうだ。

 毒鱗粉は使ってこなかったから、効果範囲とか全然分からなかったな。風魔法よりも射程が短かったから使わなかったのだろう。


 少しの休憩を挟んだのち、ボス部屋の方へと進み始める。

 1階層であの強さだったからな、次もかなり強そうで困るなぁ。まあ、ワクワクしてるんだけどね。


 俺は右手に剣を持った状態で、ボス部屋に入っていく。ワクワクしてても油断はしない。

 1階層と同じようにボス部屋の中央で黒い霧が集まって渦が巻き上がる。

 その中央からボスが姿を表したが、今回の相手はあまり大きくはないが装備をしているな。

 ゴブリンキングよりも1回りは小さい。

 人型で頭に2本の角が生えており、背中には蝙蝠のような羽がある。あと尻尾も生えている。

 あとはゴブリンみたいに緑色なんだよな。やっぱりゴブリン種なのかな。姿だけ見ると悪魔って感じなんだけど。


 それよりも右手には真っ赤な短剣、左手には銀色に輝く盾、さらにかなり良さそうなスタイリッシュな鎧を装備している。

 今回はかなり気合いが入ってるな。とりあえず、鑑定で見てみる。


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名称:デビルゴブリン

種類:ゴブリン種

状態:普通

ステータス

 レベル:20

 体 力:350/350

 魔 力:80/80

 攻撃力:140

 耐久力:125

 敏捷力:102

 精神力:68

 抵抗力:120

スキル

 短剣術、受け流し

魔法

 なし

エクストラスキル

 なし


装備

 武器:クリムゾンダガー 攻撃力+50

 防具:ナイトメアメイル 耐久力+30、抵抗力+20

    白銀の円盾 耐久力+20、抵抗力+25


武器名称:クリムゾンダガー

状態:高品質

価値:Cランク

特殊効果:なし

詳細:深紅色の短剣。攻撃力+50

防具名称:ナイトメアメイル

状態:高品質

価値:Cランク

特殊効果:なし

詳細:機動力に優れた鎧。耐久力+30、抵抗力+20


防具名称:白銀の円盾

状態:高品質

価値:Cランク

特殊効果:魔力を流している間、魔法攻撃に対して強くなる。抵抗力+5

詳細:銀を特殊加工して作られた円盾。耐久力+20、抵抗力+25

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「わーお、2階層でこのステはないわ。しかも装備がどれもやばすぎでしょ」

 何あのクリムゾンダガーとかいう短剣。攻撃力+50って反則でしょ。

 白銀の円盾って白銀の剣の盾版だな。これもすごく強い。というより、かなり欲しいぞ。

 これは苦戦しそうだな。身体強化のタイミングミスったら致命傷を負うかもしれない。

 しかもデビルゴブリンってゴブリン種なんだな。悪魔っぽいから悪魔種って言われても違和感ないけど、悪魔種がいるなら、もっと強いかもしれないな。

 このデビルゴブリンの唯一の救いは、スキルが短剣術と受け流ししかないことだな。魔法もエクストラスキルもないから、そこだけは助かった。

 とりあえず、攻めてみるか。ステータスは同じぐらいだ。俺の方が敏捷力が少し高いから優位に立てるはずだ。


「〈アイスランス〉」


 俺はアイスランスを一発放つと同時にデビルゴブリンに向かって走り出した。

 デビルゴブリンはアイスランスに気づいたようで盾でガードした。

 俺はその隙を突こうとして、鉄の剣で切りつけたが短剣で防がれてしまった。

 その後、何度か短剣のリーチ外から、鉄の剣で攻撃を繰り出しているが、全て短剣と盾で防がれてしまう。

 魔法を使おうとするとデビルゴブリンが距離を詰めて、防御に徹することになり魔法は発動できずにいる。


「いい動きだな。隙が全然ない。隙が出来たら身体強化したアーツを叩き込もうと思ってるのに」


 魔力消費が大きくなるが、常に身体強化してステータスを大きく上回って攻めるか。

 まず〈身体強化〉を発動し、左上段から右下段へ切り下げるように〈スラッシュ〉で短剣を盾側の方へ押し切る。

 さっきまでは鉄の剣を捌かれてる感じだったが、今度は攻撃力が上がっている分、短剣を押し込んだ分、少し隙を作る事に成功した。

 その隙をついて、剣を振り抜いた勢いを利用し、左足で蹴りを放ちながら〈インパクト〉でデビルゴブリンの腰の辺りを蹴り飛ばす。

 吹っ飛ばすつもりだったが、よろめいただけで留まった。

 だが、隙がまだある為、〈疾風突き〉で相手の肩を狙う。

 しかし、デビルゴブリンはすぐに態勢を立て直して、疾風突きを盾で受け流し短剣で切りつけてきた。

 俺は地面をガッと蹴って短剣をギリギリで躱し、距離を少し取る。

 隙を付けたと思ったのにやるな。


「ふーっ。やっと一撃か。だが、いい感じだ。この調子ならいけるぞ」


 一応ダメージの確認をしておく為、鑑定でデビルゴブリンの体力を確認した。

 体 力:294/350


 56ダメージか。まだまだ攻めないといけないな。


 今度はデビルゴブリンの眼前に上段から切り下ろす。ただし、盾と短剣が届かない位置にだ。

 デビルゴブリンはその隙を突こうと俺に短剣で切りかかろうとしてくる。

 だが、俺の攻撃はまだ終わっていない。切り下ろした剣を返し、そのままデビルゴブリンの短剣が迫るより前に横をすり抜けながら、〈ダブルスラッシュ〉の2撃目を放つ。

 デビルゴブリンの脇を切りつけ、ブシュッと紫色の血が飛び散る。


「グオオオオオ」


 デビルゴブリンはお怒りのようだ。

 だが、俺はまだ攻撃を続けるつもりだ。

 デビルゴブリンは俺の背の方にいるので、円を描くように〈三日月斬り〉を放ち、デビルゴブリンに再度ダメージを与える。


「ガアアアアア」


 デビルゴブリンはダメージを受けてすぐに、咆哮しながら短剣で切りかかってきた。

 これは短剣を捌いて、蹴り+インパクトでダメージが稼げるな。追撃はさっき疾風突きが防がれたから、アイスランスを頭上から落としてやろう。

 デビルゴブリンの短剣を鉄の剣で受け流そうとした時、それは起きた。


 キィィィン


 やけに甲高い音と共に、俺の鉄の剣が真ん中から真っ二つに折れてしまった。

 まずい、短剣の2撃目が来る。

 俺は短剣に集中し躱すことを最優先にした。

「がはっ」


 だが、短剣に集中し過ぎた為、短剣を躱した後のデビルゴブリンの蹴りに気づかず、腹に直撃し、俺の小さな体は吹っ飛ばされていた。


 俺はこの世界で初めてのダメージを受け、痛みと共に少しの恐れを感じていた。


 そして、ここはリアル。ターン制のゲームではない為、デビルゴブリンの追撃が今まさに襲おうとしていた。

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